服部 弘一郎

映画批評家。1966年東京生まれ。著書に「銀幕の中のキリスト教」(キリスト新聞社)。編…

服部 弘一郎

映画批評家。1966年東京生まれ。著書に「銀幕の中のキリスト教」(キリスト新聞社)。編著に「シネマの宗教美学」(フィルムアート社)がある。 http://eigakawaraban.wordpress.com

最近の記事

購入から1ヶ月のポメラDM250

 キングジムのデジタルメモ「ポメラ DM250」の購入からほぼ1ヶ月たったので、現在の状況をまとめておきたいと思います。  前回の記事へのリンクを張っておきます。 電源エラーについて  購入したポメラの個体に固有の症状だと思いますが、頻発する電源エラーに悩まされています。  パネルを閉じて電源をオフにしたり、起動したまま放置してオートパワーオフになったあと、パネルを開いたり電源ボタンを押しても、電源が入らず画面が真っ暗なままという現象がしばしば起きるのです。  これ

    • 三谷幸喜版『魅惑の巴里』 『スオミの話をしよう』

      ■あらすじ  閑静な高級住宅街にある大邸宅に、二人の刑事が乗り込んでくる。そこは国民的な詩人・寒川しずおの自宅兼仕事場だが、先日から行方をくらませている寒川の妻・スオミのことを調べに来たのだ。これはひょっとすると、誘拐事件かもしれない……。  刑事の一人・草野圭吾は、じつはスオミの前の夫だ。今でも彼女に未練がありありの草野は、事件性はないと言い張る寒川を横目に、誘拐と失踪の両面から調べ始める。だが寒川から聞かされるスオミの様子は、自分と結婚していた頃の彼女とは似ても似つか

      • シリーズのエッセンスを巧みに要約 『エイリアン:ロムルス』

        ■あらすじ  ウェイランド・ユタニ社が経営する辺境の鉱山惑星ジャクソン。鉱山で働くレイン・キャラダインの夢は環境の良いユヴァーガ第三惑星への移住だが、ユタニ社による一方的な労働契約変更によって奴隷的な境遇から逃れられない。  そんな彼女に「ユタニ社が放棄した宇宙船を盗んでユヴァーガに行こう」と声をかけてきたのが、昔の恋人タイラーと仲間たちだ。鉱山星に未来はない。このままでは年期契約が終わる前に、事故か鉱毒で死んでしまうのが関の山だろう。レインは旧型アンドロイドの相棒アンデ

        • 本家『キングコング』の引用が楽しい 『キングコング対ゴジラ』

          ■あらすじ  北極海を航行中の原子力潜水艦シーホーク号は、謎めいた怪光を発する氷山を発見。氷山を粉砕して現れたのはゴジラだった。ゴジラは帰巣本能に従って南下し日本を目指す。  同じ頃、提供番組「世界の驚異シリーズ」の視聴率低迷に悩むパシフィック製薬宣伝部は、ソロモン諸島南部のファロ島に伝わる「巨大な魔神」を取材するため、現地にテレビ局の撮影隊を派遣する。カメラマンの桜井らは、そこで巨大なタコの怪物や、それと戦うキングコングを見て仰天する。  桜井らは原住民と協力して巨大

        購入から1ヶ月のポメラDM250

          フランスの作曲家ラヴェルの伝記映画 『ボレロ 永遠の旋律』

          ■あらすじ  1928年。作曲家のモーリス・ラヴェルは、有名なバレエダンサーのイダ・ルビンシュタインに、新作バレエ音楽の作曲を依頼される。だがこの時点で、ラヴェルには何のアイデアもない。イダからはその後もあれこれ曲についての問い合わせがあるが、のらくらと明確な返事を引き伸ばしたまま、ラヴェルは米国への演奏旅行に出かけてしまった。  アメリカにはヨーロッパにない風景があり音楽がある。それに刺激されて新たな曲想を得られることを期待していたラヴェルだったが、残念ながらイダの依頼

