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「はたらく」の中で見えたものが自分に残る生き方を。#はたらくってなんだろう

「はたらく」を考えることは、生き方を考えることそのものかもしれません。
人生の選択肢や価値観が多様化した今「はたらく」とはどんな行為なのか。働いたその先には、一体何があるのか。

今回は「はたらく」をテーマに、株式会社cotreeのCOO・ひらやまさんとGC編集部 編集長・さとうの対談をお届けします。働くことに対する最初の印象から試行錯誤、働く先に見えているものまで語っていただきました。

「はたらく」について話していたはずが、いつの間にかお二人の生き方の話に着地していました。

「縛られる印象があった」「生きるために稼ぐ」2人の原体験

ーコンテスト「#はたらくってなんだろう」のお手本作品としてひらやまさんが書かれたnoteを読みました。社会人になる前、ひらやまさんは「はたらくこと」に対してどんなイメージがありましたか?
ひらやま:noteに書いた冒頭は実家の話をしています。父親が設計会社で働いていて、休日出勤している姿を書きました。

ある日、休日出勤していた父が、お昼を食べるために家に戻ってきた。学校が休みで手持ち無沙汰だった自分も、一緒に母のつくったお昼ごはんを食べた。

少しだけ会話をしてお昼を食べ終えると、父はソファでうつ伏せになって昼寝をはじめた。母はゆっくりと食器を片付けはじめた。

浮き沈みする、父の背中を、よく憶えている。
遠くをみる、母の眼差しを、よく憶えている。

南向きの窓から光が差し込むその部屋には、静けさが充満していた。小学生の自分には断片的にしかわからない、真っ白なあたたかさがあった。

ひらやま:大学4年ぐらいに前職クラウドワークスでインターンを始めて入社したのが、ちゃんとした仕事との出会いになります。

実家が農家をやっていたこともあり、自分の中で働くことイコール場所になっていて縛られる対象のイメージがありました。
クラウドワークスに入ったのもミッションが「“働く”を通して人々に笑顔を」だったからです。クラウドソーシングを活用して新しい仕事を生み出したり、オンラインで仕事をしたり、自分が好きな仕事が出来るんだと。

起きている時間の半分ぐらいが仕事なんですよね。仕事は充実してた方がいいよなと社会人になる前からぼんやり思ってました。

ーこういう風に働きたいみたいなイメージがあったんですね。
ひらやま:働くイメージよりは、生き方に近いですね。人生の半分ぐらい使う仕事がどんなものだったらいいか?と想像していました。

ーさとうさんのキャリアも面白いですよね。最初はどうでしたか?
さとう:脚本家を目指してアルバイトした経験が最初です。当時の家賃は27,000円で高円寺の風呂無しアパートに住んでいました。 

生きるにはお金がかかるんだって感じたのが記憶として残っています。出来るだけ生活コストを落とすために渋谷の居酒屋で週2~3回深夜まで働き、他の時間は脚本の勉強に充てていました。

働くのは「生活のため」と割り切り、生活とやりたいことを分けていたのが僕の20代前半でした。

社会人1年目から今。自分のためだけに生きるのは飽きた

さとう:ひらやまさんのnoteを読んで、社会人1年目の話をそんなにお聞きしたことがなかったなと気が付きました。一番印象的なエピソードは何ですか?

ひらやま:僕本当に仕事が出来なかったんですよ。言われたことが出来ないし、言われたことしかやらないし。悪意があったわけではなく、農学部の学生で社会人経験もほとんどなくベンチャーに入り、余裕もなかったです。抜け漏れもたくさんあって、ボコボコに怒られることもありました。

さとう:僕の社会人1年目は、仕事が出来ないのにプライド高くて人に聞けない状態でした。今となっては、すごく困った人間だっただろうなと思っています。言ってくれる相手や気付かせてくれる相手はすごい大事だったと思います。

