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小鳥カフェ トリコヤ 連載恋愛小説 完結済み

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小鳥カフェを経営する女子&つかみどころのない音楽関係者のお話。
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小鳥カフェ トリコヤ ⒈新しい朝 連載恋愛小説 目次 完結済み リンク有 全21話

なぜ名前しか知らない人とカラオケに行ってお茶した挙句、自宅にまでついていったんだ。 「ヤ…

藤家 秋
3か月前
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小鳥カフェ トリコヤ ⒉歌唱依頼 連載恋愛小説

ちょっと歌ってもらおうかと思って、と切りだした創史を、かの子はぼうっと見つめてしまった。…

藤家 秋
3か月前
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小鳥カフェ トリコヤ ⒊報酬はちみつレモン 連載恋愛小説

通されたのは防音室で、なにかの機材や楽器で雑然としている。 コンペが獲れるかどうかはこの…

藤家 秋
3か月前
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小鳥カフェ トリコヤ ⒋小鳥撮影会 連載恋愛小説

いくら特定の人と顔を合わせづらくても、毎月恒例のイベントは決行するしかない。 お店を2時…

藤家 秋
3か月前
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小鳥カフェ トリコヤ ⒌野生の勘 連載恋愛小説

「男いたんだ」 コーヒーを注ぐ手もとが狂いそうになった。 不意を突かれて焦るあまり、元カレ…

藤家 秋
3か月前
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小鳥カフェ トリコヤ ⒍オムライスのトリコ 連載恋愛小説

1か月後、詐欺どころかバイト代が振り込まれた。 佐東創史の所属する事務所経由で。 今まで声…

藤家 秋
3か月前
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小鳥カフェ トリコヤ ⒎女神と舌鼓 連載恋愛小説

報酬はいただいているので、とお礼の食事を拒んだはずが、当然のように彼の家に招き入れられた。 結局、デリバリーのメニューを見せられている。 「なんで来るわけ」 「いやいや、ギター借りに来るって言ったじゃん。入れてよ」 勝手知ったる足どりで部屋に入ってきた男の人が、かの子の存在に目をひんむいた。 ただでさえくっきりとした目鼻だちが、さらに迫力を増す。 「うえ、女神じゃね?」 かの子が圧倒されていると、ずいと近づいてきて無理やりな握手になる。 *** すかさず創史が彼の後頭部

小鳥カフェ トリコヤ ⒏インコのジレンマ 連載恋愛小説

「今すごいジレンマ抱えてて」 「はい」 「声を聴いていたいけど、キスもしたい」 じりじりと…

藤家 秋
3か月前
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小鳥カフェ トリコヤ ⒐なれそめ 連載恋愛小説

淡い黄色のボディを投げ出し、手のひらのベッドで心地よさげに目をつむっている。 なでる指を…

藤家 秋
3か月前
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小鳥カフェ トリコヤ ⒑森に住むひと 連載恋愛小説

「住めそうですか、ここ」 「はい!申し分ないです」 高台に建つマンションは北側に森があり、…

藤家 秋
3か月前
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小鳥カフェ トリコヤ ⒒森の一夜 連載恋愛小説

真っ昼間からそういうことになり、目覚めたのが夕暮れ。 全身が黄昏色に染まってもの珍しく、…

藤家 秋
2か月前
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小鳥カフェ トリコヤ ⒓嵐の前の静けさ 連載恋愛小説

スタッフの定期健診日。 換羽期で元気のないインコのようすを夏目祐に診てもらい、タンパク質…

藤家 秋
2か月前
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小鳥カフェ トリコヤ ⒔インコ、バズる 連載恋愛小説 

遅番だったので午後から店に出ると、大あわての柚葉が走り寄ってきた。 「店長、見ました?」 …

藤家 秋
2か月前
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小鳥カフェ トリコヤ ⒕インコさんの過去 連載恋愛小説 

ドアをバンバン叩かれたり大声を出されたりするほうが、まだよかった。 入口のロックをはずす音がかすかに響き、何者かが侵入した気配がした。 かの子はこわすぎて一歩も動けず、口を覆ってうずくまる。 休憩室の鍵をかける暇もなかったとハッとしたのと同時に、勢いよくドアが開かれた。 「…不審者じゃないんですけど」 悲鳴をあげられて不服そうにしているのは創史で、無条件に緊張がほどけそうになる。 存在を確かめるように抱きしめられた。 「ライン見てよ」 もがいてみたけれど、びくともしない。