小鳥カフェ トリコヤ ⒕インコさんの過去 連載恋愛小説
ドアをバンバン叩かれたり大声を出されたりするほうが、まだよかった。
入口のロックをはずす音がかすかに響き、何者かが侵入した気配がした。
かの子はこわすぎて一歩も動けず、口を覆ってうずくまる。
休憩室の鍵をかける暇もなかったとハッとしたのと同時に、勢いよくドアが開かれた。
「…不審者じゃないんですけど」
悲鳴をあげられて不服そうにしているのは創史で、無条件に緊張がほどけそうになる。
存在を確かめるように抱きしめられた。
「ライン見てよ」
もがいてみたけれど、びくともしない。