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全然堂歳時記【冬】

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全然堂歳時記【冬】
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記事一覧

全然堂歳時記 冬 【クリスマス2】

世界一周豪華客船大聖樹 ハードエッジ 鹿がゐて奈良公園のクリスマス ハードエッジ 聖樹立つ寺の隣の幼稚園 ハードエッジ ブランコを漕ぐ子にメリークリスマス ハードエッジ 持てといふベリーメリーなクリスマス ハードエッジ 残業のサンドイッチの聖夜かな ハードエッジ セーターの黒の華やぎクリスマス ハードエッジ 西洋の純白クリスマスケーキ ハードエッジ 凸凹に豪華にクリスマスケーキ ハードエッジ 切られても切られてもクリスマスケーキ ハードエッジ クリスマスケーキ食べつつ

全然堂歳時記 冬 【追儺】

石段の果の果なる追儺寺 ハードエッジ 古寺に古き鬼ありやらふべし ハードエッジ 吊られある追儺の鬼の衣装なり ハードエッジ 鬼のごと追儺太鼓を打ち鳴らす ハードエッジ 正月は賑やか節分は大声で ハードエッジ 赤憎し青恐ろしと鬼やらひ ハードエッジ 赤鬼が白息を吐く追儺かな ハードエッジ 木石に木石の音豆を撒く ハードエッジ クレヨンの匂ひ追儺の鬼の面 ハードエッジ ぶらんこにもすべり台にも鬼は外 ハードエッジ 鬼

全然堂歳時記 冬【春待つ】

千枚の冬田積み上げ春を待つ ハードエッジ 春よ来い雪の帽子を打ち捨てて ハードエッジ 春を待つことにも慣れし齢かな ハードエッジ 何よりも春待つ心大切に ハードエッジ わが家築三十余年春を待つ ハードエッジ 春を待つ待合室に名を呼ばれ ハードエッジ 美しき蝶になる夢春を待つ ハードエッジ 春待つや猫より小さき箱に猫 ハードエッジ 春を待つ百獣の王その妻子 ハードエッジ 春待つや種を預る茶封筒 ハードエッジ 春を待つものの日あたり風あたり ハードエッジ 春を待つ暗渠の上

全然堂歳時記 冬【小春】

葉書俳句: テキスト: 小春日の遠くに雪の富士の山 ハードエッジ 小春日の既に一句を得し思ひ ハードエッジ 小春日のそれは小さなエピソード ハードエッジ 小春日に立つは西向く士か ハードエッジ こんなにも小春日和の続くとは ハードエッジ 階段を拭いて降り来る小春かな ハードエッジ 座布団や小春日和の人を待つ ハードエッジ ははそはの母に母ゐる小春かな ハードエッジ 小春日や勝利の如く婆二人 ハードエッジ 耳掻の先がくるつと小六月 ハードエッジ 百獣の王の瞑目小六月 ハ

全然堂歳時記 冬【七五三】

七五三着飾るに良き寒さなり ハードエッジ 七五三電車の中で褒めらるる ハードエッジ 七五三詣石段石畳 ハードエッジ 石段に昨日の雨や七五三 ハードエッジ 境内の日蔭ひんやり七五三 ハードエッジ 平日の三々五々の七五三 ハードエッジ 人生に階段いくつ七五三 ハードエッジ 神もまた素数を愛す七五三 ハードエッジ 胎内の次女も健やか七五三 ハードエッジ 両の手を父母に与へて七五三 ハードエッジ 九九すこしいへる子七五三十五 ハードエッジ 黒髪に挿せばちりり

全然堂歳時記 冬【短日】

葉書俳句: テキスト: 短日: 音読みはタンジツといふ短き日 ハードエッジ 日短: ジッタンに非ずひみじかとぞ読めり ハードエッジ 入れ替へてみても短日、日短 ハードエッジ 言葉さへ躓くやうに日、みじか ハードエッジ 一年の尻尾の如き短き日 ハードエッジ 数へるにしても短日ばかりなり ハードエッジ 大いなる山を眠らせ日短 ハードエッジ 一年を省みるにも日の短か ハードエッジ 行く年を惜しみ短日を嘆くなり ハードエッジ 一億二千万人の短き日 ハードエッジ 短日の人の消え

全然堂歳時記 冬【着膨れ】

兎小屋当番の子の着膨れて ハードエッジ 着膨れてゐても何かと駆け出す子 ハードエッジ 着膨れが泣いてじたばた床に寝て ハードエッジ 着膨れの三文安の子が可愛 ハードエッジ 着膨れて当り障りのない話 ハードエッジ 着膨れて毛並み良きもの翻し ハードエッジ 重ね着の雪より白き恋衣 ハードエッジ 着膨れて我身一つのわが命 ハードエッジ 着膨れの仏の顔も三度とや ハードエッジ 着膨れを蔑み立てるジャコメッティ ハードエッジ 着膨れて夜の火を守る五六人 ハードエ

