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エッセイに書かなかった、本当のこと

今から、3年前に書いた「"意識高い系"おんなともだち」というエッセイ。

国際女性デーにあわせて、女友達との話を……という依頼を受けて書いた文章なのだけれど、私自身非常に熱を込めて書き、沢山の人が読んでくれた。書籍の編集さんも気に入ってくれて、本にも収録することになった。

でも実は、このエッセイには話の流れが悪くなるから……と書かなかった事実があり、そのことに対する罪悪感がずっとあった。以下、中学時代の話のところで。

紺色のプリーツスカートに身を包んだこち側の子たちはそれぞれが自治警察のような顔をして、出る杭がいないかを監視し合って過ごしている。彼女ら曰く私は真面目で生意気な存在だったらしく、上履きや筆箱は何度でもなくなった。

 中学3年の12月。学級崩壊して先生の声が聞き取れない状況に私は我慢の限界を迎え、「自分らうるさいねん、もう黙ってや!」と女の子たち相手に大きな声で怒鳴ってしまい、卒業までの3ヶ月間は自ら招いた地獄を味わった。担任には「アホやなぁ。あと3ヶ月我慢したら良かったのに」と苦言を呈された。

この中に、嘘は書いていない。話を盛っている訳でもない。実際、私が通っていた大阪の公立中学は荒れ果てていて、毎日我が身を守ることで精一杯だった。ただ、「3ヶ月の地獄」の期間に実は、涙が出るほどありがたいこともあったのだ。

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920字

新刊『小さな声の向こうに』を文藝春秋から4月9日に上梓します。noteには載せていない書き下ろしも沢山ありますので、ご興味があれば読んでいただけると、とても嬉しいです。