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素直のDNA?

 本日1時間目は、盛り上げ科での、「多様性」についての、あまり勉強らしくない授業の回。「盛り上げ科」は去年の「素直科」の後輩たちである。

キーンコーンカーンコーン……♪

 まずは、「中間テストの範囲を、配りまあ~す。」
 テスト週間に入るので、手書きのテスト範囲を刷って配布。
見るやいなや、
「これ、先生が書いたんですか~?へ~。」
           (え??他に誰が?どういう意味?)
「この猫、誰ですか?」
(手書きで書いたら、下の方にスペースが余ったので、書き直さず、バランスをとるために、空間に1匹、猫のスタンプを押していた。)
と、関係のなさそうな質問が飛んでくる。どちらも、瞬時に意図を察しにくい。
「え??誰でもないよ?なんかの猫よ?……??」

「わっ、狭っ!」と、別の声。
 1学期の中間テストのテスト範囲は、毎年年度初めの行事や、ゴールデンウィークなどで抜けまくる上、高校生たちもわたしも、調子が出なくてあまり進んでいない。今回は教科書だけで言えば、たったの4ページ😊。
「でも、今年はまだいいほうよ?去年は2ページしかなかったんだから。
(やたらに抜けまくる曜日に授業があったので。)」
「😊😊😊😊😊~」
 えー!たったこれだけのことで、教室が賑やかに笑ってる!

  素直~。こういうの、去年も見たな~。

と、目を丸くしていると、まだ名前が分からない誰か少年の、「おいっ、静かにするぞ~。聞くぞ~。」という声が入る。そうそう、授業だ。




 「NHKスペシャル5min『男×女 性差の真実』」という短い動画を見る。
思春期に女性から男性へ性別が変化する人がいるという、ドミニカ共和国のサリーナス村のこと。脳の性差、いわゆる男性脳・女性脳と言える人は人類の全体の1割程度で、残り9割の人は男女の特徴が入り交じる男女モザイク脳であるというテルアビブ大学のダフナ・ジョエル博士の研究のこと……。

 それを、「えー!!」「お~!」「……すげ~!」と、声に出してつぶやきつつ見入る盛り上げ科。

   やっぱり素直~。

 そのあと新聞記事を読む。
 LGBT当事者の若い方が、ご自身の経験談を載せた朝日新聞デジタルの記事なのだけど、段落交代何人目かの少年の、この記事一番のクライマックスの場面の朗読が、あまりにも自然で、真に迫っていたことに、みんなが反応。彼の言ったワンフレーズを何人もがリピートして、エコーのようになってしまう。(こら!)
 でも、たしかに演技として、すっごく上手だったよね?今の言い方。

   こういう光景も、去年いっぱい見たな~…

 読み終わって、ちょっとだけ授業して、残りあと5分。
「テストも近いし、さっさと試験範囲まで進んでしまおうか?もうちょっと続きやる?」
と、訊いたら、みんなにこにこして、みんな首を横に振っている……。



   ……ある意味、素直。




 「…よね?それじゃあ、動画のプリントを仕上げて、一番後ろの人は回収お願いします!」と、あきらめるわたし。
 やっぱり彼らは素直科のDNAを引き継ぐ者たちなのだろうか……。


             🌞 🌞 🌞 

               

 午前中の授業が終わって、昼休みの間に、別の方の学校へ移動しようと、駐車場に向かう。
 駐車場の橫には、体育館。
 昼休み、自主練のバスケ部のボールの音が聞こえてくる。体育館のサイドの開いた出入り口から、数人が頭を出してくる。あ、去年の若者たちだ。
「あっ!先生っ!お~い、雲子先生~!」
「は~い……?」
「今年の公共はどうですかあ?!みんなちゃんと聞いてますかあ?!」
「う~ん、まあ、去年並みかな~。」
「えっ?!なんてえ?!」(たぶん、ボールの音で聞こえてない。)
「去年並みよお~!!!」
「ふうん!がんばってね~!じゃーねー!」
と言ったのは、わたしじゃなく、彼ら。なぜか、励まされる。
 どうやら順番が来たらしく、体育館の奥の方へ、持っていたボールをシュッと放って、本人たちもスイッチが入ったように体育館の奥の方へ駆け出していく。

 そっか、部活だから、ワイルド科とおしゃれ科が同時にいるんだ。なんかすごく変な感じ。しかも、走る背中がいかにも強そう。強豪のオーラが出てるよ?
 去年の初めは、若者たちもあれくらいの感じだったのにね😊。 

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