ひらやま:振り返ってみると、怒られるのは愛でしかないですよね。自分より仕事出来ない相手に対してなぜ出来ないのか?どうやったら出来るのか?感情含めて伝えてくれるのはかなりの愛情ですよね。それを惜しみなく注いでもらったのはめちゃくちゃ感謝してます。

ー社会人経験を重ねて、働くに対する考え方や仕事へのスタンスはどう変わりましたか?
さとう:僕は大きく捉え方が変わりました。最近学生さんから「一生暮らせるお金があっても働きますか?」と聞かれて「働くと思います」と答えました。なぜかというと、自分のためだけに生きるのに飽きたんです。

20代を振り返ってみると本当に自分のことしか考えていませんでした。 生活するため、ご飯を食べるため、目標を達成するため、自分のことだけしか考えられていない時期でした。

ここ最近は、仕事を通して誰かに喜んでもらえる気づきがあったり、人のために働くのが純粋に嬉しいと思ったんですよね。そこは大きく変化した感覚があります。働くって他人と関わる営みの1つなんじゃないかな、と思っています。営みの言葉自体が「働く」や「仕事」を内包しているらしく、この言葉が最近好きです。

ひらやま:その感触は僕も何となくあります。前提として自分が健康で楽しく働いているのはすごい大事だと思います。その上で他者のために働く、関係性が良くなることが自分にとっても相手にとってもいいなと思います。

仕事を通して信頼が生まれるのは自分も相手も関わる人もみんな嬉しいし、それを見てる人も嬉しいですよね。全体性みたいな考え方なんだろうな。

さとう:cotreeさんは循環を生んでいて、応援されているプロダクトであり会社さんだなって印象があります。

ひらやま:ありがたいです。サービスとしてもそういうものを提供している自覚があります。誰とも上手く繋がれなくなった人がカウンセラーやコーチに相談して関係性を作り、「よく繋がれた関係性」を現実や日常に取り戻していくことをしています。

どうやったらそれが出来るかを考えているので、そこに気持ちが強いメンバーが集まりやすいですね。ユーザーのことを一番に考える部分は全員に共通していて、そこがブレたことはないです。

さとう:他者を尊重する文化がcotreeさんの中にあるんじゃないでしょうか ?

ひらやま:関係性はすごく良いです。同じプロダクトを作っているんですけど、一人じゃ出来ないんですよね。エンジニアだけでもデザイナーだけでも作れなくて、それぞれの職能を一個に表現しなくちゃいけない。そこで繋がっている部分があります。

さとう:僕自身もGCストーリーには「どんな社員が多いのか?」と質問を受けたりします。GCメンバーに聞いてみると「いい人が多い」って返って来ます。いい人ってなんだろうと自分なりに考えた結果cotreeさんのソーシャルスタイル分析を思い出しました。

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(引用元:結局、自分にしかなれないなら「不完全さ」を含めて愛するしかないじゃない)

さとう:GCメンバーは「協調派」であるエミアブル要素が多いかなと思います。「親しみやすく、協力的」「人間関係を重視する」とか。ここの表現を「いい人」と言っている気がしています。かつ自分と向き合い内省する人が多いですね。

フィットする仕事の見つけ方は、自分なりでいい

ー「はたらく」って誰と働くかも大事ですし、何をするかも大事だと思います。今の仕事について思っていることを聞いてみたいです。
さとう:ひらやまさんは、今の仕事内容が一番しっくりきてる感じですか?

ひらやま:回答にならない可能性がありますが、僕の役割であるCOOはバランサーになりがちなんですよね。
ただそれは意志のある調整というか、水じゃないですけどしっくりくるように形が変わるんですよね。環境が変わったら自分も変えていきます。今もすごいしっくりきてるし、1年前もこれからもしっくりくるんだろうなって感覚があります。

さとう:器によって形を変えられるってことですよね?

