古川節子

タイ北部チェンマイで綴っています。📕 My​ book|古都チェンマイのとっておき 執…

古川節子

タイ北部チェンマイで綴っています。📕 My​ book|古都チェンマイのとっておき 執筆・撮影のご依頼は、yunkaosあっとgmail.com(あっと→@)までお願いします。

マガジン

  • チェンマイ俳句毎日

    チェンマイで季語を体験したいと思っています。なるべく毎日投稿を目指しています。

  • エッセイ

    古川のエッセイをまとめました。

  • 俳句エッセイ

最近の記事

  • 固定された記事

コボリ

 コボリという名前の友人がいる。 友人といっても、ごくたまに、しかも偶然会った時に少し話をする程度だから、向こうにしてみれば、ただの知り合いでしかないかもしれないが、私の方では勝手に友達だと思っている。  コボリはチェンマイ生まれのチェンマイ育ち。生粋のタイ人だ。それなのに、「コボリ」という日本人の名前で呼ばれているのには、理由がある。 それは、彼がいつも日本兵の格好をしているからだ。 チェンマイ市内で行われる伝統行事などに、彼は必ず日本兵の扮

    • バナナ * チェンマイ俳句毎日

      【チェンマイ俳句毎日】2024年6月15日 吊られゐるバナナの部屋を明るうす 一房の半分青きバナナかな 朝市の最後に求む青バナナ 紐かけてバナナを渡すバナナ売 一房の重みバナナの十八本 咳残る夫に選びしバナナかな 私が朝市で必ず買うもののひとつがバナナだ。タイではバナナは1年中出回っているが、今は一房で20バーツ(約80円)と安いので、よく採れる時期なのだろう。 バナナにも色々な種類がある。我が家の好みは、タイでは一番ポピュラーな「 グルアイ・ナムワー」という

      • 夏雲 * チェンマイ俳句毎日

        【チェンマイ俳句毎日】2024年6月14日 かたちよき夏雲へ伸ぶ梯子かな 最近は雨が止んで晴れると、こんな空が広がっている。雲に梯子がかかっているみたいな家があった。小さな屋上で何をするんだろう。 夏の雲のかたちは見ていて飽きない。寝転んで眺めてみたい。 ✍️ 先程、「おじいさんと孫」というエッセイを書きました。ささやかですが、またチェンマイが好きになるような出会いでした。お時間ある時に、読んでいただけるとうれしいです。

        • おじいさんと孫

           少し湿っぽい朝の風が木漏れ日をやわらかく揺らしている。  おんボロ軽トラックに据え付けられたカウンタ―席で、あったかいラテを飲みながら、私はいつものようにオーナーのマイちゃんの話に耳を傾けている。  3年前、コロナで失業したその翌週から、この路上に折りたたみのテーブルとプラスチックの椅子を置き、カフェを始めたマイちゃん。タイだからといって、街中の路上で誰でも自由に商売ができるとは限らない。場所によっては問題が発生することもある。しかし、誰もが見えないウイルスに怯えて家から

        • 固定された記事

        マガジン

        • チェンマイ俳句毎日
          165本
        • エッセイ
          16本
        • 俳句エッセイ
          3本

        記事

          夏の空 * チェンマイ俳句毎日

          【チェンマイ俳句毎日】2024年6月13日 清しゃなる煙昇るや夏の空 youtubeで安里勇さんの「島々清しゃ(かいしゃ)」を聞いた。 沖縄の民謡は言葉が分からないところがあるので、私はよく歌詞を見ながら聞いている。 ♪ 島々清しゃや (清しゃぬ) 城に御願所よ  前の田んぼによ 夕陽赤く燃えてよ (サーユイヤサー) 畑で草焼く白い煙の 煙の清しゃよ この1番の歌詞の、夕焼けに畑で草を焼く白い煙が美しい、というところにはっとした。 先月の中頃のことだ。近所の田んぼの

          夏の空 * チェンマイ俳句毎日

          夏野 * チェンマイ俳句毎日

          【チェンマイ俳句毎日】2024年6月12日 翼竜を追ふ少年の大夏野 今月の句会の兼題のひとつが「翼」。翼という文字を一文字入れて詠まないといけないのだが、なかなか浮かばなくて困った。 《翼竜を追ひかけてゐる夢夏野》というのも考えた。実際に私が良くみる夢は、何かに追いかけられていたり、駅で迷子になって約束の時間に間に合わない、みたいなトホホな内容が多いが、そのような感じで、《 翼竜に追ひかけられて大夏野》とすると、映画版ドラえもんに出てくるのび太君みたいでなんだかさえない。

          夏野 * チェンマイ俳句毎日

          蒼嵐 * チェンマイ俳句毎日

          【チェンマイ俳句毎日】2024年6月12日 青嵐セーラーカラーの翻る 今日は雨が降ったり止んだり、1日中、家事と写真の整理などで一歩も外に出ない日だった。それなのに、お隣さんからは黒もち米のココナッツミルク煮という、ほんのり塩気の効いた素朴でおいしいタイスイーツをもらった。日本だとお汁粉っぽい感じだろうか、黒もち米のプチプチとした歯ごたえとクリーミーなココナッツミルクのソースの組み合わせがなんともおいしい。 その上、服作りをしている大家さんからは、セーラーカラーのシャツ

          蒼嵐 * チェンマイ俳句毎日

          入梅 * チェンマイ俳句毎日

          【チェンマイ俳句毎日】2024年6月10日 ふたつめの塩入キャンディ入梅す 雨季曇遊泳のごと太極拳 雨季入りや前髪伸ばすこととする 今日は暦上で梅雨入りの「入梅(にゅうばい)」ということ。 最近、タイのコンビニでも熱中症対策っぽい塩入のレモン味の飴が売られていて、夫に買ってきて欲しいと頼まれた。パッケージにはでかでかと日本語で商品名が書かれているが、作られているのはマレーシアのよう。けっこう売れているのか、入ったコンビニでは残り一袋しかなかった。 タイも雨期に入り

