胡椒

ピリッとニヒルな黒いやつ

先日、TVで胡椒飯のことを取り上げていた。海老でとったお出汁でご飯を炊き上げ、最後に胡椒を振る作り方だったような・・・。

江戸時代の料理本にも胡椒飯の記述が見える。

その作り方は上記とは逆で、胡椒の粉末をふってご飯を炊き、それにだし汁をかけて食べたそう。

他にもうどんを食べる際に、味噌だれや、鰹のだし汁に胡椒を入れて食べたり、とろろ汁や豆腐料理などの仕上げに胡椒を用いることは常の事といってもいいほどに、当たり前の事だった。


14世紀に西欧で起こった大航海時代は胡椒を手に入れんがための船出だった。当時のヨーロッパでは胡椒は金に相当するくらいの価値があったそうな。

じゃぁ、その頃か、と調べてみると日本への伝来は8世紀半ばのこと。鑑真和上が中国から伝えたとされている。世界が胡椒を争っている頃には日本ではもう、栽培が進んでいた。ただ、伝来した当初は調味料というよりも薬として伝わっていた。胡椒には解毒・解熱・吐き気止めなどの効能があり、乾燥させた胡椒は日持ちもよく、重宝された。


また、戦国時代に武士が戦に用いた水筒(竹筒)に胡椒を入れておく風習もあった。この竹筒には米が入っており、防腐剤替わりとして胡椒を入れておいた。胡椒には体を温める効能もあるので、米を炊く際には一緒にいれたのかもしれない。


江戸時代に発行された料理本『新着料理 柚子珍秘密箱』には「柚飯(ゆうめし)」という料理が紹介されている。

白いご飯に酒・醤油・柚子のしぼり汁を混ぜたものを茶碗に盛り、その上に柚子の皮と煎った粒胡椒を乗せて食べるもの。

これを冬場に食せばそこらでごろ寝しても風邪を引かないとまで言われた。

こうやってみると、日本人ともともとはインド伝来の胡椒の付き合いは古く、今でもほとんどの家の調味料スペースには欠かせない存在。

今では、胡椒というと和食以外に使う場面が多いように思うが、昔は当たり前の調味料として様々な料理に使われていた。

ちなみにあたしが好きな胡椒の使い方は、少し塩を利かせた白身の魚を椀に入れ、吸い物仕立てにし、そこににぱらぱらっと黒胡椒を散らしたもの。もちろん、一気に吸い込んでしまうと咽るので振りすぎにも、吸い込みすぎにも注意を。




もし、気に入っていただけたら心強いです。ますます変態的に調べ、研究しまくれるようになります。