記事一覧
【映画評】『エイリアン:ロムルス』(ネタバレなし)
『エイリアン:ロムルス』を見た。
時系列は『エイリアン』と『エイリアン2』の間に位置する。前者のノストロモ号の残骸や、某キャラが再登場するのが懐かしい。他にもシリーズ4作をオマージュしたシーンが豊富にあるので、鑑賞前に復習するとより面白いかもしれない。
特に1作目の『エイリアン』との繋がりが、ストーリー的にもビジュアル的にも強い。『プロメテウス』や『エイリアン:コヴェナント』の時のような
何をしているのか自分でわからない信仰者
日本のキリスト教界の保守系教派はいまだに同性愛者差別を続けており、「LGBTQ」という大きな括りに対しても「反対」の姿勢を貫いている。自分の狭い観測範囲においてもこれは既に数十年継続している。呆れるし憤りを覚える。
しかし世界的に見ると2018年頃から、性的少数者をめぐる言説は大きく様変わりしている(特にここ数年は加速が著しい)。世界各国で次々と同性婚が法制化されたことで、同性愛者が政治的攻
【映画評】環境破壊の警鐘、あるいは環境支配の宣言『ツイスターズ』
オクラホマで大型竜巻が頻発し、調査研究のためにニューヨークで働くケイトが招かれる。渋々同行する彼女には大学時代、竜巻研究中に友人たちを亡くした過去がある。同じ頃、無謀な竜巻撮影で有名な映像クリエイターのタイラーたちも現地入りしていた。
『ツイスターズ』は1996年の『ツイスター』の28年ぶりの続編。前作で命懸けで設置した「ドロシー」を冒頭で学生たちが易々と設置していて、あの苦労は何だったのか
【映画評】飛行機の中でサメに襲われる 『エア・ロック 海底緊急避難所』
飛行機の中でサメに襲われる映画を試写した。
『エア・ロック 海底緊急避難所』だ。
メキシコに向かうイギリスの飛行機がバードストライクに遭って墜落し、海底に沈む。幸いコクピット側が前傾したため、尾翼側に空気が溜まってエア・ロック状態になる。生存者は7人。酸素が持つ数時間の内に救助が来るだろう、と一時は楽観するものの、機体の亀裂からサメが侵入し、決死の脱出を余儀なくされる。
91分と短尺な
【映画評】マルチバースに物申す 『デッドプール&ウルヴァリン』
『デッドプール&ウルヴァリン』は『デッドプール』シリーズ3作目にしてMCUに本格的に合流した作品。2017年の『ローガン』でウルヴァリン役を引退したヒュー・ジャックマンの同役復帰も話題になった。他にも多くのサプライズ登場がある他、MCUが突入したマルチバースに物申す面もあり、何重にも見応えのある出来になっている。
マルチバース(多元宇宙)はMCUに続いてDCEUも導入した注目の概念だ。様々な
2024年パリ五輪の開会式に向けられたキリスト教保守派の「敵意」の正体
2024年パリ五輪の開会式でマリー・アントワネットの生首が歌い、血しぶきが飛び散り、ヘヴィ・メタルバンドがシャウトし、ドラァグたちが舞い踊り、金の雄牛が掲げられた。強いインパクトを残したのは間違いない。テーマは「自由」とのこと。
それに対して「悪魔崇拝だ」「偶像崇拝だ」とキリスト教保守派が声を上げている。「ドラァグたちが気持ち悪い」という分かりやすい差別発言もあった(「これは信仰の表明であっ
【映画評】『バッドボーイズ RIDE OR DIE』
『バッドボーイズ RIDE OR DIE』を劇場鑑賞した。
シリーズ4作目にしてウィル・スミスの復活作。前作と直接繋がっており、マイクの息子やAMMOのメンバーが再登場する。シリーズ初となるスカイ・アクション、FPS感覚の戦闘場面、臨死体験を経てスピリチュアルに目覚めるマーカス、家族ができてパニック発作に襲われるようになったマイクなど、見所が多い。それぞれのキャラのサイドストーリーも豊富で、
セクシャル・マイノリティの声を聞く
2024年6月16日(日)、ジュンク堂池袋本店で『いちばんやさしいアロマンティックやアセクシャルのこと』と『トランスジェンダーQ&A 素朴な疑問が浮かんだら』の出版記念トークイベントに参加した。充実の1時間半だった。書籍だけでは感じ取りにくい、リアルな声やニュアンスに触れることができたと思う。印象に残った点と、そこから考えたことを以下にまとめておく。
※本稿はイベント内容を網羅したものではない
【映画評】『オールド・フォックス 11歳の選択』
試写会で『オールド・フォックス 11歳の選択』を見た。
一般庶民が株の売買に沸く1990年前後の台湾。タイライとリャオジエの父子は、そんな時流に乗ることなく慎ましい倹約と貯金で家を買おうとしていた。けれど物価上昇の煽りを受けて目標を断念せざるを得ない。そんなとき知り合った事業家のシャに「他人を思いやるな」とアドバイスされ、父と正反対の生き方に触れた11歳のリャオジエは、大いに葛藤する。彼はど