全然堂歳時記 冬【セーター】

編棒の先セーターになるつもり ハードエッジ セーターを裏に表に編み進む ハードエッジ セーターを編むやこつくりこつくりと ハードエッジ セーターの中より生れ来る頭 ハードエッジ セーターを嬰がひつぱる涎ふく ハードエッジ ふはふはのセーター床を叩き泣く ハードエッジ セーターの白を汚して元気な子 ハードエッジ セーターは白で金髪碧眼で ハードエッジ 公園に白きセーター昼休 ハードエッジ 何話そセーターを編む母のそば ハードエッジ セーターの母が写りし古写真 ハードエッジ

全然堂歳時記 冬【手袋】

葉書俳句: テキスト: 手袋を知らぬ紫式部の手 ハードエッジ あまた手の並ぶ手袋売場なり ハードエッジ 手袋をした手でもう片方を嵌む ハードエッジ 細長くひやりと革手袋の闇 ハードエッジ 手を入れて手袋の手となりにけり ハードエッジ うれしくてその手袋で手をたたく ハードエッジ ジョギングのマフラ、手袋、紙懐炉 ハードエッジ 手袋をはめて働き始めたる ハードエッジ 踊子の長き手套の赤と黒 ハードエッジ 手袋は五本の指の個包装 ハードエッジ 手袋の中でぬくぬくしてゐる

全然堂歳時記 冬【蜜柑】

葉書俳句 テキスト 旅行けば駿河の国に蜜柑の香 ハードエッジ 蜜柑山あれに見えるは電車ぢやないか ハードエッジ 冬の山なれどニコニコ蜜柑山 ハードエッジ 金山に勝る黄金の蜜柑山 ハードエッジ 細道の坂道ばかり蜜柑山 ハードエッジ おむすびもみかんもころりころりんと ハードエッジ 蜜柑山沖の漁船も日を浴びて ハードエッジ 選果機に蜜柑ころころころころす ハードエッジ コンビニへ一寸みかんの香をまとひ ハードエッジ 湯の宿に足を伸ばして蜜柑むく ハードエッジ

全然堂歳時記 冬【大根】

葉書俳句 テキスト 根つからの大根畑でありにけり ハードエッジ 大根の白を育む緑の葉 ハードエッジ 清白と書いてもみたき大根かな ハードエッジ 大根は寒さの冬に肩出して ハードエッジ 大根を抜きつ大根抜かれつつ ハードエッジ 大根もその抜け穴も濡れてをる ハードエッジ あな暗し大根ぬきたる大根畑 ハードエッジ 大根を抜かれし畑の乱れかな ハードエッジ 大根を抜いて鍛へし腕とも ハードエッジ 流れ行く大根もあり驚きぬ ハードエッジ 尾の如く垂れて荷台の大

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全然堂歳時記【クリスマス1】

全然堂歳時記 冬【クリスマス3】

葉書俳句: テキスト: 祈りとは聖樹の深き緑色 ハードエッジ 枯木にも電飾の綺羅クリスマス ハードエッジ 光りつつ風に抗ふ聖樹かな ハードエッジ 待つ人に後光の如く聖樹立つ ハードエッジ 背の高いサンタクロース雪を来る ハードエッジ 恋人がくれば聖樹をあとにして ハードエッジ ウインドの中にサンタゐ外にもゐ ハードエッジ 紅白に着膨れてゐるサンタこそ ハードエッジ 三角のサンタの帽子折れて垂れ ハードエッジ 肉屋の子にもパン屋の子にもクリスマス ハードエッジ 躓いて吾

全然堂歳時記 冬【雪女】

葉書俳句 テキスト 雪女軍馬に乗つて来りけり ハードエッジ 伝令の鴉を肩に雪女 ハードエッジ 御無念の殿に代りて雪女 ハードエッジ 火事跡の黒き柱や雪女 ハードエッジ 来ぬ人を白無垢で待つ雪女 ハードエッジ 機織るは鶴にはあらず雪女 ハードエッジ 雪女もとより翼なかりけり ハードエッジ 足跡に菫咲きけり雪女 ハードエッジ 文書くや友の中なる雪女 ハードエッジ もう追つて来るなと諭す雪女 ハードエッジ 炭鉱で栄えし町の雪女郎 ハードエッジ 遠ざかる火の用心や雪女郎 ハー