見出し画像

書評 働くことを楽しもう ゴディバジャパン社長の成功術  ジェローム・シュシャン著


ゴディバ・ジャパンの社長が書いた経営本です。
一般の経営本と大きく異なる点は、著者が弓道5段の腕前を持ち、弓道の教えを、ビジネスや人生を生きていく上で活かしている点です。

個人的に今年読んだ本の中でベスト3に入るくらい示唆に富む内容でした。印象に残った内容を私なりに解釈したうえで紹介したいと思います。

キャリアについて

以前の私は、自分の弓の問題(要するに、私がなかなか上達しない)を有名な弓道の先生が奇跡的に解決し、魔法のようなやり方を教えてくれないかと願っていました。
しかし、そのようなことは、決して起こりませんでした。

著者は弓道が上達しないときに、上記のように思っていたそうです。

そして、キャリアについても自らが動くことの大切さを述べています。
特に、VUCAと言われている不確実性が多すぎる現代社会では、長期的な計画を立てるというやり方は成立しません。

私たちのキャリアにおいてもそれは同じです。自分のキャリアを伸ばすために、私たちは、一つの会社、一人の上司に頼ってはいけないのです。
自分のキャリアは自分で作るしかないのです。
一つの会社で働き続けるという日本的なやり方はとても安全なアプローチかもしれません。ただ、自分の人格を築き、成長させるということでは、あまり奨励できるやり方ではないかもしれません。
このやり方は、いつまでも親に保護されている子供のようです。ある時点で私たちは家を離れ、一人で世界にあるチャンスと危険に直面する必要があるのです。
転職の最大のメリットは何でしょうか。
それは、人として成長し自分の可能性を最大限に引き出すことです。
一つの会社に留まることだけを考えた場合、状況によっては私たちはもう成長できない立場に置かれることになるかもしれません。
毎日出社しても本当に新しいことや刺激的なことは何も起こらない。
もしあなたがこんな状態にいるとしたら、会社に新しい機会を与えてくれるように頼むいいチャンスです。会社があなたの要求に応えない場合は、それはあなたが別の会社を探すためのいいきっかけになるのではないでしょうか。

重要なことは自分の価値観を検証し、それが会社の価値観に合っているかどうかを確認することではないでしょうか。
価値観は私たちにとって大切なものです。
私達は、自分の価値観をきちんと定義するために、それを追求しなければなりません。



この環境を誰かが変えてくれるのではないかと待っていても、絶対に変わらないということですね。

完璧を求めすぎてはいけない

「完璧になるまで待ってはいけません」
弓道の先生が私に言いました。
「あなたは定期的に試験会場に行きなさい。自分が完璧だと感じるまで待ってはいけませんよ」
そして、先生はこうも付け足しました。
「あなたは、もう準備ができています。『完璧』な瞬間を待っていると、あなたはいつまでも自分は十分ではないと感じて、昇段試験に行くのを延期しますよ」

著者は、先生のアドバイスにもかかわらず四段から五段の昇段試験を受けるまで、5年以上の歳月をかけてしまったそう。(四段へ昇格後、半年後には五段の昇段試験を受けることが許されているにもかかわらず)

考えることは論理的になること。論理的に考え完璧を求めようとすると、どこかにほころびやリスクを見出してしまう。その結果、動けなくなる。

人との出会いについて


著者は、縁と運命は違う。縁を大切にするべきと語る。
著者の解釈では、縁とは、自らが行動を起こさないと生まれなかった関係のこと。
著者の場合、来日してすぐにヒッチハイクをし、乗せてくれた人が有名なラリードライバーでそれ以降も付き合いがあるそう。
日本人は、「取引実績がない」「コネクションがない」という理由で、せっかくの機会を逃してしまっているのではないかと問題定義されていました。


まとめ

紹介した箇所以外にも、非常に示唆に富んだ内容でした。
私はこの本を読んで、弓道をやってみたいと切に感じました。
残念ながら、コロナの影響で初心者教室を開催している施設が付近では見当たらず、できそうもありませんが。

この本は、弓道とビジネスを絡み合わせ、なによりも私たち日本人に対してメッセージを発してくれていると感じました。
おすすめです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?