ルビー手芸店の月並みで愛しい日常④(物語)
煉瓦造りや石畳にしとしとと染みていくように小雨が降り続いてる日、午後になってもお客がまだ1人も来ず、みすずは編み物に没頭していた。入荷した商品を整理する仕事もあるが、こんな日は雨の雰囲気を感じながら、編み物に集中するのが大好きだった。
ルビー手芸店を始めたルビーおばあさん、今の店主の祖母にあたる人が残したカーディガンのレシピが出てきて、復刻して販売したいとみすずは試し編みを繰り返していた。全体に模様のある上級者向けのレシピで、写真やゲージ、サイズは別の紙だったのか見当たらず、