堀江圭子

小説書いたりしてます。フィクション多め。 金のインディアン19。 Xしてます。 イ…

堀江圭子

小説書いたりしてます。フィクション多め。 金のインディアン19。 Xしてます。 インスタしてません。 趣味は読書とギターとジムと、、ライブ行ったり、BAR巡りしたり、小説書いたり、最近はカクテル作り始めました。好きなの多めです。 よろしくお願いします。

最近の記事

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性的マイノリティ

「朝井リョウさんの正欲って本があるじゃないですか。あれほんとすごいですよね。マイノリティをすごくよく描いてて」 あの本を、普通の人が読むのと、マイノリティ側にいる人が読むのとでは、感想が結構分かれる。 「めちゃめちゃ好きな本です。あの本に、「水」に性的興奮を抱く夫婦が出てくるじゃないですか。セックスなんてしたことないのに、この世の中を生きていくために2人で協力して、結婚して、なんとか「普通」になろうとしてるみたいな。わたしあれ、すごく理想です」 「あの……なんていうか、

    • 幸せセンサー

      「今月のチャラほんフェスどうすんだ?」 「チャラほんフェスってなんやねん」 推しのサポートギタリスト(チャラ)が出るフェスに行くかどうか迷っている。 「嫌いな奴いるからもう行かないんだっけ?」 「チャラの彼女モドキのアーティストがいるの。でも行きたいんだよねー。なぜかというと! 今回わたしのためのタイムテーブルになってるの」 「なにそれ」 「彼女モドキの女の順番がね、15組中3番目なの。1番目が初めて出る子で、2番目が地方から来てる人で、その後。普通人気ない人ほど

      • 結婚10周年

        縮まらない距離感に相手が音を上げて、数ヶ月おきに変わる彼氏。 結婚は無理だと思ってた。 半分はノリと勢いで、残りの半分は「今月を逃すと3年は結婚できない運気だから」という占いで。 結婚してダメだったら仕方ない。 続けばラッキー、離婚しても想定内。 「ほんと良い人と結婚しましたねー」 と呟くと、 「それは本当にそう思う」 と主人が言う。 「え? わたしのこと?」 「結婚したの間違ったと思うときもあるけど」 「なんだってー」 「いや、色々苦労かけてるし、あり

        • 自分に合うかどうかが大事で

          「最悪、めっちゃ肌荒れした。ブスになった」 「そんなことないよ。いつも嫁ちゃんは可愛いよ」 「でしょーーー!!」 「めんどくせぇな」 結婚生活を10年続けてると、わたしがこう言ったら主人はこう答える、というお決まりコントができる。 「でも肌荒れしてるな。どうしたんだ」 「ドモホルンリンクルを頼んでみたの」 元々わたしの肌はとてつもない敏感肌で、乳液と呼ばれるものをつけるとほぼ100%荒れる。 クリームと呼ばれるものも50%くらいの確率で荒れる。 さらに、今は

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        性的マイノリティ

          推しの命日

          アルバムに貼られた、冷たくなった推しのギタリストを撫でる。 「命日……あれから1年ね」 アルバムにいる推しを前に、手を合わせる。 わたしの推しは1年前に死んだ。 推しの分身のクソホストに殺された。 ここに貼られた推しは、まだ元気で、潔癖で、ひたすら前向きにギタリストの道を歩んでいた頃のもの。 「はぁ……」 ため息が出る。 綺麗だったのよ。すごくすごく綺麗で、汚れ一つなくて、真っ白。 この人、ギター以外のことに興味ないんじゃないかなって心配になるくらい、ギター以外の

          推しの命日

          どんどん綺麗になっていく

          「ビッグニュースビッグニュース!!」 寝ている主人を叩き起こす。 「なに……?」 「白キャン解散だって!」 「え…………いつ?」 「11月」 「あー、7周年で解散か……」 バタっと力尽きる主人。 推しの解散は精神的ダメージがすごいらしい。 真っ白なキャンバス。通称:白キャン そのグループ1番人気の小野寺梓が小野寺梓になる前から主人は推していた。 アイドルが、ちゃんとアイドルとして成功する過程を、主人もわたしも見てきた。 最初は顔もぽっちゃりで、どこか芋っぽさ

          どんどん綺麗になっていく

          下手な舞台

          明日から6月。 わたしが仕事で使っているカレンダーをめくると、ある日にちに「ブタイ」という文字が書き込まれていた。 「なにこれ? また舞台見に行くの? わたしもう行かないよあそこの界隈の。飽きたもん」 前回見た舞台はクソつまらなくてうんざりだった。ライブと違って舞台は、一度始まったら終わるまで出られない。足を組むのは役者さんに失礼だから、お尻が痛いのを我慢しながら2時間。金も時間も無駄にした舞台。 「いや違うんだよ。前回のとこじゃなくて、全然別のところだから。脚本もたぶ

          下手な舞台

          見せるために作らない人たち

          「絵を描くのが好きなんです! 絵を描いてる時が1番幸せで」 「そうなんですね! じゃあ今度描いた絵見せてください!」 「嫌です」 「え」 「歌を歌うのが好きなんです! カラオケとかめっちゃ行くんですよ」 「そうなんですか! じゃあ今度一緒にいきましょうよ」 「嫌です」 「え」 「文章書くのが好きなんです! エッセイだったり、物語を考えてるときが楽しくて」 「すごいですね! じゃあ今度読ませてください!」 「嫌です」 「え」 「ジャズのアドリブ、コピーで