ひらやま:気をつけなくちゃいけないのは、環境を選ばないといけないんですよ。良くも悪くも変わってしまうので、つまんなくてもアジャストしちゃう。自分がどこにいるのかは気をつけないといけないなと思ってます。

ーさとうさんは今のお仕事についてどうですか?
さとう:「辿り着いた」感覚があります。20代の僕は本当に試行錯誤していた気がします。自分を犠牲にして人のために頑張る時期もあったし、自分のやりたいことを優先してお金にならず生活が出来ない時もありました。頑張っても成果が出せなかった領域もあって、自分に負荷をかけてどうにか頑張る働き方をしていました。

今楽しみながら働けて他人にも喜んでもらえる仕事をやらせてもらっているのは、ありがたいです。

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ーお二人それぞれ自分の性質を知り仕事とフィットさせた経験があるんですね。やりたいことが自分の性質に合うか、どんな働き方なら出来るのかを知るには時間がかかるのかも。
ひらやま:就活生は難しいと思います。仕事に自分を合わせないといけないし、会社の中でどれぐらい変化の余地があるかも見えないし、難しいですよね。

仕事を作るところまで行けると楽しいと思う。自分も楽しいし目の前の人も喜んでくれるし、繰り返していくと合う仕事を見つけられる。それが出来始めると楽しくなってくるんじゃないかな。

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働く中で見つけた大事なものを、死ぬまで自分に残したい

ー最後に、お二人が「はたらく」の先に何を見ているのかを聞いてみたいです。働くことを通じて何か実現したいことはありますか?
さとう:その人自身の素晴らしさが伝わることがやりたいと思ってます。個人にしろ法人にしろ、意外と誤解されて伝わってしまうケースはある気がします。
僕自身が聴き手となり奥底にある本当の願いや考えをうまく翻訳して、多くの人に伝わった結果共感されて応援されるような状態になったらいいなぁと。

GCストーリーは全員パーソナルミッション(個人理念)を持っています。僕の場合は「信念を描く」です。今はインタビューやコンテンツ作りなど、GCストーリーが多くの人に伝わるような仕事が「信念を描く」に繋がっている気がします。 働くを通して実現したいことも結局ここに行き着くんじゃないか、と思っています。

ひらやま:noteには「『はたらく』の先にある、人の心にいつまでも残るような美しい物語に、ぼくは出会いたい。」と書きました。表現は物語じゃなくてもいいんですが、働いてるときに見えたものが自分の中にずっと残るといいなあと思っています。それは信念にもかなり近いと思います。

「大事にしたいものを大事に出来る」が言葉としては近いかもしれません。その手前で自分にとって大事なものを見つけられたりアップデート出来るのが大切だと思うので、自分なりの仕事を作ったり、自分の働き方をその時に合わせて選択できるのが大事なんじゃないかなと。

その時の自分に応じて変えていった先に、いいなと思えることや楽しいと思えることが発見できると思います。
働いた先に、死ぬまで自分の中に残るような情熱なのか信念なのか、そういうものが昇華されるのがいい働き方で、いい生き方なんじゃないかなと思います。


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【プロフィール】平山 和樹さん
株式会社cotree COO兼CNO(chief note officer)。
株式会社クラウドワークスに大学在学中から参画。退職後、自分の原体験もあり人の心と物語を支えるサービス作りと持続的なプロダクトグロースを志向。2018年6月に株式会社cotreeに参画。2019年10月にCOO就任。カフェラテがすきなアドレスホッパー。1年半でnote360本執筆中。

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【プロフィール】佐藤政也
GCストーリー株式会社 インハウスエディター。GC編集部編集長。
フリーライター、高齢者施設の介護職・相談員を経てGCストーリーに営業職として入社。部署新設に伴いマーケティング職も経験後、現在はオウンドメディア(企業note)の運営、広報、事業部のミッションビジョン策定に関わる。コンテンツ制作をメインとした企業内の編集者として活動している。

▼お二人が「はたらく」をテーマに対談された様子はこちらからもご視聴いただけます。


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取材・文・編集/櫻庭実咲        デザイン/熊谷 怜史

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