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国際マウンテンランニング連盟への寄稿とSTORY6 日本語版

この機構も今回を入れてあと3回。残り1ヶ月と思うと寂しさが募ってきた。僕に書けるだろうか?と思いつつも翻訳を友人に助けれながら書いてきた。僕一人で話し得なかったのは間違いないが、とても良い景観になっているし、これからも「やりたい!」と思ったら手を挙げる大切さをしみじみと感じている。コロナ禍になって先が見えない日々が続く。日常はいつ日常でなくなるかなんてわからない。だから、飛び込むチャンスがあるならば間違いなく飛び込むべきだ。何を選んでも不安がないことはまずないだろう。であるならば、自分がやってみようと思うことに挑むべきだ。

ぜひ、今回の記事だけでなく、過去記事も読んでほしい。競技の話とジュニアにまつわる話を交互に書いているので興味のある方だけでも読んでもらえたら嬉しい。


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寄稿記事


日本語原文

STORY6 「子供達の憧れ、マウンテンランナー」

2018年イタリア北部のマロンノで行われたワールドカップレースに出場した。この街はマウンテンランニングがご当地スポーツになっており、”home of Champions”をうたっており、その名の通り熱狂的な街だ。滞在中もレース中も折に触れ、それを肌で感じることができる。どの街のレースに出たい?と聞かれたら迷わず僕はマロンノの名をあげる。マロンノはレースのオーガナイズだけでなく、長年大会が行われていることもあり、人々の目が肥え、マウンテンランニングが人々の生活の一部になっているからだ。この街に生まれ育ったならば当たり前のように山を走り、一流ランナーの背中を追う経験が出来るはずだ。その意味でこの街はマウンテンランニングの伝統的かつ最先端をいく街だと思う。

レースの前後、国際枠の選手(及びイタリアのエリート選手)は街の高台にある教会の修道院跡地にて共同生活をする選手が宿舎にする隣にそびえる教会は街のシンボルのような存在で、街のどこからもよく見える。そして、選手がここに滞在をしていることを町中の人が知っているので、覗きに来る子どもたちが多い。この街では子どもたちにとってマウンテンランナーは憧れの存在だ。しかも、レースの時期には世界中から強豪が集まる。その選手たちが自分たちのすぐ近くで泊まり、トレーニングをし、談笑しているのだ。山を走る子供達にとっては1年で最高の時期かもしれない。宿舎にいたずらっけのある表情で時々子ども達が訪ねてくる。挨拶をして、逃げてしまう子もいれば、サインや写真を求めてくる子もいる。それに応えるのはランナーにとっても誇らしいことだ。

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マロンノのレースは2日間にわたって開催される。1日目がPitz Tri vertical(3.5km +1000m)であり、2日目がFletta Trail(21km ±1100m)である。2018年はPitz Tri vertaical(3.5km +1000m)が土曜に開催されワールドカップレースだった。1日目のバーチカルは特にフィニッシュ直前の登りが壮絶で傾斜は40度以上であり、選手は手をつきながら這うようにしてよじ登る必要があるが、その真横まできてギャラリーが応援してくれるので、苦しくて苦しくてたまらないはずなのに思わず笑ってしまう。

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土曜夜、1日目のレースPitz Tri verticalの表彰式と2日目のレースFletta Trailの招待選手紹介セレモニーが街の中央広場で行われる。その華やかさと演出は素晴らしい。1人ずつ、名前を呼ばれステージに上がるのだが、その際に1日目のレースの写真とともに大きくスクリーンに映し出され、子供たちが作る花道の間をハイタッチを交わしながら駆け上がる。そう、ここに呼ばれ、ステージに立つことは子供たちの憧れの象徴なのだ。セレモニーの前後にも子どもたちは選手のところへ代わる代わるやってくる。宿舎で話した子が自慢げに友達に紹介したり、チャンスを逃した子が今度こそはと勇気を出して話しかけにきたり。こうやって、選手はこの街に滞在する間に、たくさんの未来のマウンテンランナーたちと友人になる。そういう仕掛けがマロンノのレースには随所にちりばめられている。

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2日目のレースのスタートも印象的だ。前夜のセレモニー同様にスタート前にエリート選手たちは名前を呼ばれ街の子供達やサポーターによって作られた花道を駆け抜けスタートラインに整列をする。こうして選手をリスペクトしてもらえるのは本当に嬉しいし、レースにおける大きなモチベーションだ。そういえば、大人がFletta Trailを走っている間に街中ではジュニア向けのレースも開催している。未来を担うジュニアランナーたちが大人と同じ舞台に立ち、走る。子どもたちにとってはかけがえのない経験だし、保護者やギャラリーからすれば応援しがいのある素晴らしい機会だと思う。

マロンノの魅力はもう1つある。それはマウンテンランニングスクールの存在だ。 毎年、秋口に子供達を集め地元の有力選手が先生を務めている。マロンノには総合スポーツクラブ「Unione Sportiva Malonno(U.S.Malonno)」があり、マウンテンランニングスポーツもその取り組みの1つだ。実はこれが僕が日本で立ち上げたジュニアトレラン部のモデルケースだ。次世代育成と目の前で活躍する大人世代の一流選手。その姿に憧れてジュニアがさらに育つと言う循環。マロンノでは大会が素晴らしいだけでなく、マウンテンランニングが地域に根付くように幅広い世代へきちんと働きかけをしているのだ。

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以前も書いたが僕自身はスポーツが小さい頃から苦手であった。また、僕の両親はレストランを経営していたので夜は遅く、小さい頃から知り合いのところに預けられて育った。小学校からは電車に乗って学校に通っていたので自宅の近くに住む友人もいなかった。こうして書くととても寂しい生い立ちみたいだが、学校帰りに友達の家に遊びに行ったりしてもちろんそれなりに楽しく過ごした。ただ、スポーツができないことにコンプレックスはあったし、運動が苦手なことでいじめにあうことはなかったが、もし、小さい頃から自然にもっと親しみ、スポーツを楽しめるような環境があったらもっと早くスポーツを好きになることができたかもしれない。だから、マウンテンランニングスクールの取り組みを知ったときに素晴らしいと思ったし、ジュニア向けのレースだけでなく、身近な活動として取り入れる大切さを強く感じたのだ。

各地の素晴らしい事例を取り入れながら日本のマウンテンランニング環境を育てるのは僕の大切なミッションだ。この寄稿も終盤になってきたが残りの数回もぜひ楽しんで欲しい。

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【今後の予定】
8/7(土)ランナー、トレイルランナー向けテーピング講習会 Part.2

8/28(土) Duo Espoir 20周年記念リサイタル
9/26(日)第6回NAGANO Jr TRAILRUN in 富士見高原
10/10(日)トレイルシンポジウム2021

10/17(日)第13回TOKYO Jr TRAILRUN兼-U15ジュニアトレイルランチャンピオンシップ
10/31(日)第7回YAMANASHI Jr TRAILRUN in 武田の杜 

11/7(日)逗子トレイル駅伝2021兼U-12ジュニアトレイルランチャンピオンシップ

「RUNNING ZUSHI」
逗子市内池子の森自然公園内400mトラックを拠点にしたランニングチームです。
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2021-06-25 06.27.50のコピー


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