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駅前の鳥居と外宮参道


内宮といえばおかげ横丁、じゃあ外宮は?


参拝に向かう道中、五十鈴川を傍目におかげ横丁に足を運んだ方は多いのではないでしょうか?

お伊勢参りに来た旅人たちをもてなす役目は、時代が変わった今でも確実に受け継がれています。老舗はもちろんのこと、今風の店も少しずつ増えてきており、来る人たちを満足させるようなものとなっています。


では外宮前はどうでしょうか?

実はあるんです。
その名は「外宮参道」。市内で愛されている牛乳屋や、地ビールを販売をしている店、伊勢うどんの食べられる食堂などが並んでいます。外宮に参拝にいらした方は必ずと言っていいほど通っている道でしょう。
それもそのはず、外宮参道はその名の通り、現在の伊勢市駅(旧:山田駅)から外宮までをつなぐ道なのですから。

この外宮参道、実は最初から「観光地として」活気があったわけではありません。というのもこの道が開通した1899年に伊勢市駅(旧:山田駅)、そこには数多く旅館が数多く立ち並んでいたのです。その数の多さは「日本三大旅館街」に選ばれるほどのモノで、活気を伴っていました。この頃はまだはっきりとした道の名前はなかったようです。

しかし1945年の宇治山田空襲により立ち並んでいた多くの旅館が火の海に呑まれてしまい、焼失。戦火が収まった後も復興が遅れてしまい、宿泊施設の再建もなく、宿としての機能が失われてしまったのです。

その後、1953年に式年遷宮が行われ、それを記念するために駅前に巨大なコンクリート製の鳥居が建てられました。しかしこの鳥居は、のちの道路拡張工事の際に撤去されてしまいます。
1955年に名称が「三重県道24号山田停車場線」となり、1972年に「三重県道24号伊勢市停車場線」変更されました。1983年には、街路樹の設置と電線地中化が行われ「コミュニティ通り神宮参道」の愛称がつけられました。今でも「外宮参道」のことを「コミュニティ通り」という人は多いですね。(かくいう私もその一人です)

ただ道路の整備状況とは裏腹に外宮への参拝客の数は減っていきました。1993年以降から式年遷宮(20年に一度行われる、社殿を造り替える神事)や志摩スペイン村開園などが立て続けに起こり、観光客が注目度の高い内宮に集約することになったのです。こうした中、外宮前で店を営む人々は外宮に対する知識や理解が不足していることに気が付きました。そこで外宮についての学習会をはじめ、理解を深めるとともに参拝客に対するおもてなしができるように準備を始めたのです。そして2006年ごろ、通りに石畳舗装が行われ、愛称が「外宮参道」となったのです。

そして2013年、かつて壊された駅前の鳥居が復活を果たします。以前ほどの大きさではないものの(前は高さが17メートルもあった)、木製で高さが約5メートルの鳥居が建っているんです。

そんなこんなで外宮参道、今では飲食店や宿泊施設などの新規出店もあり、週末や長期休みには賑やかな様子が見受けられます。次に伊勢に来るときは、内宮だけではなく、外宮にも来て外宮参道を歩いてみてください~。


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