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「ボーンズ アンド オール」鑑賞記録 愛情の果て

憧れの海外アーティストを目の前に
アイラビュー😉と伝えてドン引きされた
苦い思い出を持つ私は
ネイティブでは無いなりにその言葉の重さを身をもって体感している

名作であるほど、1番ピークのシーンで
”I love you”というセリフが出てくるのである
この映画、ボーンズ アンド オールも然り。
日本語に訳すと「骨まで全て」というところだろうか
ティモシーシャラメの出演に加え
カニバリズム同士のラブストーリーという
私の怖いもの見たさをくすぐるテーマ。
公開を心待ちにしていた映画だ

以下、若干ネタバレあるかも…??

睡眠、食欲、性欲
趣味、好み、性的趣向…
私たちには様々な欲求があるが
それが生きる(生存)為なのか
健やかに暮らす上で、なのか

主人公の2人は普通の食事もできるが、
人を喰べることで満たされる
遺伝子レベルに強い欲求を持っている
それは必然的に対象である人を殺すことになる
「あ〜、今日はピザ食べたい!」
という感覚とは全く違う
もし、自分が彼らと同じ立場だったら?
中々想像し難いシチュエーションであり
その孤独や葛藤も到底私には分らない

映画開始10分
私はジェットコースターに
乗せられていたことに気付く
フワッと体が浮いたかと思えば急降下
2人の過酷な人生と
目を逸らしたくなる描写を
これでもかというほど突きつけられた2時間だった

サウンドにおいても
シンプルな中に聞こえるノイズと不協和音が
彼らの居る世界の歪さと緊張感を
終始増幅させていた


人を喰らう彼らの姿は、獣の様だった
“食”と”喰”の違いを調べてみると
前者は、楽しみを含む食事などを指し
後者は、生きる為の摂取行為、野生的な行為
というニュアンスがあるらしい
夢中で這いつくばる様子には
まさに”喰”の表現がしっくりくる
映画を見ていると
”喰う”という表現、行為には
様々な意味が込められていることが分かる


何より「君の名前で僕を呼んで」に引き続き、ティモシー•シャラメの美しさを存分に引き出すルカ監督の魅せ方ったら…
人類が恋に落ちる造形美ティモシーシャラメ恐るべし
個人的には、もっと「におい」についての描写やカットが多かったらなぁ〜と思ったけど…
それはわざとらしいのかな??


さて、タイトルにも書いた【愛情の果て】
息を呑みながら泣くしかなかったラストシーン
I love you のその先
愛情の果てはここにあるのか、と
あたし今後ここまで誰かを思えるのか、と
骨まで全てまるごと愛せるのか、と
秘密を背負い合うということは
とても美しく切なく苦しい
それが私の1番大きな感想であり
心に残された問いです

結構グロテスクなシーン多めなので
観る時は体調など、お気をつけて
お肉食べれなくなるかとおもったけど
すっかり忘れてその足でサラダチキンかぶりついてました🫠笑

シンガーソングライター
波多野菜央

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