Dai Tamesue(為末大)

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Dai Tamesue(為末大)

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最近の記事

強いチームに一体感があるのはなぜか

強いチームが持つ特徴の一つに「一体感」があります。 これは私のような一人放浪系からすると、ちょっと窮屈で逃げ出したい感じもありますが、これがあるのは強いのは確かです。 一人は弱い。そもそも自然環境ではかなり弱小の部類に入るホモサピエンスが生き残れたのは、「群れを作れたからです。集団だからこそ、生き残れますし勝てるわけです。 一方で、人間は個人で考えが違います。好き嫌いも。集団内では当然考えが違う人もたくさんいます。厳密に意見がある人だけで集団を作ればそれは一人のはず

    • 客観は可能なのか

      客観は可能でしょうか?ここでいう客観は、一般的に言われるできるだけ主観を除いたデータや、意見ではなく本当の意味の客観です。 客観の定義のうち一つは”主観とは独立して存在するさま”とあります。そうであればいわゆる「私が認識するから存在する」ではなくなります。 また、データのように人間の認識とは別に情報を捕捉するものであればそれは客観ではないかとも言えます。 私たちが知り得ない全てを包括した情報があり、それを客観と呼ぶのであればそれは間違いなくあると思います。ただし、それを語

      • 悟りとは夢中ではないか

        私はブッダが言った悟りとは夢中の状態に近いのではないかと考えています。共通の特徴は瞬間性です。今この瞬間を生きる。 悟りは言語的には執着から解き放たれ心の平穏を手に入れた状態だと言えるのではないでしょうか。過去を悔やまず未来を憂いていない。起きる出来事に心が惑わされず、執着せず、手放し続ける。 それは瞬間を生きることだと理解しています。 悟りを生きることは凡人にはなかなか難しいですが、夢中であれば体験できます。夢中の瞬間に人は過去を忘れ、未来を心配せず、今ここに没頭して

        • プロとアマではどちらの方がパフォーマンスが高いのか

          長文ファンの皆様おはようございます。 スポーツには、そもそもプロのスポーツ(リーグや協会が賞金を出す、チームが純粋に金銭で契約する)とアマチュアのスポーツがあります。 近年、アマチュアスポーツの中でプロ的に活動する選手とアマ的に活動する選手が分かれるようになりました。この場合のプロとアマの違いはほぼ「長期雇用前提か、短期の契約前提か」と言っていいと思います。 プロの方がパフォーマンスが高くなると考えがちですが、一部にはプロになってパフォーマンスが下がった選手もいます。そ

        強いチームに一体感があるのはなぜか

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        記事

          私たちは何を計測するべきか

          長文ファンの皆様おはようございます。 最近、計測の科学という本を読み始め、計測について考えています。人が計測をし始めた歴史は古いのですが、それが世界共通の基準(メートル法)に至ったのは案外古く、フランス革命の時期になるそうです。 それより前は、各地域で基準が違ったり、または状況によって違ったそうです。例えば牛10頭が食べられる広さという定義だったそうで、そうなると牧草地よりも、荒地の方がおなじ1なんとかという基準でも広くなります。 さて、私たちは今あらゆることを計測して

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          「頭がいい人は難しいことをわかりやすく説明することができる」は本当だろうか

          長文ファンの皆様おはようございます。 「頭がいい人は難しいことをわかりやすく説明することができる」とよく言われます。ある程度はそう言えそうなものの、やはり難しいことはどんなに説明上手でも理解が難しいこともあり得ます。 これは「わかることと、わかった感があることは違う」ところからやってきていると思います。どちらかというと「わかった感」の話をしていると思います。ではわかった感はどう生み出されるのでしょうか。 人がわかった感を持つために大事なのは、「理解できる程度に単純化され

          「頭がいい人は難しいことをわかりやすく説明することができる」は本当だろうか

          全てに寿命があり、終わりがある中で、どう適応し続ければいいのか

          長文ファンの皆様おはようございます。 全てには寿命があります。人間はいつか人生を終えますし、企業の寿命は平均23年と言われています。国家も永遠ではなく、帝国の繁栄も100-300年と言われています。 大きな視点では地球にも寿命があります。地球は寒冷期と温暖期を繰り返していて、今の温暖期にもいずれ終わりが来ると言われています。 そこまで大きな話でなくても、社会という環境は変わり続けています。30年前インターネットは一般的ではありませんでした。AIが一般的に使われ始めたのも

          全てに寿命があり、終わりがある中で、どう適応し続ければいいのか

          不快や嫌いと距離をとっていく中で、人がどんどん先鋭化する現象はどう理解すればいいのか

          長文ファンの皆様おはようございます。 私は信念がいかにして構築されるかに興味を持っています。その中で分裂生成(元々はベイトソンが提唱したものだそうです)というアイデアでそれが説明できないだろうかと考えています。 普通に考えれば、例えば農耕や儀式などはより合理的かつ魅力的なものであれば当然採用されそれが広がると考えます。 しかし、実際には距離的に非常に近い地域同士で、違う文化が育つことがあるそうです。農耕の近くで狩猟採集、派手な祭りの近くで、質素な祭り。これらを説明するた