          フランスの作曲家ラヴェルの伝記映画 『ボレロ 永遠の旋律』

          巨大物流倉庫を舞台にしたミステリー映画 『ラストマイル』

          ■あらすじ  世界最大のショッピングサイト「DAILY FAST(デリファス)」の配送センターは、年間通して最大の繁忙期となるブラックフライデーを迎え、臨時の派遣謝意を含む大勢の従業員と出入りの配送業者でごった返していた。  そんな中に飛び込んできたのが、デリファスの配達した商品が爆発して、死者が出たという知らせ。同様の事件が立て続けに起きたことで、センターには警察が乗り込んでくる。この危機に対処したのが、新センター長の舟渡エレナだ。彼女はセンターの配荷機能を落とすことな

          巨大物流倉庫を舞台にしたミステリー映画 『ラストマイル』

          キラキラゆる〜い青春音楽アニメ 『きみの色』

          ■あらすじ  地方のカトリック女子高に通う日暮トツ子は、子供の頃から人の姿がさまざまな「色」に見える。彼女が学校でも一番きれいだと感じる色は、同じ学校に通う作永きみの鮮やかなブルーだ。だが彼女はある日突然、学校を中退してしまった。  トツ子はわずかな手がかりから、きみを探して街の中の書店巡りを始める。やがて小さな古本屋できみを探し当てたトツ子は、たまたま店に来た男子高校生の影平ルイと3人でバンドを組むことになった。練習場所は、ルイが暮らす離島の古びた教会堂だ。  きみは

          キラキラゆる〜い青春音楽アニメ 『きみの色』

          全斗煥の粛軍クーデターはなぜ成功したのか 『ソウルの春』

          ■あらすじ  1979年10月26日。韓国の独裁者・朴正熙大統領が暗殺された。この時、犯人逮捕と取り調べの中心になったのが、合同捜査本部長のチョン・ドゥグァン少将だった。  彼は陸軍士官学校卒業者らで作る秘密結社ハナ会のリーダーで、暗殺事件で動揺する韓国軍内部で一気に存在感と発言権を増していく。これを危惧したのが、参謀総長のチョン・サンホ大将だ。  彼はハナ会側を牽制するため、陸軍総合行政学校出身でハナ会と距離を取るイ・テシン少将を首都警備司令官に任命。さらに軍の組織

          全斗煥の粛軍クーデターはなぜ成功したのか 『ソウルの春』

          ポメラDM250を買いました

          デジタルメモとは何ぞや? キングジムから発売されているデジタルガジェット、ポメラ DM250を購入しました。メーカーでは「デジタルメモ」と称していますが、要するに、テキスト入力だけに特化したワープロ専用機みたいなものです。定価は6万円ぐらいですが、購入価格はおよそ4万円。  紹介記事などでもワープロ専用機と説明されることが多いポメラですが、大昔(40年ぐらい前かな?)に本物のワープロ専用機を使っていた人間からすれば、これはワープロに遠く及ばない製品です。  キーボードと液

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          戦争に協力する放送人たち 『劇場版 アナウンサーたちの戦争』

          ■あらすじ  昭和14年(1939)春。日本放送協会に入局した大島実枝子は、先輩アナウンサーたちの姿を憧れの目でながめていた。ラジオ放送はまだ若いメディアであり、声で全国に情報を伝えるアナウンサーは芸能人に引けを取らない人気者だったのだ。  そのアナウンサーたちの中でも特に強い印象を残したのは、5年先輩の和田信賢だった。スポーツ実況が得意だった和田は東京オリンピックの返上を残念がり、昼間から酒を飲んで局内のソファで高いびき。だがひとたびマイクの前に立てば、取材に裏打ちされ

