令和五年五月十八日(木)

 他人に説明するような敬語でブログを書くというのはしょうに合わないことを悟った。
 これからは、見られていない日記の体裁で書き殴っていくつもりである。

 本日は、早すぎる猛暑日だ。
 エルニーニョ現象とラニーニャ現象のコンボであるそうだ。

 そんな天気のなか、「暑い、暑い」と心中で悲鳴をあげながら、遠路はるばる図書館へ。
 文学講座に申し込んだからだ。

 というのも、母と祖母からは、私はどうも「売れない作家志望者」に見えるようで。
 私にとって執筆は趣味でしかなく、前職がシナリオライターだったのは失敗とみている。
 私の作品にはオリジナリティがないと何度も仕事関係で遠回しに言われた。
 しかし同時に、クライアント様から委託されたブランド価値のあるIPにオリジナリティは要らないとも。

 その後遺症と言うべきか、現在の私は自分が納得できる作品を書けない。
 単なるスランプ、燃え尽き症候群ではない。
 好きな物事だろうと義務になれば嫌気がさすのも人情。
 さりとて、転職が持病の関係で上手くいかない現状は打破したい。

 祖父は言う「そんなに政治経済に詳しいのなら、その道の先生になれば良い」と。
 祖母は言う「文学賞にでも応募すればよろしい」。
 母は言う「就職先は妥協するな」。

 ――と言う訳で、客観的に私の作品を評してくれる文字書き仲間を欲して、文学講座に応募した。
 私は、破滅派のように様々な文学に対して論ずる文壇じみたコミュニティを想像していた。

 しかし、実際は大学の講義のような形をした場であった。
 生徒と先生がハッキリと分かれていて、先生が話して生徒が聞くという、やや一方的なもの。

 しかも、第一回であるのに、皆が皆、勝手知ったる様子。
 聞くところによれば、毎年開催されていて、今年度から受講する方が少数派のようだ。

 なにやら「清水次郎長」という者について、「この講座では知らぬ者はいないであろう」とまで冒頭に言われ、困惑した。
 実際に、私以外の大多数が知っているともとリアクションをしていることも相まって、だ。
 これにより、周囲の人に意外と同年代もいるのだが、初受講は少ないと見た。

 私と言えば、講座の一時間前に図書館へ辿り着き、配られた資料を事前に、予習のために読んでいた。
 速読は得意なので、おおよそ「清水次郎長」の人物像は把握していた。
 しかし、知ったばかりの人物には、まだ何の感情も持てない。

 講師は、この「清水次郎長」をいたく気に入っていると見えて、二時間近い話すべて彼に対するものだった。
 また、最近は「清水次郎長」が若者に認知されていないことも嘆いていた。
 私もまたその若者に入るのだから、いたたまれなくなった。

 ならば、若者向けに「清水次郎長」を主人公としたライトノベルを書いてみようかと思ってみたりした。
 しかし、脳内の冷静な部分が即座に却下した。
 そのような需要はない。

 たしかに、次郎長には「俺TEEEE!」の部分や「勧善懲悪」、「成りあがり」などの要素はある。
 しかし、それらは政治や国内情勢と密接に代わっているので、若者にとっては面白くない。
 ネット小説に求められるのは、癒しと爽快感である。
 何故、フィクションでも頭脳労働させるのか、と人気も出なさそうだ。
 
 では、思い切ってシルバー世代、年配の方々を狙って書くのはどうだろうか。
 年齢層の高い読者層は大抵、知識人である。
 清水次郎長について知っている者も、若者に比べれば多いだろう。
 しかし、そういった方は、ネット小説を読まない。
 金があれば、紙の本を買う。もしくは、図書館で借りる。
 また、次郎長について私は初心者。
 売れるために、と史実から外れたら、厳しく非難される可能性も捨てきれない。
 よしんば、受け入れられたとして、それはごく少数であろう。

 私の作品は出版されないと思うと悲しくなる。
 私が書き残した小説は、私が死んでも残っていて欲しい。
 今現在、ネットにしか残っていない、私の生きていた証。
 サイトが閉鎖などになった際、何も残らないのは寂しいものだ。
 一度、投稿した作品が消えてしまった苦い経験を、まだ私は引きずっている。
 
 いつか、二次創作をまとめて印刷し、自分用の本にしたい。
 オリジナル小説は……クオリティが低いので、習作として公開している。
 
 私は、プロットを完結まで設計図のように書いてから、執筆するのは向いていない。
 連載中に読者の反応を見ながら、執筆したい。
 そのほうがモチベーションも維持できるし、クオリティもあげられる。

 短大で、様々な執筆方法を学んだが、結局のところ筆を執るのは自分自身。
 勉強方法と同じで、最適解はない。
 執筆方法を模索しながら、書いていくしかないのだ。

 

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