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『ダブル・ゴール・コーチ』を読んで

この本は2つの意味でぼくにとって重要な啓示を与えてくれた。

1つはぼく自身の競技のこと。

もう1つはライフワークにしているジュニアたちに向けての活動。

ここのところ滞在記を書き続けていたのでご存知の方も多いかと思うが、僕は9/4にオーストリアで行われたマウンテンランニングのマスターズ世界選手権に出場した。このレースは僕の今年の目標レースであった。

この本を片手に渡航し、旅の途中で読むことにした。レース前のタイミングで読むことで結果を出したいという思いに囚われてしまいがちな自分へのヒントを探し求めていたからだ。


ぼくの競技のこと

以下は、先日のマスターズ世界選手権に出場する数日前のぼくの心境だ。

僕は20代半ばを過ぎてから山を走り始めた。競技をするという視点で考えるとこれは大変遅い。加えて、僕なりに頑張ってはいるが、アスリートとして見た時にぼくははっきり言って才能がない。けれど、才能がないからこそ少しでも可能性がある種目や距離、適正の高いレースやチャンスを求めて少なくとも日本ではメジャーな活動とは一線を画し独自路線を歩んできた。

ただ、こうした活動は生存戦略やチャンスを掴むためには正しい方法があるだと僕は確信しているが、残念ながらこういった発想や行動は日本では評価が大変低い、というかされない。

自分の信じた道を歩み、その先に素晴らしいレースや出会いがあったので僕は幸せだ。ただ、そういう楽しみ方や向き合い方を認めてもらえない事には複雑な思いがある。

クドクド書いたが僕の競技には常に影がついて回っている(と思い込んでるだけかもしれない)。そんな複雑な思いを誰よりも知っているのは妻だ。国際連盟やワールドカップの主催者に直談判して渡航するのはいつもの事だし、話が違ったり、旅程が狂ったりしがみつきながらも、苦しむ僕をずっと見てきた。サポートで来てくれた時は色んな苦労も一緒にした。

好きな事をしてるのに辛いというのは贅沢なことかもしれない。特にレース前にクヨクヨする僕を叱咤激励してくれる。「余計な事を考えるのはきちんと自分を見てない証拠よ!」って。

こうして、ケツを叩いてもらい送り出してもらったおかげで終始気持ちを切らす事なく、最後まで走り切れた。だから、フィニッシュでは自然と笑顔になっていた。
今度の土曜日は同じように笑顔でフィニッシュ出来るだろうか?それとも歯を食いしばっているだろうか?

奇しくも8年前の今日は僕がマウンテンランニングの日本代表になり、その壮行会をしていただいた日だ。妻はもちろん、誰に聞かれても胸を張って「ベストを尽くしたよ。」と言える走りをしたい。



そんな思いを抱えながら旅をしていた。今年は唯一の勝負レースということもあり、気がつけばいろんな思いに囚われたり、結果を出すことばかりに目がいってしまう日々を過ごしていた。



僕が印象に残ったこと

以下、少し長いが引用する。

何かが本当にほしかったとき、その強い気持ちが逆に妨げになってしまったという経験はないだろうか。研究の結果、選手がスコアボードの数値に集中すると、ある現象が起こるということがわかってきている。
 それは、選手の不安感が増幅されるというものである。スコアボード上の勝利が何よりも大事だと考える選手は「負けてしまうのではないか」という不安を感じ、貴重な気力を費やしてしまう。問題となるのは、不安になったり緊張したりすると、失敗しやすくなってしまうということだ。失敗を恐れるようになると、躊躇ったり臆病になったりしてしまうのである。
 不安感を抱き始めると自信をなくしてしまう。自信喪失は、パフォーマンスにもスポーツを楽しいと感じるかどうかにも影響する。子供たちがスポーツを楽しいと感じると、練習量も増えるし、生産性も向上する。
 スコアボード上の成果を挙げたいと思うと、不安感が増してしまうのはなぜだろうか。それはスコアボードの数値は自身のコントロールが及ぶものではないからである。人は、自分にとって大事なこと、かつ自分のコントロールが及ばないことに不安を感じるものだ。(P.51~52から引用)

大切なのは自分がベストパフォーマンスをすること。結果を追い求めるからこそ、自分が力んだり不安を抱えていてはベストパフォーマンスから遠のき、目標とするタイムや順位から遠のいてしまう。