          見せるために作らない人たち

          ライブ

          「カバー曲を歌います! 映画の曲なんですけど、みんな知ってるかなー」 ステージに出てきてすぐに歌い始めるアーティストが多い中、その人は軽いMCのあと、いきなりカバー曲。 「映画見ないし、どうせ知らない曲だろう」 そう思っていると、流れてきた曲に驚いた。 知ってる。 エヴァンゲリオン、残酷な天使のテーゼ。 フロアの客層は40代50代のおじさまが多い。 盛り上がらないわけがない。初っ端からやってくれる。 これでしっかり記憶に残る。 名前は忘れても、「あー、エヴァ歌った

          求められるレベル以上を

          夜ご飯を食べながら、この前の配信ライブのアーカイブを見る。 「あんた俺がいるときによくチャラ男見れるな」 「あんただって私がいるときに地下アイドル見てるじゃん」 結局、主人と一緒に見る。 「このマサって人はねー、ライブ面白いの。ちょっと話したことあるんだけどね、インディアンだからすごいサッパリしてて好き。あ、チャラに絡みに行くよ。ウェーイ、チャラー!」 画面に手を振る私。 「へぇー」 「今回現地行かなかったんだけどね。何人くらい客いると思う?」 「俺、KAKA

          求められるレベル以上を

          あれから10年

          ウエディング写真撮影。 「もうちょっと顔を寄せ合ってくださいねー」 「やだ! もういいよ。気持ち悪い。やだ」 「えええ!? 奥様、そんな……」 ウエディングドレスを着た花嫁が、花婿と顔を近づけるのを全力で拒否。 慌てるスタッフさん。 私の特性を知ってる主人は苦笑い。 「一回だけ我慢しろ」 「そうですよ。せっかくのウエディング写真なので。今回だけ我慢しましょう奥様」 「我慢」という言葉を使われるほど、顔を寄せ合うのは大嫌い。 顔だよ? 顔に相手の体温が近づくわけ

          あれから10年

          同じ脚本でも

          推しの役者が出てる舞台によく行く。 恵比寿にあるシアター・アルファ東京という小劇場で舞台を観たとき。 この劇場は、小さいながらもすごく綺麗で、椅子もしっかりしていて、段差もあり、とても観やすく居心地が良い。 そこで舞台を観ていたら、途中から知ってる内容だと気づいた。どこかで観たことある内容。 舞台が終わった。 内容はなぜか知ってたけど、役者の方が素晴らしく、とてもとても楽しかった。この舞台は2回観ました。 劇場を出た後に主人に聞いた。 「なんか今日見た舞台、どっ

          同じ脚本でも

          好きになった男の子はいつも

          好きになった男の子はいつも縛られている。 小学5年生の頃に好きな男の子は、後ろ手に手を縛られていて、男子トイレの個室に押し込まれていた。 「やめろよー!」と個室の中で叫ぶ彼を、いじめっ子の男子がドアを塞ぐ。 仲間の1人がバケツに水を入れて持ってきて、それを持ち上げて彼がいる個室の中にぶちまけた。 バシャ 頭から水をかぶり、びしょ濡れになる彼。 髪の毛はおでこに張り付いて、たぶん泣いているのだろうけど、全身びしょ濡れなのでよくわからない。 手はうしろで縛られているので

          好きになった男の子はいつも

          会えない人でもよくて

          誕生日は12月24日。 本屋に行って、彼との相性を調べる。付き合えるのか、付き合えないのか、そんな妄想を楽しむ。 彼の好きなブランドはFILA カタカナの「ラ」を反転したようなロゴが特徴で、部活で使う運動靴やウィンドブレーカーはFILAにした。 キャップを被った横顔は、長い前髪で目が見えなくて、そのお気に入りの写真を、週刊少年ジャンプから切り抜いて、生徒手帳に入れて肌身離さず持ち歩いてた。 彼はテニス部で、わたしもテニス部に入りたかったけど、テニス部がなかったのでバド

          会えない人でもよくて

          嘘ついてまで褒める人がいるから

          「今日の舞台、どうでした?」 目の前の可愛い推しに言われて、嘘がつけない私は狼狽える。 「えっと……。いつもより長かったね」 「あ、そうなんですよ! ちょっと長いんです!」 ニコニコする推し。 推しとツーショットチェキを撮り、主人と一緒に小劇場を出る。 出て、周りにオタクがいないことを確認して、口を開く。 「え、ありえなくない?」 「なにが」 「今日の舞台。クッソつまらなくない? 何あれ。まじかよって思った」 「つまらないって言うなよ。合わなかっただけだろ」

          嘘ついてまで褒める人がいるから

          好きすぎると帰る人

          レッチリレッチリうるさいからなんのことかと思っちゃった。なんかケンタッキーフライドチキンにある激辛味のチキンみたいね。 「レッチリとは」で検索したの。 レッドホットチリペッパーズの略で、海外のバンドみたい。やっぱりケンタッキーフライドチキンにある激辛味のチキンみたいよね。 すごいわね。ぜんっぜん知らないんだもん私。あ、なんかの小説に出てきたなぁってくらいの感想。30数年間生きてきて、私のまわりにレッチリが好きな人なんかいなかったし、聴いたこともないわ。それなのに東京ドーム

          好きすぎると帰る人