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ドッペルゲンガー

※即興で書いた一人声劇用台本。おそらく編集必須となります。著作権は放棄しておりませんので、もし演じてみたい方がいらっしゃったらご一報ください。

なお本人の作品は上記動画からどうぞ。

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SE:雑踏の中

1:あ~そろそろ時間だ~緊張するな~

SE通知音

1:おっ、「着きました、向かってます」…!わーオフ会なんて久々だから超緊張するわ~!どんな人なんだろ~!

SE通知音

1:何々…「黒い帽子に黒いスーツですか?」わぁもう近くにいる!「はいそうです…!」っと

SE:雑踏の中から足音

2:すいません、貴方が「〇〇」さんですか?
1:はい!そうです!あなたも「〇〇」さんですか…?
2:はい、そうです!
1:わーお会いできて嬉しいです!ハンドルネームが同じな時点で運命感じてたんですよね!
2:私もですよ。それに趣味も好みもぴったり同じだし、びっくりですよね!
1:月華さんも今お仕事帰りなんですか?
2:?なぜそう思うんですか?
1:いえ、私と似たような黒いスーツだったもので。それに帽子も。
2:ご名答。仕事が少し長引きましてね。本当は着替えてくる予定だったんですが。
1:わぁ……奇遇ですね!私もまったく同じで!労働は悪ですよ、全く……。
2:さて、これからどうします?私何も考えてなくて。
1:そうですね私も何にも…行くとすれば…
1・2:"アイゼリア"
1:……。
2:アイゼリアいいですよね、安いし、長居しやすいし。
1:なんか私たち、息ぴったり過ぎません?
2:確かに、そうかもしれませんね。
1:あの
2:はい?
1:マスク取って貰っても……いいですか?
2:いいですけど

1:ひぃっ!
2:どうしたんですか、お顔が真っ青ですよ。
1:同じ顔!!
2:え?
1:私とあなたが!全く同じ顔をしているんです!
2:それは奇遇ですね。
1:奇遇どころの話じゃないでしょう!これはまるで
2:"ドッペルゲンガー"ですか。
1:!?
2:不思議とあなたの考えることがふわっと頭の中に入ってくるんですよさっきのアイゼリアの時みたいに。というより、あなたが私と同じことを考えてるんじゃないですか?
1:私の方がドッペルゲンガーだとでも言いたいんですか?私は本物です!
2:落ち着いてくださいじゃあこうしましょう、交互にお互いへの質問をしていって、答えられなかった方が偽物。
1:やってやろうじゃありませんか。
2:じゃあ出身は?
1:ドイツ。好きなアニメは?
2:きるあきる。ドラマ今畑任三郎(いまはたにんさぶろう)の好きなエピソードは?
1:セカンドシーズンの「青か?赤か?」今度出す新刊の名前は?
2:俺の弟がピーなのでピーピーしてやろうと思います
1・2:合ってる。
1:新刊のタイトルはSNSにすら公表すらしてなかったのに……。まさかパクりやがったな!?
2:今日初めて会ったのにどうやってパクるんですか!
1:だってさっき「あなたの考えてくることがふわっと頭におりてくる」って……
2:それは物事を考えるとき誰しも同じことでしょう?それがあなたと偶然、たまたま同じなんです。
1:なんですかそれ……気持ち悪い
2:あの、ちょっといいですか。
1:なんです。
2:仮にお互いのどっちかがドッペルゲンガーだとしてですよ、不都合がありますか?
1:大ありですよ。ドッペルゲンガーを見た人は数日以内に死ぬっていうでしょう!?
2:だってあなた、「死にたい」って言ってるじゃないですか。
1:……。
2:他人と比べて自分には何の才能もない、世間の役立たず、社会不適合者だ、死にたい。って、思ってるでしょう。
1:そう、思うときも、ありますね……。
2:この世から消えたいと思っている、そうでしょ?
1:……参りました、降参です。
2:ね、私のドッペルゲンガーなら読めないはずがないんですよ。私の心の内を。
1:「SNSに同じハンドルネームのアカウントを作り、全く同じ呟きをし続けると、自分のドッペルゲンガーに出会うことができる」……こんな都市伝説、誰が作ったんでしょうねぇ。お陰様で我々の業界は大忙しですよ。
2:ドッペルゲンガーにも業界とかあるんですね?
1:当たり前ですよ。こんなに「死にたい」と願う生き物が多い世界、私ひとりじゃ回せませんので。
2:認めていただいたところで、そろそろ連れてってください。
1:どこへ?アイゼリアですか?
2:そんなわけないじゃないですか!「死」へ。
1:......あなた言ってたじゃないですか、数日後じゃないと「死」へは導けませんよ。数日後、また現れますから。その時にあなたの魂を何らかの形で引き取ります。
2:なぁんだ、そうなんですね。
1:それまでに、新刊持ってきてくださいよ。
2:……完成すればね。
1:それじゃあ。

SE足音雑踏に消える

2:さてと。「オフ会楽しかった、また会う日が楽しみ」……と

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