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人を呪わばジム二つ BBAの呪い【後編】

中編から続く)私の地元において、最大の味方である方が天国に召されて2カ月が経った。いきなり“ですます”の敬体から常体になったのは、本日は彼の月命日で献杯しながら書いているから(若干酔っぱらっているから)と言い訳しておく。

 前回までの話を読んでいない方に向けてざっと前編・中編のおさらいをすると、全方向で嫌われ者でアル中の私には、どんな時も無条件で味方でいてくれるたった1人のおっさんがいた。

 しかしそのおっさんが突然天国に召されて現実に目を背けていたところ、「〇〇さんは~~な状況で死んだらしいよ」「サーニャさんは周りから嫌われているんだよ」「△△さんがサーニャさんのこと嫌いって言ってたよ」などと、その時の私に全然いらない情報をDMで伝えてきた、今は遠方住み、過去に地元で何度か飲んだことがあるBBA(私もBBAなのはおいといて)に逆恨みをし、呪いをかけたというお話だ。その大前提として、暇な時間に何をやっているかという話だった。

 さて、この2カ月間、暇人のBBAに呪いをかけて過ごしていたわけだが、ある時、そのBBAを呪う時間の代わりになる有意義な暇つぶしのアイデアが降って沸いてきた。結論から言うと、ボランティアとジムだ。ボランティアは良い人のフリをするという卑しい目的も0ではない? ので、先にジムについて書こうと思う()。

 そのBBAのことを考えては宅トレのボクササイズで拳を振り上げ、24時間BBAを呪っていたが、これは私の貴重な呪いのパワーを使うだけで、ブロックされているBBAに響くわけもない。

 私はいじめられっ子だった昔から呪いのパワーは人一倍あって、結構本気で呪った人間は大小問わずたまたま不幸に陥っていた(転んだりとか)。しかし今回のBBAについては通用しないと悟った。なぜなら、彼女は遠方に住んでいるし友達もいないしブロックされているから私の想いも伝わらず、ダメージを受けることがない。これまで私が呪って成功したのは、共通の趣味とか友達がいるパターンに限られていた。

 まず、呪いとか復讐でもっとも重要なのは、くだらない人間を徹底的にいなかったことにして、自分が幸せになることだ。とは分かっている。じゃあ、BBAよりも幸せになるには。そのBBAからDMで痛めつけられた際に、私は「(私が嫌われているとかの)いらない情報はいらない、そんなに暇ならほかにもっとやることないの?」と抗議した。その時にBBAは「ジムに行ってる」と答えた。

 ……ジム……?

 ジムに行く、って、え、それは素晴らしいことだ。健康維持にもジムに通うのは有意義だろう。時間とやる気、ジムへの信念がないと無理だし、何より通うのが面倒くさいから心から尊敬する。しかしそれは「やること」なのか。私は大学時代以来ジムに通ったことはなかったし、そもそも当時ジムに通ったらジム上がりに油断して食べ放題に通ってしまい、脂肪の上に筋肉がついてガンダムというあだ名をつけられた忌々しい過去があったのでずっとジムは封印してきた。

 そこで噂話好き暇人BBAの生きがいがジムなら、「へえ~、私もジムに行って見返してやるわ」というなかなか極端な思考にたどり着いた。人を呪わばジム二つ、だ。

 で、早速近隣のジムに体験入店(キャンペーン中につき1,100円)の手続きをして行ってみた。いやらしい話だが、私は旦那とは別居しているし出禁で飲み歩くのも控えているし、それなりに自由な時間と金はある。ジムに通うよりも銀座で筋力トレーニングした方が早いし(ジムよりも高いけど)、金で解決できるもんは金と知恵で解決する主義だ。だが、BBAを呪う代替法としてジムという穴はアリだろう。

 ……しかし……。

 数十年ぶりに行ってみたジムはとんでもなくきつかった。私の趣味であるネットの漫画では、よく人妻がジムで男性のスタッフやら会員と出会って恋に落ち……というシチュエーションが展開されている。内心、「もしかして、素敵な出会いが……!」なんて期待も0だったわけではない。そこは認める。

 しかし現実は、たまたまかもしれないけれど私が体験入店に行った日のトレーナーさんは女性。ご一緒した会員男性も爺さんばかりだった。久々に化粧までして出かけたのに労力が無駄になった()。自転車をこぐマシンみたいなのを30分やってダウンし、風呂に入ってさっぱりし、さっさか飲みに行った。

 いや、トレーナーさんは、「何時間でも滞在して良いし気になったマシンも自由にトライして良いですよ~」とは言ってくれたが、ジムに飲み物を持っていくのを忘れてノー水分だった上に運動して腹が減った私はもうさっさか飲みに行きたくてしょうがなかったのだ。

 お目当ての飲み屋が開くまで回転寿司で時間をつぶした。喉が乾いていたのでレモンサワー(ビタミン)がとても美味しかったし、ジムで30分で150キロカロリーくらい消費したから調子に乗ってたくさん食べた(タンパク質)。これはこれで良かろう()。ちなみに、その日行きたかった飲み屋にはいくら電話してもつながらなかった。臨休だったようだ。単に30分チャリをこいでジムの風呂に入って回転寿司で酒を飲んでたくさん食べただけでこの日は終わってしまった。

 ジムで出会いがあるのでは、とかいう淡い期待も玉砕したし、この日のジム体験に限っては呪いの代替としては全く意味のなさないものだったが、改めて私にはジムは合わないし(だって……バーベル? とか持ってダンスしてるんだよ、足動かない私にはハードルが高すぎる)、別に悪口暇人中傷裏切りBBAに対抗するために時間とお金をかけて行くところではないと知ることができただけで大きな収穫だった。そして、ジムの風呂で自分よりもお年を召した女性たちの裸体から学んだことがあった。
 
 大浴場には①すごく細くて筋肉もあるが、乳とケツだけは皮膚がダルダルにたるんでいる婆さん、②少し太めだがケツも乳もプリっとしている婆さん、の2パターンがいた。なるほど、筋トレをするタイミングっていうのもあったんだな。そしてもう私は遅い、とも分かった。

 私の場合、ケツの脂肪がたるみになって皮膚余りの状態から筋トレを始めたから、ここから筋トレでケツに筋肉をつけても決して若い頃のようなぷっくりとしたケツにはならないのだ。急激なダイエットで腹の皮膚だけ残っちゃった~みたいな事例がたくさんあるけど、たるんでしまったケツの皮膚は筋肉をつけてもどうにもならないと思われる。しぼんだ風船には空気(ヒアルロン酸とか脂肪注入とか……?)が必要で、筋肉は空気にはならない(あくまでも私が思ったことです)。

 間接的にそんなことに気づかせてくれた無神経KY暇人筋トレしかやることない裏切り中傷BBAには心から感謝したい。まあそもそも、BBAを見返すためにジムに通うのは全然金と時間の無駄遣いであり、(期待していた)出会いもなさそうだし、明日もう1つ体験入店に行くけど、そこは会員が女性だけ、しかもメインターゲットはシニアなのでちょっとまた違った視点で活動できそうだ。実はそこの近くに行ってみたい酒場があるのもデカい。終わったら飲みに行ける。

 と、全然ボランティアの話に行きつかなかったので、そこは次回書く。(長くなったからまだ続く)


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