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【2022年マイ映画ベスト10】

2022年の映画マイベスト10。例年どおり順位不同(鑑賞順)で、新作として公開された劇場映画&(劇場未公開で)配信された長編作品から選びました。
2022年に劇場&配信で観た新作映画は、いまのところ127本です。


「スティルウォーター」

マット・デイモン演じる無骨な父親が、殺人罪で捕まった娘のために異国で奔走するというプロットから浮かぶイメージを、良い意味で覆す重厚な人間ドラマ。偏見や思い込みから生じる人間の弱さや愚かさが突きつけられ、「人生は冷酷だ」というセリフに続く余韻が心に沁みた。

 

「ちょっと思い出しただけ」

時間の流れを遡りながら物語が進むにつれて、いつ、誰が、何を、“ちょっと思い出した”のかが明らかになり、最後の最後で“なぜ“ちょっと思い出した“だけ”なのか分かった瞬間、心をわしづかみにされた。恋愛そのものより、恋愛の先にある人生が描かれた恋愛映画が大好きなんです。

 

「アネット」

映画というのはこんなにも自由で、豊かで、刺激的で、そして美しく残酷なものなのかとレオス・カラックスが教えてくれた。何より、映画館で映画を観ることがいかに“特別な(かつ奇妙な)体験”なのか、監督がスクリーンを越えて語りかけてくるツカミが最高。今年のベスト・オープニング。

 

「マリー・ミー」

正反対の二人のありえない出会いから始まり、ドラマチックな展開に一喜一憂しているうちに、いつの間にか彼らに共感し、二人のことがどんどん好きになる。これぞまさに、ロマンチック・コメディの醍醐味。映画を観ながら幸せな気持ちで涙を流したのは、いったい何年ぶりだろう…。

 

「ベルイマン島にて」

ベルイマン監督が愛した美しくもミステリアスなスウェーデンの離島を舞台に、映画監督の二人の男女の「ビフォア・ミッドナイト」のような微妙な関係と、劇中劇として映し出される切ない恋愛物語が、静かに重なり混じり合っていく。今年最もロケ地に行ってみたくなった作品。

 

「わたしは最悪。」

ひとりの女性の出会いと別れが描かれていく中で、そのあらすじ以上に、セリフやシーンとして語られていない部分に、心が切なく揺さぶられる作品だった。自分の将来や変化することに怯えていた、30歳の頃の自分にも、そんなに不安にならなくても大丈夫と言ってやりたくなる。

 

「三姉妹」

三姉妹それぞれが“家族”にまつわる悩みや痛みを抱えながらも、必死に自分の“家族”を作り、守り、それに固執する理由が、壮絶な過去とともに明かされる。全く共感を寄せ付けず、心の中に"阿修羅"を抱えた三姉妹の全員が、いつしか愛おしてたまらなくなり、俳優の底力を思い知らされた。

 

「ドライビング・バニー」

貧困と“ある事情”で子供から引き離された母親が、再び家族で暮らすために奮闘する物語。彼女なりの“正義”や“努力”でトリッキーに問題を解決しようする主人公と、いつの間にか彼女の強い信念に巻き込まれていく周囲の人々の“親切”で物語が動くところがとても良かった。

 

「その道の向こうに」

心と身体に傷を負った帰還兵が、自分の道を取り戻していく物語。“誰かがそばにいるのは、いいものだ”というシンプルでストレートなメッセージを丁寧に描いているので、心の奥深くに沁み入るようにゆっくりと響いてくる。こういう映画こそ、きっと多くの人が必要なはず。

 

「モンタナ・ストーリー」

父を見舞うため数年ぶりに実家で再会した姉妹を中心とした、登場人物も少なくシンプルな作品だけど、モンタナの美しく過酷な自然を生かしたアメリカ映画ならではの見応えがたまらない。今年観た中で最も“撮影”が印象的な映画で、何気ないシーンの細部までこだわりを感じた。

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