おしまいさん🔚

日記を書くのだ

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最近の記事

殺したくない

夢の中で何人も我が子を殺してしまう まだ産んだことのない我が子を あるときはコインロッカーを開けたら、赤子の遺体が出てきた わたしは忘れてしまっていた 産んだはずの我が子を 怖かった 生きていてほしくて、一生懸命ミルクをあげようとした でもかさかさになった赤子の唇はミルクを弾くこともなくただ湿った 呼吸はなく、吸い込むこともなく、ただ色のない唇から粉でつくったミルクがこぼれていった かなしかった 死んでいた 受け入れられなかった あるときの夢ではリュックサックから赤子の死

    • 2023.6.2

      大雨が降っている 空はまだうっすらと明るい 洗い流すような雨だなと思う ノアの洪水のことを思う もしこのまま雨が百何日も降り続けたならきっと人とその営みは洗い流されるのだろう そうなったとき、わたしはたくさんの洗い流された罪のただ一つとなるのだろう 方舟に乗れるとは思っていないし、乗りたいとは思わない ほとんどの人が洗い流されるとしたらわたしはそのほとんどになりたい 神様はいなくても罪はある だれでもいいから全部罪だったと言ってほしい だれかに

      • 蜘蛛

        土曜日の昼にシャワーを浴びていたら、風呂場の換気扇から蜘蛛が必死に降りようとしていた でもその降りようとしている先は浴槽で、蜘蛛の巣が張れる場所もないし、獲物もいない 巣が張れたとしてもお湯を張ったら流されてしまう 降りたらいけないよと思って、ぶら下がる蜘蛛の下すれすれに向かってシャワーのお湯を飛ばした 蜘蛛は急いで帰っていった でも諦めずにまた降りようとしてくる 浴槽に水を張れば、降りる直前で「巣が張れないな」と察して帰ってくれるかなと思って、薄く水を張った 翌朝お風呂

        • 編み物について

          編み物にはまっている。 最近台頭しているY2Kファッションにたまに現れる猫耳帽子、あれが編みたいと思ってはじめた。 最初は手元で何が起こっているのかわからず、「今これはなにをしているんだ???」と頭をハテナでいっぱいにしていたが、実際編みまくってみると、ごく単純な動きの積み重ねであることがわかってきて、どんどん楽しくなった。 編み物のいいところは、手元のものに向き合う必要があることだと思う。 これはものづくりには共通することなのかもしれないが、編み物は特に作っているもの

          ゆめ2022.12.25

          工場で働いて、帰りにコンビニによる ピスタチオ味の何かとカフェオレを買おうとしたが、サンリオとかカービィとかのグッズばかり売っていて、あとモワティエのコラボグッズのアクセサリーとか売っている 食べ物や飲み物のことを忘れて、それらのグッズを漁るが、かごに入れたりまた戻したり、長い時間悩む 結局モワティエのアクセサリー(ピアス?)を買うが、レジカウンターで「専用の箱をとってくる」と言われて時間がかかる しかも会計はカウンターとは別の自動精算機でしなければならないが、機械の調

          夜半に箒を削る

          短歌をつくり始めたのは3年前くらい、大学4年生の時だ。 もともとその前、大学に入学する頃になんとなく短歌集を読むようになり、最初は「桜前線開架宣言」、それから色々となぞるように読んだ。中澤系に衝撃を受けたりもした。 同時期に自分も短歌をやってみたいと思い、大学の短歌サークルの歌会体験に行った。 そのときに提出した短歌については多分探せばどこかにあるのだが正確に残ってはいない。 「なにかあるたびに聞くのが苦しくて聞けない曲が増えていく」みたいな趣旨の短歌だったと思う。

          夜半に箒を削る

          記憶

          高校の頃、部活のみんなで「お酒飲めるようになったら一緒に飲もうねえ」「お酒飲んだらみんなどうなるのかな?〇〇ちゃんは泣き上戸になりそー!」とか言ってたのだけど、おしまいさんは「なんかずっと酔っ払ってるみたいだから変わらなそう!」って言われてふふふって笑った たのしかった 一方で、一人のときは鬱にのまれていて、体育祭を休んだ日に初めてODした そのために年確が無いと聞いたスーパーにいって初めてお酒を買った それからたまに学校を休んではその年確がないスーパーでお酒を買って飲む

          トイレ

          大学3年生の頃まで、自分の部屋がなかった。父の部屋、父母の服と父の宗教の仏壇がある部屋、あとは洋室と和室が接続されたリビングで、父が自室に籠るとき以外は、家族全員がリビングで過ごしていた。寝るときもリビングの和室部分に布団を並べ、家族4人で寝ていた。 父は仕事が忙しくほぼ家庭にいなかったので、母と兄と私の3人で過ごすことがほとんどだった。物心が付いたときには、兄はよくキレて暴れ、私は半年に1回ほどのペースで死にたくてパニックになり暴れていた。母は大変だったと思う。ただ、母は

