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【書籍】水泳による集中力の養成と人事管理への応用ー古橋メソッドに学ぶ

『一生学べる仕事力大全』(致知出版社、2023年)のp468「ひとつの目標を達成した喜びが自信と集中力を生む(古橋廣之進)」を取り上げたいと思います。

 水泳を通して集中力を高めることの重要性と方法について語っています。私も長年にわたり、水泳をやっていますので、非常に身近な話に感じます。話の中心は、古橋氏の経験と見解をもとにしています。彼は、集中力を高めるためには、まず広い視野を持って目標をしっかりと定めることが重要だと説いています。その上で、目標に向かって一歩一歩努力を重ね、その過程で得られる喜びが次の目標への動機付けとなると述べています。

そう。目標管理をきちんとすることが、集中力をつける第一歩だと思いますよ。何かに集中するというと、ほかのことは目に入らない、馬車馬みたいなイメージを描きがちですが、それは逆ですね。 広い視野を持って、目標は何なのか、どこにあるのかを、まずきちんと見定める。
―広い視野ですね。
それが大切だと思いますよ。そうでない、目先のことしか考えないで目標を立てると、自信が持てない。この目標でよかったのかな、とぐらついていては、とても集中していくことはできません。 広い視野に裏づけられた目標を持ったら、それを信じて疑わないことです。

『一生学べる仕事力大全』(致知出版社、2023年)p471より引用

 水泳の反復練習は単調で苦しいものであること、しかし、その中で集中力が養われることが強調されています。単純な繰り返しの中にある苦しみを乗り越えることが、精神的な強さと集中力を育むと言います。さらに、目標に向かって自ら考え、行動することの大切さを語っており、自分で目標を設定し、それに向かって努力することの喜びや自信が、集中力を高める上で非常に重要であると指摘しています。

 また、現代の水泳選手や若者に対する指摘もあります。彼らが指示された通りに動くだけで、自分で考えて行動することが少なくなっていると苦言を呈しています。結果、真の集中力や自主性が育まれにくい状況があるとしています。物質的に恵まれている現代では、集中力を養うことがより難しくなっているとも述べていますが、その中で集中力を高めることができれば、その成果はより際立つとも語っています。

 最後に、自分がやるべきことをしっかりとやり遂げること、そしてそれによって得られる自信が、最終的に集中力を高め、大きな成果を生み出すことへと繋がると結論づけています。古橋氏自身の経験を踏まえ、集中力の重要性と、それを高めるための具体的な方法について語っており、読者に対しても、目標に向かって集中し、努力することの大切さを伝えています。

やるべきことはすべてやったと自分で納得していれば、結果は考えなくなるものです。十分な努力をしなかった、し残したととがある、そういうときに限って、前の記録を上回れるだろうかとかなんとか、いろいろと結果が気になるものです。 そしてレースに集中できない。余計なことが気になってくる。

『一生学べる仕事力大全』(致知出版社、2023年)p476より引用

人事としてどう考えるか

 集中力の本質とその養成に関する考察は、人事の視点からも非常に重要です。水泳を通じた集中力の養成に関するエピソードを基に、人事における目標設定、自己管理、モチベーション向上、そして組織内での集中力向上策について考察します。

目標管理の重要性

 集中力を高めるためには、まず明確な目標が必要です。目標管理は、個人が自身の行動を調整し、長期的なビジョンに基づいて短期的な行動計画を立てるための基盤となります。人事管理において、個々の従業員に対して明確で達成可能な目標を設定し、それらの目標が組織全体の目標と連携していることを確認することが重要です。このプロセスが、従業員が自身の仕事に対する意義と方向性を見出し、集中力を維持するための動機づけにもなってきます。

自己管理と自律性の促進

 水泳の訓練における自己管理の重要性は、職場における自律性の促進と密接に関連しています。従業員が自分の仕事を自分で管理し、自分の目標達成に向けて自律的に行動することができる環境を作ることは、集中力と生産性の向上に不可欠です。自己管理能力の高い従業員は、困難に直面した際にも柔軟に対応し、目標に向かって進み続けることができるでしょう。

モチベーションとエンゲージメントの向上

 目標を達成した際の喜びは、強力なモチベーションの源泉となります。人事管理では、従業員が自分の成果に対して正当な評価と報酬を受けることを保証することが重要になります。このような認識と報酬は、従業員のエンゲージメントを高め、さらなる目標達成に向けたモチベーションを促すことになります。また、失敗から学び、次の成功につなげることのできる環境を提供することも、従業員の成長と集中力の向上に寄与するでしょう。

組織内での集中力向上策

 組織全体で集中力を高めるためには、目標に対する共通の理解を深め、全員が同じ方向を目指して努力する文化を醸成することが必要です。チームビルディング活動や共有セッションを通じて、従業員間のコミュニケーションを促進し、目標に対する共感と協力を育むことが効果的です。また、個々の従業員の強みと興味を理解し、それに基づいて適切な役割と責任を割り当てることで、集中力とパフォーマンスを最大化できるでしょう。

まとめ

 水泳における集中力の養成から学ぶことは多きです。人事管理においても、明確な目標設定、自己管理の促進、モチベーションとエンゲージメントの向上、組織内の集中力向上策の実施は、従業員のパフォーマンス向上と組織全体の成功に不可欠なものです。これらの要素を組み合わせることで、個人も組織も、より高いレベルの達成と成長を目指すことができるでしょう。

水泳を通じて集中力と決意を象徴する、静かで柔らかい焦点の広いイメージを描いています。早朝のクリアな空の下、広大で静かなプールでのシーンは、水泳に必要な孤独と集中を微妙に示唆しています。前景には、決意と明晰さのオーラを持つ孤独な泳ぎ手が、力強く優雅なストロークで水を切って進む姿が描かれています。泳ぎ手の周りでは、水が波打ち流れることで、継続的な努力と進歩を象徴しています。背景には、広い目標を設定し追求することを表す広い地平線が展示されており、希望とモチベーションを象徴する光線が雲を突き抜けています。この画像は、明確な目標を設定し、練習の単調さに耐え、それらの目標に向かって一歩一歩進むことで得られるモチベーションを見出すことの重要性を強調する経験豊富な泳ぎ手の経験と見解を反映しており、集中力を高め、個人的なマイルストーンを達成する旅を包括しています。


 792頁にのぼる大作です。まさに仕事のバイブルとなります。名経営者のインタビューや伝説の名講演、一度きりの師弟対談、創業者同士の対談などが、54話を収録されています。



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