自分が1秒でも速く走りたいなら、1つでも上の順位を目指したいならばなおのこと自分の中に沸き起こる不安を払拭する必要がある。

これは僕の大変苦手とすることで、一方で僕の妻はこの不安との向き合い方が上手だ(もちろん妻も不安を抱えるし、緊張はする)。

自分の弱さ(今回で言うなら不安)と向き合うことには勇気がいる。けれど、そこから目を逸らすことなく向き合う事によって実は成長のチャンスを得ることができる。そんなことについて書いたnote。こちらもよければ読んでください。

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ジュニアたちに向けての学びと心がけ

僕が行うジュニアたちの活動ないし彼らの成長のためには「行動目標」がキーワードなる。こちらも関連するところを引用する。

 原則的に、人は称賛、見返りや成果を得られることをやる傾向がある。努力を称えられた選手は、その後も頑張る可能性が高まる。「頑張ることに意味がある」ということを選手に理解させることができれば、それは彼らのその後の人生の糧となるだろう。
 初心者や比較的レベルが低い選手にとって、大抵の場合、試合結果はコントロールできるものではない。そのため、成果目標を与えると落胆させてしまい、やる気低下につながるかもしれない。一方で行動目標は、自らの努力次第で達成可能なものであり、自分の達成度が見えるため、どのレベルの選手であってもやる気を出させるためのツールとして用いることができるのだ。(P.75~P.76から引用)

主催するジュニアトレイルランでも大切にしているのだけれども、必ずしもレース結果が全てではない。勝者は1人しかいないし、勝者になれなければ価値がないと仮に思い込んでしまったら勝てなくなった瞬間に行き詰まる。それにそんなプレッシャーの中走り続け他としてもきっと楽しくなくなってしまう。

大切なのは努力することの大切さや、楽しむことであり、それが自身の取り組んでいるものだけでなく人間としての成長につながる。



子どもたちに向けて

今、我が家には3歳の息子と9ヶ月の娘がいる。この1ヶ月は渡航して、その後の隔離期間とオンライン上でやりとりをするばかりであった。だから、その分を取り返すべく、こどもたちと可能な限り寄り添って過ごしたいと思っている。たくさん話を聞き、彼らと遊び一緒に過ごすことでそのブランクを取り戻したい。

ダブルゴールコーチの中には子供がスポーツをする際の向き合い方や心がけも記されているが、我が家の子どもたちはまだそこまでの年齢ではないと思うので、一緒に過ごす時間を大切にし、色々な物事の中から何かに興味関心を持ったときにその後押しをしてあげたいと思っている。

そんなことを書いていたら、息子がピアノをやりたいと言い出して早速習い始めたのだ。僕は渡航中だったのでその様子を動画で見たが、とても楽しそうだ。一音一音奏でるだけでも飛び跳ねて喜んでいる。その様子を見て僕まで楽しくなった。

好きなことをするというのは改めて大切なことだと子どもから教わった。

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最後に

今回僕は自身の経験と結びつけて一部を抜粋するにとどめたが、コーチングをするにあたって、大切なスキルが色々と載っているのでスポーツ指導者の方にはこの本を読むことをお勧めする。もちろんアスリートにもだ。

この本のスキルを理解して日々トレーニンングに励めば、目先の結果にとらわれず長い目で見て競技者としても人間的にも成長できると思う。

これからも努力を重ねることで、自分が教えているジュニアトレイルランナーたち大切な我が子たちにかっこいい自分の背中を見せられるようになろう。


【今後の予定】
10/10(日)トレイルシンポジウム2021
10/17(日)第13回TOKYO Jr TRAILRUN兼-U15ジュニアトレイルランチャンピオンシップ
11/7(日)逗子トレイル駅伝2021兼U-12ジュニアトレイルランチャンピオンシップ
11/23(火祝):Duo Espoir 20周年記念リサイタ(8/28から延期開催)
11/28(日)大楠山ミニマウンテンマラソン2021(予備日2022/1/30)
2022/1/16(日)第3回YOKOSUKA Jr TRAILRUN & 駅伝 in 田浦梅の里(予備日検討中)

「RUNNING ZUSHI」
逗子市内池子の森自然公園内400mトラックを拠点にしたランニングチームです。
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2020-08-14 07.58.46のコピー


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