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AIがもたらすディストピアな世界

多層ニューラル・ネットワークを利用したAI技術が産業革命並みの勢いで急速に発展していますが、その先にあるものを考えてみたいと思います。

AIの画像生成は誰でも扱え直感的な事もあり、AI技術社会を先行して広がりました。(良くも悪くも)これから社会で起こるだろう事の縮図のように思えて仕方ありません。

まず、多くの人が望むAI技術のあるべき形ですが、それは人の手足となり、または道具となってくれる事です。たとえば画像処理の分野で言えば、背景を削除したり、自動選択したり、ノイズを除去したり、色を塗ったり、アップスケールしたりする作業の効率化や品質向上だと思います。しかし今の状況は、それらの用途での利用者は少数となりました。

多くのAI利用者は、課題の選出やブレインストーミング的な用途として画像を生成します。つまりAI主導のアイデアで進めます。その後、AIが提案するものを選び、アーティファクトや手や指のバグ修正だけを人間が行います。つまり、構図や色、対象を選ぶような、もっとも創造的かつ人間的で面白い部分をAIに任せ、面白くないとされるバグ取りを、人間が行っている状況になります。

  1. (AI主導)プロンプト等で、アイデアをAIと出す。

  2. (AI主導)プロンプト等で概念的な指示を出し、AIにランダムに画像を出してもらう。

  3. (AI主導)ランダムの中から良い画像を選択する

  4. バグ取り・人間主導)手や不自然箇所を直す

  5. バグ取り・人間主導)出てはいけないRモノや法律に合致しているかの確認

なぜ、そのような構造になってしまうのかというと、人間的とされる創造作業部の品質が、世界トップとされる人間の能力をも大きく超えるからです。(指やアーティファクトなどの)バグのない作品であれば、単純な品質はチェスや将棋の世界と同じで、既に人間最高峰を超えているでしょう。

一方で、バグ取りAI技術はまだまだ弱いので、人間が関与する事になります。つまり需要と供給に支配される市場経済では、AIが得意とする分野はAIに任せて、「相対的に」弱い分野を、人間が(AIと共同で)作業する事になります

これが一般の商品開発に導入される事になれば、アイデアや計画、クライアントとの折衝や調整をおこなう上流工程から人間が一掃され、下流工程であるバグ取りにより多く人間が投入されるわけです。費用対効果を考えても、一般に上流工程の方が人件費が必要ですから。

もちろん下流工程に多くと言っても、(バグ取り分野で)AIを超えるその分野の技術のある少数精鋭なわけです。

そもそも他社の競争相手も同じAI主導であるため、(人間の)バグ取り合戦がビジネスの勝敗を決する大要因になります。勝ち残るために、人間リソースを面白くないバグ取りへ投入せざるを得なくなります。

かなり極論的な話ではありますが、AI技術が発達した社会では、良く言われる(産業革命のように)単純作業が機械化され単純労働の仕事が無くなるのではなく、AIの苦手な単純労働しか仕事がないという世界に変わる事が最大の問題ではないでしょうか?

繰り返し言いますが、AIは単純作業が全く出来ないのではなく「相対的」に弱いだけです。しかしそのアンバランスさ・相対的弱点が、単純作業の人間力をビジネスの勝敗要因にしてしまうという予想です。

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