          入梅 * チェンマイ俳句毎日

          雨の祈り * チェンマイ俳句毎日

          【チェンマイ俳句毎日】2024年6月9日 踊りつつ雨乞仏の列来る チェンマイの都を護る御柱(サオ・インタキン)を祀る伝統行事が、旧市街の中心近くにあるチェディルアン寺で行われた。 柱の納められたお堂の前には、たくさんの花台が並べられ、参拝客は花台の上に小さな花束を一つずつ置き、チェンマイの街の安泰や家族の幸せを祈る。そのため、花を花台に入れるという意味の「 サイカンドーク」とも呼ばれ、期間中、寺は花で埋め尽くされる。 本堂の前には雨を降らせるという仏像「プラチャオ・フ

          雨の祈り * チェンマイ俳句毎日

          夕立風 * チェンマイ俳句毎日

          【チェンマイ俳句毎日】2024年6月8日 夕立風ドリアンにある千の棘 苦手な用事が無事に終わったので、ちょっとゆっくりしようと車の行き交う路面に面したオープンカフェでコーヒーを飲みながら、読みかけの本を出した。 カフェの隣りはベーカリーで、風にのって焼き立てのバターケーキの甘い香りが漂ってくる。食べないけど、読んでいるエッセイの朗らかな文章に似合う気がする。 コーヒーを半分ほど飲んだころ、バターケーキの香りが、やや発酵したような、ねっとりとした香りに変わってきた。これ

          夕立風 * チェンマイ俳句毎日

          冷蔵庫 * チェンマイ俳句毎日

          【チェンマイ俳句毎日】2024年6月7日 空夜ふと耳当ててみる冷蔵庫 今日は(も)句が出来なくて家の中をうろうろ吟行して捻り出した。できなかったら下の句にしようかと思ってたので、少しはマシかな?日記だけなら書きたいことはいろいろあるが、句が問題。あった事をそのまま句にするのは難しい。 ボツの句 夏の燈や一句浮かばず更けにけり

          冷蔵庫 * チェンマイ俳句毎日

          雲灼くる * チェンマイ俳句毎日

          【チェンマイ俳句毎日】2024年6月6日 呉爾羅とふ破壊の神や雲灼くる 飯を干す隣のおばちゃん割烹着 今さっき、やっと「ゴジラ-1.0」を観ることができた。随分待ったなあ。タイでは最近ようやくNetflixで配信されるようになったばかり。今日のタイのNetflix再生回数は堂々の第1位だが、タイの人たちからは、「劇場で観たかった ! 」という声が多く上がっているようだ。確かに、大画面のゴジラは絶対に迫力満点だし、作り込まれた細部も堪能できる。いろいろな事情があったのかも

          雲灼くる * チェンマイ俳句毎日

          驟雨 * チェンマイ俳句毎日

          【チェンマイ俳句毎日】2024年6月5日 まどろみの耳に驟雨の遠くあり 今日は少し体調が悪くて、家で大人しく過ごした。 句に関係ないのだが、昔撮った写真が必要になって探していたら、別の10年くらい前に撮った写真で、これまでどうしても見つからなかったものが偶然にぽろっと出てきた。探していた長い間に、どうも頭の中で美しくエフェクトがかけられていたようで、出てきた写真が案外普通で平凡なのに拍子抜けしたが、そこにはすでに亡くなった懐かしい方が写っていて、私はずっと、今ではもう取

          驟雨 * チェンマイ俳句毎日

          扇風機 * チェンマイ俳句毎日

          【チェンマイ俳句毎日】2024年6月4日 首振れば市場の匂ひ扇風機 チョンラパタン運河沿いにあるメーヒア市場には、「サイウア」という、ハーブのたくさん入ったタイ北部スタイルのソーセージのおいしいお店がある。 昼時はその場でぐるぐる巻きのサイウアをたくさん焼いているから、スパイシーで香ばしい匂いが市場に充満していて、思わずお腹が減ってくる。 その他にも、ワッフルを焼いていたり、焼き豚を炙っていたり、今が旬のドリアンも並んでいる。もちろん、生の肉屋や魚屋の生臭い匂いもあるし、

          扇風機 * チェンマイ俳句毎日

          万緑 * チェンマイ俳句毎日

          【チェンマイ俳句毎日】2024年6月3日 万緑やペタンクの玉弾く音 「ペートン」と呼ばれるスポーツの全国大会がチェンマイで行われている。もともとは「ペタンク」というフランス発祥のスポーツで、 銀色の金属製のボールを投げ合って、相手より目標に近づけることで得点を競うらしい。 タイ全土からペートンのチームが集まっていて、男女やトリプルス、ダブルスなど数日間かけて行われているようで、なかなか本格的だ。 我が家の近所の空き地にもペートンのコートがあって、たまにゲームをしてい

          万緑 * チェンマイ俳句毎日

          線香花火 * チェンマイ俳句毎日

          【チェンマイ俳句毎日】2024年6月2日 季寄せより線香花火の栞落つ 去年だったか、チェンマイ在住の方から日本の線香花火をニ本いただいた。白くて持つところだけが青く染めてある。きれいな紙縒りはきっと手作業なのだと思う。 ごく素朴なものだが、下さった方は日本の線香花火が持つ風情を大切にしているのだろう。そこから貴重なニ本を分けてくれたのだと思うと、なんだか特別なもののような気がして、灯さずに歳時記の栞にして眺めている。 ✍️線香花火 花火線香 手花火 夏

          線香花火 * チェンマイ俳句毎日