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映画感想文【あまろっく】

2024年製作
出演:江口のりこ、中条あゆみ、笑福亭鶴瓶

<あらすじ>
理不尽なリストラにより尼崎の実家に戻ってきた39歳の近松優子は、定職に就くことなくニートのような毎日を送っていた。ある日、「人生に起こることはなんでも楽しまな」が信条の能天気な父が再婚相手として20歳の早希を連れてくる。ごく平凡な家族だんらんを夢見る早希と、自分より年下の母の登場に戸惑いを見せる優子。ちぐはぐな2人の共同生活はまったく噛み合うことがなかったが、ある悲劇が近松家を襲ったことをきっかけに、優子は家族の本当の姿に気づいていく。

映画.com

ん〜、いまいちやったけど、良かったで。

どっちやねん。



あまろっく、尼ロックとは尼崎閘門(こうもん)の通称。

閘門(こうもん、英語: Lock)は、水位の異なる水面をもつ河川や運河、水路に設けられる船を通航させるための施設。異なる水位間に水位が変化しうる一区画を設けて区画内の船を上下できるようにした設備を水閘、水閘を区画するための界壁を閘門という場合もある。

Wiki

明治後半から工業化が進んだ尼崎では、工場による地下水の汲み上げの結果、地盤沈下が発声。市内の約3分の1(特に南部地域)が界面よりも低くなり、室戸台風(1934年)やジェーン台風(1950年)には著しい浸水被害が起こった。その対策として建てられたのが尼崎閘門であり、これにより運河の物流機能を維持しつつ高潮や洪水などの浸水被害から地域を守ることが可能となった。

Wikiより要約

冒頭は主人公・優子(江口のりこ)の小学生時代。尼ロックについて書いた作文から。

大阪市のお隣、尼崎市。
そこそこ近いけれど、案外知らない尼崎。
忍たま乱太郎(落第忍者乱太郎)の聖地、尼崎。
列記とした兵庫県なのに市外局番は大阪と同じ、尼崎。
アマは昔は大阪やったんやで! なんてイジられがち、尼崎。

しょっぱなから結構勉強になりました。
映画情報サイトの評価がやたら高いのが気になって、終了前に観に行った。とはいえ、始まってしばらくは期待外れかな〜と思った。
どうもセリフが子供っぽくてわざとらしい。40前にしてニートの優子だが、もともとは東京の大企業に勤め、表彰もされたエリート。20歳の継母に反発して良いようにあしらわれるなんて、いくら図星、いくらニートの負い目があったとしてもリアルじゃない。
東京でブイブイ(死語)いわせてた気概はどうした。

なので失敗だったかな、とちょっと退屈な予感がしていたのだが、中盤父親(笑福亭鶴瓶)がぽっくり逝って退場した後からはストーリーが引き締まる感じがして面白い。
まず早すぎる退場に驚くし(笑。

一旦崩壊しかけたものの再生の兆しを見せた近松家、優子と早希。
早希には父親の忘れ形見、妊娠が発覚し、優子にはエリートイケメン(笑)との出会いが訪れる。
よーし、ハピハピ円満に向かって一直線だ!
……と、思いきや今度はまた別の悲劇が訪れ、家族は度々崩壊の危機に瀕する。
そしてその度、再生する。
1995年の阪神・淡路大震災から目覚ましい復興を成し遂げた尼崎の街のように。ここで地震のこと出されたら泣いちゃうに決まってんじゃん〜。ずるいよ〜。

家族の始まりは赤の他人で、誰かと誰かが出会ってイチから築いていくもの。外から内から様々な出来事があって、時に壊れたりもする。
一旦壊れたものを元通りにすることは出来ないが、修理はできる。本人たちがそう望んで努力すれば。


映画.comより

ラスト、父親の残した家と工場と、それから早希たちを守ろうと優子は自身の道を諦めようとする。
人生は臨むものすべてを手に入れられるとは限らない。一方を手に入れたければもう片方は捨てなければならない場合もある。
それは悲しいけれどとてもリアルだな、としんみりしてしまったのだが、まさかの結末で驚いた。非常に幸せな気持ちの、納得のハッピーエンド。
少し前に『貴公子』を観た時は「途中は良かったんだけどラストがな〜」なんて思っていたのだが、今回は逆パターンということだろうか。

付け加えると、舞台にしたのが尼崎だからか、釣瓶が出ているからか、観客の年齢層がやや高め。
たまに笑いが起こったり、隣に座った大阪のおっちゃんおばちゃんは小声で「あぁ〜アカンアカン」「どないしよ〜かわいそ〜」なんてやっていた。
上映中はお静かにというお約束だけれど、そういうの、嫌いじゃないヨ。

脚本(?)にはちょっと残念なところもあったが、江口のりこをはじめとする役者の演技と尼崎という舞台の選択が良かった。
あとは映画館効果だろうか。
……そんだけ揃ってれば完璧なんじゃない?


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