          戦争に協力する放送人たち 『劇場版 アナウンサーたちの戦争』

          おかずが盛り沢山のワンプレートランチ 『フォールガイ』

          ■あらすじ  ハリウッドの有名スターには、それぞれ専属のスタントダブルがいる。ドル箱スター、トム・ライダー専属のスタントダブルと言えば、コルト・シーバス。堅実な仕事ぶりで現場スタッフからも信頼される彼は、カメラオペレーターのジョディ・モレノの恋人でもある。  撮影も恋も順調なコルトの人生。だがそれは、ひとつの事故で暗転した。落下スタントで大ケガを負い、身も心も傷ついた彼は映画の世界から行方をくらましたのだ。  1年半後。レストランの駐車場係をしていた彼は、トムの映画のプ

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          未来を考えると不安になるのはなぜ? 『インサイド・ヘッド2』

          ■あらすじ  高校入学を控えた13歳のライリーは、視察に来ていたアイスホッケー強豪高校からコーチから、休み中の強化キャンプへの招待を受ける。チームメイトで親友のブリーとグレイスも一緒だ。ここでコーチに好印象を持ってもらえれば、チームのメンバーになれるだけでなく、スポーツ奨学生の資格も得られるかもしれない!  同じ頃、ライリーの頭の中では大変なことが起きていた。突然「思春期」のアラートが鳴り響いたかと思うと、大勢の工事スタッフたちが感情の操作盤を新しいものに付け替えてしまっ

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          ラストシーンにのみわずかな救いがある 『このろくでもない世界で』

          ■あらすじ  高校生のヨンギョは、学校で義妹のハヤンをいじめていたクラスメートを殴りつけて停学になり、相手方から高額の賠償金も要求される。家は貧しく賠償金は払えないが、払わなければ学校には戻れない。バイト先の店長に給与の前借りを懇願するが、バイト代の前借りとしては高額すぎて、店長は首を縦には振ってくれない。  闇金屋のチゴンは偶然ヨンギョの窮状を知って、押し付けるようにして賠償金相当額の金を援助する。面食らうヨンギョだが背に腹はかえられず、受け取った金で賠償金を払う。だが

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          ちょっと古風なスクリューボール・コメディ 『フライ・ミー・トゥー・ザ・ムーン』

          ■あらすじ  1969年。生き馬の目を抜くニューヨークの広告業界で、PRのプロフェッショナルとして注目されているケリー・ジョーンズ。ある日彼女は、大統領側近だというモー・ブルクスに厄介な大仕事を押し付けられる。アメリカの月面探査ミッション「アポロ計画」を、国民と全世界にアピールしてほしいというのだ。  ほとんど身ひとつでNASAに乗り込んだケリーは、そこでアポロ11号の打ち上げ責任者コール・デイヴィスと知り合い互いに好感を持つ。しかしなり振り構わずあの手この手のPR作戦を

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          荒唐無稽で奇想天外なSFコメディ 『もしも徳川家康が総理大臣になったら』

          ■あらすじ  2020年。世界的なコロナ禍の中、日本では総理大臣以下閣僚たちが大量感染死。この未曾有の危機を救うため、日本は最新テクノロジーを駆使して歴史上の異人たちを蘇らせ、前代未聞の「偉人内閣」に1年限定の政権運営を託した。  総理大臣は徳川家康。財務大臣は豊臣秀吉。経済産業大臣に織田信長。この三英傑に加えて、マスコミとのパイプ役である内閣官房長官に坂本龍馬。外務大臣に足利義満。法務大臣が聖徳太子。文部科学大臣に紫式部。総務大臣に北条政子。江戸幕府からは五代将軍の綱吉

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          1970年代テイスト満載の痛快な犯罪映画 『密輸 1970』

          ■あらすじ  1970年代半ばの、韓国西岸の小さな漁村クンチョン。かつては海女漁で栄えたが、今は近くにできた大きな工場の廃液で海が汚染され、豊かだった漁場は腐り果ててしまった。海女たちも商売あがったりだ。  そんな海女たちの窮状に目をつけ、密輸品のブローカーが声をかけてくる。密輸品の海底からの引き上げを、海女に手伝ってほしいというのだ。  背に腹はかえられぬとこの申し出を受けた海女たちは、巨額の報酬に大喜び。だが何度目かの仕事の最中に税関の検査に引っかかり、船長は事故死

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