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ショートショート

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[ショートショート] 新色できました - 新五原色の氾濫 -

[ショートショート] 新色できました - 新五原色の氾濫 -

 新たな原色が発見された。
 それは人間の目では認識できない波長の色だった。

 これまでも四番目の原色が見えている人や、生き物によっては十六の原色が見えているものもいることがわかっていたが、今回発見された色はそれとは全く次元の違う原色だった。

 国際色連盟はこの新しい原色に「新五原色」と名付けて各国の国家機関にて厳重に管理するよう勧告を出した。

 何しろこの新しい原色はとても危険なものだった

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[ショートショート:SF] 共鳴~resonance - 幻影の箱庭 - #春弦サビ小説

[ショートショート:SF] 共鳴~resonance - 幻影の箱庭 - #春弦サビ小説

小説のサビ部分。つまり盛り上がるところだけを抜き出して書く試みです。
企画期限過ぎちゃってますけど~!!!!

唐突にいろいろ出てきますが、物語の前後を妄想しながら読んでいただければ幸いです。

wasaviさん作詞、つるさん作曲の『共鳴~resonance』からインスピレーションいただきまして物語を書いてみました。

共鳴~resonance - 幻影の箱庭 - 向こうのビルの角に白い影が走って

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[ショートショート] 奪われた唇 - 私とあいつとギターとベース #春弦サビ小説

[ショートショート] 奪われた唇 - 私とあいつとギターとベース #春弦サビ小説

小説のサビ部分。つまり盛り上がるところだけを抜き出して書く試みです。

唐突にいろいろ出てきますが、物語の前後を妄想しながら読んでいただければ幸いです。

タケノコさん作詞/PJさん作曲の『奪われた唇』から物語を考えてみました。

奪われた唇 - 私とあいつとギターとベース「ケツが見えてるぞ」

 出番が終わって楽屋で独り楽器を片付けていると、いきなり話しかけられてビクッとなった。
 振り返ると、

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[ショートショート:SF] アオレス - 解凍 - #春弦サビ小説

[ショートショート:SF] アオレス - 解凍 - #春弦サビ小説

小説のサビ部分。つまり盛り上がるところだけを抜き出して書く試みです。

唐突にいろいろ出てきますが、物語の前後を妄想しながら読んでいただければ幸いです。

soundwsさんの楽曲『アオレス』からインスピレーションを得て物語を書いてみました。

こちらの歌には、元となったお話もありますので、ぜひこちらも読んでから。

アオレス - 解凍 - その日も目覚めると同時に僕は四角い部屋に入った。

 K

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[ショートショート] -初恋- 君に捧ぐ、桜色。 #春弦サビ小説

[ショートショート] -初恋- 君に捧ぐ、桜色。 #春弦サビ小説

小説のサビ部分。つまり盛り上がるところだけを抜き出して書く試みです。

唐突にいろいろ出てきますが、物語の前後を妄想しながら読んでいただければ幸いです。

Q_nineさんの詩から作った曲を元に書いてみます。

-初恋- 君に捧ぐ、桜色。「おまえバカか? そんなことしたってヒヨコは生まれないぞ」

 僕の言葉に君は涙目になりながら振り返った。

「生まれるもん。本で読んだんだもん」

「それスーパ

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[DTM&ショートショート:ホラー] 春は大切な季節 - 隠された想い - #春弦サビ小説

[DTM&ショートショート:ホラー] 春は大切な季節 - 隠された想い - #春弦サビ小説

小説のサビ部分。つまり盛り上がるところだけを抜き出して書く試みです。

唐突にいろいろ出てきますが、物語の前後を妄想しながら読んでいただければ幸いです。

※注意※ホラーです

今回は元となったお話があります。
まずはそちらをお読みください。

春は大切な季節 - 隠された想い - 布団の中だけが春にとっての安寧の空間だった。

 ゆっくり布団から顔を出すと部屋の入口に無表情の母親が立っていたので

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[ショートショート] 鼓舞 - そして世界は枯渇した - #春弦サビ小説

[ショートショート] 鼓舞 - そして世界は枯渇した - #春弦サビ小説

小説の途中を書く企画ですが、勢いで始まりから終わりまで書いてしまいました。

ららさんの作詞で曲をつくり、そしてお話を作ってみました。

まずは、曲を聞いてください。

鼓舞 - そして世界は枯渇した - ナギがまた泥水を掻き回していた。
 長い木の棒を持ってぐるぐると熱心に泥を混ぜている。

「そんなことして、いったい何の意味があるの?」

 ナミは毎日同じ質問を投げ続けた。

 そうしてざっと

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[ショートショート] 記憶冷凍 - シナプスの森とフィヨロン