          シャトーすがも

          シャトーすがもが解体される。 大好きなラブホテルだった。 どの部屋も昭和の空気があふれていて、平成生まれのわたしでも、目の奥がくすぐられるようななつかしい感じがあった。 特に回転ベッドがある部屋は良かった。このホテルの目玉だった。赤くてベルベットな風合いの丸いベッドの周りは鏡張りになっていて、天井にはさまざまな色の明かりがギラギラしていた。回転ベッドは法律上の制限で回せなくなっていたが、きゅっと揺らすと少しだけ動いた。このホテルではよく写真を撮ったけれ ど、このノートに

          シャトーすがも

          煙草

          煙草を吸いはじめたのは、2年半付き合った彼と別れてからだった。 それまで彼に止められていたことを、全てやってしまおうと思った。ピアスを開けて、煙草を吸った。 はじめて吸った煙草はバイブスという銘柄で、ネットで知り合った男の子にプレゼントしてもらった。すごく甘くてバニラの香りが強烈な煙草だった。あのときはカラオケで煙草が吸えたのが懐かしい。 煙草は吸えたのに、ラブホは教えてあげたのは交換みたいで面白かった。ひどい交換である。 そのあとはやっぱり甘い煙草に走って、ガラムを吸っ

          恋が解体されるとき

          恋が解体されるときは、ただ解体される。 建物が壊されて、ずっと日が当たらなかった床や壁が光にさらされるとき、寂しいような感慨深いような、不思議な気持ちになるように、恋も解体されたとき、あらぬ場所に光があたるような、はっとして、じんわりとした感じがする。 恋は秘密でできているのだとおもう。 二人でいった場所、あなたと私以外だれにもわかってほしくなかったやりとりや感情が、ふとした瞬間に人の前に開かれて、光を当てられる。 それは、あの場所はよかった、とか、こんなことをした、と

          恋が解体されるとき

          3がつ30にち(火)

          一日中寝ていた。夕方に起きて、他愛もないテレビ番組を見た。起き上がるのがむずかしい。 たくさん夢を見た。 かなしくて、一緒にいる人の気を引きたくて、死にたくて、走って逃げる。階段を飛び降りながら下って、また階段を飛び上がりながら上る。果てには海があって、酒を飲んでいる人がいた。 3人でラブホに入って、ひとりが風呂にはいる。ぼーっとして、次に入る。風呂のお湯が溢れて、トイレの便器をのみこんだ。浴槽はピンクに光っていた。私は妊娠していた。 やっと起き上がって、トイレにいく。身

          3がつ30にち(火)

          歩く

          わたしは毎日歩く。 裸足で、靴下を履いて、その上に靴を履く。 歩くことは体の運搬とも言える。冬は特にそうだ。 コートのなかに体温、さっきまでいた部屋の空気、匂いなんかを詰めて、運ぶ。 洋服にパッケージされた人間たちが町を歩く。それぞれのぬくさやつめたさや匂いをパッケージして、人間は生きているだけで、歩いているだけで運搬業だ。 部屋に君が運んできたぬくさつめたさ、匂いが放たれる。私のそれと混じりあう。タバコを吸う。話をする。眠る。 そしたら朝になって、またその部屋の空

          恋のこと

          矢沢あいの『パラダイス・キス』を読んだ。親の敷いたレールに沿って生きてきた女の子が、服を作る人たち、抱えているもの、諦められない夢がある人たちに出会って、自分の意思でモデルの道を歩き始めるという話だった。 矢沢あい作品を読んでいて思うのは、恋は時に夢への意志とは反対の方向へ引力をもって、行く手を阻むものとなるが、その描写がかなり強くでている。時に登場人物たちは夢への道を選び、恋を終わらせる。終わるといってもそこにはとびっきりの大きな想いがあり、好きだからこそ終わらせるという

          12がつ9にち(水)

          くもり 今日も寒かった。この日記のタイトルを打つのに二回間違えた。11がつと書いて消し、12がつと書く。(木)とかいて消し、(水)と書く。時間の感覚がぐちゃぐちゃだ。 月曜日と火曜日の二日間、熱を出して仕事を休んだ。検査を受けてコロナは陰性だった。やることがありすぎて、解熱してから一応三日休むとか、そういうことができない。それに、一週間休んだらもう仕事に戻ることができない気がする。二日でも戻るのはつらかった。仕事用の服を着て外に出るだけで心臓がばくばくする。 早くからだを

          12がつ9にち(水)

          12がつ4にち(金)

          晴れ 昨日は大変だった。体調が悪く終始ダルいなかで問題が多発した。今日はその回収をしたが、そんなに難しいことではなかった。知らずのうちにまた不安がっていたのかもしれない。今日は上司の上司の上司がいなかったので騒ぎにならなかっただけかもしれないが。 ただ、今日は同じ班に二人ほど休みがいたので、そのぶんの仕事もしなければならなかった。単純作業が多いのでむしろ頭を悩ませる問題から逃げるにはちょうどよかった。ただ、疲れはした。 ある程度残業をして、休んだ二人に来る月曜日に仕事を