居眠り猫と主治医 ⒎オカンの腕前 連載恋愛小説
夏目祐の部屋は、なんというか殺風景だった。
分厚い専門書のようなものが目に入る以外、とくに特徴がない。
多忙で、寝に帰ってきているだけなのかもしれない。
「さっさと脱いで」
「あ…はい。お先にいただきます」
さすがに緊張するなと思いながら、人んちのシャワーを借りる。
湯舟につかったわけではなかったが、ほっと一息つけた。
入れ替わりに浴室に入った彼は、いつも以上に仏頂面で完全に嫌われたなと文乃は思った。
「なんでドライヤー使わなかった?」
「時間かかるので」
先生を待たせて