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DUOカメラマンへの挑戦

今日はDUOカメラマンのことを書こうと思います。もともと今年の6月にモデル志望の女性の撮影をきっかけに同じ被写体を2人のカメラマンが交互に撮影することをはじめたのですが(詳しくは「新しい作品撮り」を読んでいただけれると幸いです)、そこで彼女が撮る写真がとても素敵だったので僕が普段やっている雑誌やwebでの俳優さんのポートレート撮影でもDUOカメラマンとして活動したら面白いんじゃないかなと思いました。

それから仕事の現場で会う編集者の方に、いまこんなことやっているのですが興味ありませんか?と声をかけはじめました。すると、声をかけた編集者さんから本当にDUOカメラマンとして僕に撮影依頼がきました。心の中でガッツポーズです。被写体はなんと中村倫也さんと石橋静河さんのお二人。なんとも豪華です。

早速、僕は相方の坂本彩美さんに連絡をし、彼女のスケジュールが大丈夫なのを確認し、編集者さんに「正式に受けさせてください。」と返事をしました。今年の6月9日に初めてDUOカメラマンのスタイルでプライベートの作品撮りをして、「このスタイルで仕事をしてみない?興味があれば仕事取ってくるよ!」と彼女に伝えて、1ヶ月後の7月10日に撮影が決まりました。坂本さんからすると、「嘘でしょ」というスピードで物事がドンドン決まっていくので、心の準備も大変だったと思います。

そして撮影日を迎えました。スタジオに行く車中でどんな感じで撮影しようかと打ち合わせをしました。撮影時間は10分。ページ数は写真とテキスト合わせて12ページ。そのうち写真に使うページは8ページ。最初にそれぞれが同時に2分ずつソロショット撮影をし(僕が中村さん、石橋さんの順に撮り、同時に坂本さんが石橋さん、中村さんの順番で撮影する形)、残りの6分を3分づつに分けて順番にツーショット撮影をしようと決めました。当たり前ですが、彼女にとっては映画の宣伝のための雑誌のポートレート撮影はほとんどはじめてに近いので、「昨晩からほとんどロクに寝れていないんです。」とずっと不安がっていました。

そもそも僕にとって、このDUOカメラマン活動のメリットはなにか?そして、なぜやるのか?という話をします。その答えは単純に「面白そうだしワクワクするから。」です。そんなスタイルで撮影しているカメラマンを見たことも聞いたこともないし、例えば1枚しか写真を使わないという仕事を二人が撮影したらそのどちらかの写真は必ず使われません。もし、僕が使われない写真を撮影した方のカメラマンになったらめちゃくちゃ面白いなって思ったのです。そうなるまで活動を続けてみたいと思いました。

真面目な話をすると、昔から僕の撮影のロケアシスタントとして手伝ってくれる人の中でやる気があって、性格の良い人は知り合いの信頼できる編集者さんに「最近、彼女(もしくは彼)は独立したばかりなのですが、良い写真を撮るし、真面目なので一度ブックを見る時間をいただけませんか?もし写真を気に入っていただけたら、新人カメラマン向けの難易度のそんなに高くない撮影で一度、チャンスをいただけないでしょうか?」と紹介していました。でもいまはこんな時代です。会って営業をするというのもなかなか出来ません。であれば、DUOカメラマンとして組んで、彼女が実際に仕事で撮影した写真を見た編集者さんが彼女一人に仕事を依頼してみたい!と思ってくれたら大成功だなって思いました。

そして話は中村倫也さんと石橋静河さんの撮影の話に戻ります。撮影場所はスタジオエビスという恵比寿駅近くにある撮影スタジオでした。ひとつのスタジオ内でそれぞれライティングなどの準備をはじめました。時間通りに取材がスタート。僕は中村さんのソロ撮影からのスタートでした。撮影は順調に進み、最後に坂本さんが撮影するツーショット撮影をスタジオの端っこで見ていました。「緊張し過ぎて爆発しそうです。」と言っていたわりには、坂本さんは落ち着いてしっかり撮影しています。中村さんも石橋さんも坂本さんとの撮影を楽しんでいる空気が伝わってきました。むしろ僕の方がいつものペースではなかったので緊張していたんじゃないかなと思うくらいです(笑)。何れにせよトラブルもなく「平岩と坂本」の初陣としては上出来な撮影になりました。

終わった後、カフェに移動して写真のチェックとセレクトをしました。二人が撮影した写真は通し番号にしてどちらが撮ったのか区別がつかないようにしました。それを編集者さんに送り、中村さん、石橋さんの事務所に送り、マネージャーさんにOKカットを選んでいただき、その中からデザイナーさんが写真セレクトをし、僕たちに本番用のレタッチ依頼がくるという流れです。さて、どちらの写真が選ばれ、どんなデザインになるのでしょうか?ワクワクです。

それから数週間が経ち、編集者さんから本番写真決定のメールが届きました。一緒にPDFでページデザインの見本も入っていました。PDFを開くとそこには見開きで坂本さんが撮影した写真が選ばれていました。僕は「坂本さん、やったなー!」と思いました。中村さんと石橋さんが撮影を楽しんでいる空気がちゃんと写っている写真でした。

勝った、負けたという表現が合っているかわかりませんが、扉の写真はやっぱり大切です。そういう意味ではあの日、「平岩と坂本」が撮影した写真の中で一番良い写真が使われるべきです。そういう意味では坂本さんの勝ちです。つまりはDUOカメラマンの初陣で僕が負けるという目標のひとつが達成できました。そして編集者さんも坂本さんの撮影する姿を見て、「今度は坂本さん一人に撮影をお願いしてみようと思いますが平岩さんいかがでしょうか?」と言ってくれるではありませんか。僕は「もちろん是非!」と答えました。もし、それも実現したら完璧です。

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読んでいただきありがとうございました。写真が掲載されている雑誌はこちらになります。キネマ旬報編集部の皆様ありがとうございました。





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