          不快や嫌いと距離をとっていく中で、人がどんどん先鋭化する現象はどう理解すればいいのか

          インターネットの登場で本当に知識に価値は無くなったのか

          長文ファンの皆様おはようございます。 昔はいろんなことを知っている人が賢い人だったが、インターネットの登場でそれが崩れ、知識は必要なくなった、wikipediaを調べればいいし、chatGPTに聞けばいい、と言われることがあります。 しかし、そもそも「知っている」とはどういうことなのでしょうか。 例えば日本の歴史に詳しい人がいます。何を聞いても少なくとも教科書に載っているような史実を知っている。そこでそれだけ知っているのだからと「日本とは何か」と聞いてみます。 日本と

          インターネットの登場で本当に知識に価値は無くなったのか

          評価とは比較ではないか。そうであれば、何と比較するのか

          長文ファンの皆様おはようございます。 「評価とは比較ではないか」と私は考えています。例えば仮に人生で一度も車を見たことがない人が、車を見てその車がいいか悪いかを判断することは難しいのではないでしょうか。車というカテゴリーそのものの評価はできても。 「目利きができる」人は、その領域で量に触れてきた人なのではないかと思います。 ただ、問題はある狭い範囲だけにふれてきた人は、短い物差しで測る癖がつくのではないかと思います。妙に評価が細かい人が、その領域で異質なものを評価で

          評価とは比較ではないか。そうであれば、何と比較するのか

          正義と幸せは両方手に入るのか

          長文ファンの皆様おはようございます。 正義と幸福は相性が良くありません。これはどちらが大事というわけではなく、どちらも成立している状態を作るのが難しいのだと思います。 例えば社会で許せないことがある。格差であったり、差別であったり、紛争であったりするわけです。これをなんとかしたい。これは素晴らしいことで、憤る人がいるから社会が変わるわけでもあります。 一方で憤っているより、平穏な心で日々を過ごした方が幸福度は高い。毎日平穏な心で、友人たちと時間を過ごし、好きなことをやって

          正義と幸せは両方手に入るのか

          アスリートキャリアで代表的な五つ

          長文ファンの皆様おはようございます。 昨日はメディア対応の話をしました。それらは将来何になりたいかから逆算されます。かと言ってなりたいものがはっきりしている選手はそう多くありません。私も引退するまでそうでした。 ですので、何パターンかアスリートのセカンドキャリアの事例を出してみたいと思います。当然もっと多様ですが、わかりやすく代表的なものをピックアップしました。 1、ビジネスマン 一番多いのがこの道です。アスリートの多くは引退後、一社会人として社会に馴染んで

          アスリートキャリアで代表的な五つ

          オリンピアンは、オリンピックの後メディアとどう付き合えばいいのか

          長文ファンの皆さまこんにちは。 オリンピックを終えた後に、良い結果を出したアスリートがメディアに出演します。だいたい一ヶ月ぐらいがピークでそのあと年末までは緩やかに続き、最も活躍したアスリートが紅白歌合戦の審査員になるところで一旦は終了します。 わずか4ヶ月の間ですが、ここでの振る舞いはアスリートの人生に多少なりとも影響を与えます。この時期に「消費される側」になるか「メディアを活用する側」になるかが分かれます。 もしもすでに競技人生の先にこんなふうになりたいと思っ

          オリンピアンは、オリンピックの後メディアとどう付き合えばいいのか

          平等を追求すると、なぜ社会は無個性になるのか

          長文ファンの皆様おはようございます。 「平等」はよく聞く言葉ですが、平等について議論する時、一体何が揃うと平等なのかが明確ではないことも多いです。 平等を定義するためには「差異」と、それに上下をつけるための「価値基準」が必要です。 平等と聞いてまずわかりやすいのは格差と機会の平等です。これは是正した方がよいですが、しかしなぜ平等と聞くとこれが浮かぶのか。 それは、現代が「能力が高いものは富を手に入れる」「資産が更なる資産を生む」という仕組みで動いているからだろう

          平等を追求すると、なぜ社会は無個性になるのか

          ドーピングの歴史からドーピングはなぜ良くないのかを考える

          長文ファンの皆様おはようございます。 今日は「ドーピングはなぜ禁止されているのか」から、「大麻はドーピングなのか」を考えてみたいと思います。今日は第一弾。 ドーピングの語源は、複数ありますが、有力なのはアフリカ南部のカフィール族が先頭や狩猟の際に飲んでいたdopという酒だと言われています。 その後、何かの物質を摂取することでパフォーマンスを高める行為がドーピングと呼ばれ、禁止されてきました。 最も古いドーピングの歴史は1865年のオランダの運河水泳大会だと言われています。

          ドーピングの歴史からドーピングはなぜ良くないのかを考える

          パリ五輪でメダル数三位になった背景分析

          長文ファンの皆様おはようございます。 いやあ、オリンピック最高でした。日本の活躍はすごかったです。とても感動しました。 いっぱい選手のすごいところを書きたいところですが、あんまりそこを期待はされていないと思うので、今回は「なぜ日本は躍進したのか」を書いてみたいと思います。 メタな視点になるので、個別の選手の努力を軽視するのかと突っ込まれそうですが、それは十分リスペクトした上で、というのをご容赦ください。 もし研究者やメディアで興味を持たれる方いたら、ぜひ追跡調査お願いします

          パリ五輪でメダル数三位になった背景分析