「不器用女子とぶっきら猟師のお仕事(小説新人賞最終選考落選歴二度あり、別名義、別作品で)」9
「君、また飲み会で“やっちゃった”らしいじゃないか」
教授は邪気のない笑みを浮かべる。
やっちゃった、と言われてすこし思案し、不倫の件についての発言だと美森は思い至る。
「正直なところ、居心地悪いんじゃないか」教授は同情のまなざしを美森にそそいだ。
「僕もね、頑固な性格のせいで長い物に巻かれるべきところで巻かれなくて、色々と苦労したからね、方向性は違うけど世渡りが下手という点で君の気持ちが多少はわかるつもりでいるよ」
「教授」美森は思わず小さく感極まった声をもらす。やはり、