[ショートショート] 記憶冷凍 - シナプスの森とフィヨロン

 果てしなく続く海は凍っていた。
 緩やかに押し寄せる波はまるで滑らかなガラスのように見えた。

 凍りついた海の下にはかつてこの惑星に暮らしていた人々の記憶が保存されていた。

 ほんの百年ほどの寿命の中でこの星の人々が経験し想い感じたことの全てがここにあった。

 だけれども、この惑星は凍てつき千年もの間眠りについている。

 これらの記憶がこの世に放出されることはもうない。
 深い深い眠りの

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[ショートショート:アクションホラー] 夜舞桜 - Sweet Potato Head Counterattack #春弦サビ小説

[ショートショート:アクションホラー] 夜舞桜 - Sweet Potato Head Counterattack #春弦サビ小説

小説のサビ部分。つまり盛り上がるところだけを抜き出して書く試みです。

唐突にいろいろ出てきますが、物語の前後を妄想しながら読んでいただければ幸いです。

夜舞桜 - Sweet Potato Head Counterattack 新宿歌舞伎町跡地にやってくると規制線が引かれていた。
 やはり噂は本当だったのだろう。

 木刀を握る手に力が入った。
 ミサはこの中にいるのだろうか。

 僕は裏側に

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[ショートショート:SF] 散華 - 歌う女 - #春弦サビ小説

[ショートショート:SF] 散華 - 歌う女 - #春弦サビ小説

小説のサビ部分。つまり盛り上がるところだけを抜き出して書く試みです。

唐突にいろいろ出てきますが、物語の前後を妄想しながら読んでいただければ幸いです。

散華 - 歌う女 - それは偶然の出会いだった。普段は踏まない回路の隅っこをなぞるように舐めるようにひとつずつ潰していった先に、その入口はあった。

 中を覗いてみると、そこはゼロとイチの配列からなる、二進法の世界だった。
 コンピュータに二進

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[ショートショート] トラネキサム酸笑顔と僕の出会い

[ショートショート] トラネキサム酸笑顔と僕の出会い

ある日、見知らぬ女に「トラネキサム酸笑顔」と言われた。

「何ですか?」

俺がそう聞き返すと、女はニヤニヤと笑うばかりだった。

腹が立ったので無言で立ち去ろうとすると、女が僕の腕を掴んでさらにこう言った。

「だから言っているでしょう。虎猫サムさん、笑顔って」

恐ろしくなって女の手を振りほどこうとしたが、思った以上に彼女の力は強くて、僕は逃れられなかった。

女は僕を引き寄せると耳元でこう囁

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[ショートショート] 春とギター:底無しの欲望

[ショートショート] 春とギター:底無しの欲望

目を開けると野原にいた。

ヒラヒラと蝶々が飛んでいく。
うまそうだなと思った。

ゆくっり立ち上がると少し目眩がした。
あっちで少しどんちゃん騒ぎやりすぎた。

私の名前は春。いまそう、ここにこうして生まれたばかりだ。

音が聞こえてきたので私はそちらへ向かった。
人間がいた。

人間は弦楽器を持って声を出していた。

私はこれが “歌” というやつだと知っていた。
我々が奏でるものとはだいぶ違

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[ショートショート] オバケレインコートの思い出

[ショートショート] オバケレインコートの思い出

 中学三年生のころ、好きになった男の子がいた。
 彼はいつも丈の長いジャケットを制服の上から着ていたので、オバケレインコートと呼ばれていた。

 たいていの時間、彼は読書をしていた。
 私にはそれがとってもクールでかっこよく見えたんだ。

 彼は探偵ものをよく読んでいた。
 私もこっそりそのシリーズを図書室で借りて読んだ。

 共通の話題を探していたんだと思う。

 ある日、私は思い切って彼に話し

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[ショートショート] 風車のモリビト | シロクマ文芸部

[ショートショート] 風車のモリビト | シロクマ文芸部

風車のモリビトに言われて僕は微調整を続けていた。

この作業に何の意味があるのか僕には全くわからなかったけれど、とにかく何千何百とある風車の方向を調整して正確に風を捉えて最速で回るようにするのが僕の仕事だ。

風車は地面から生えてくる。いつのまにか生えてくるので知らず知らずに方向が狂っているものが増えてしまうのだ。

風車の向きを狂ったままにしておくと、この世の均衡が崩れて厄災が起こるという。

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