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防災のはじまりにあるものは、「忘れないこと」だと思う。

2016年、2度の震度7を観測した熊本地震。

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公務員の方々、警察官や自衛隊、飲食店と、多くの方が自分の仕事を通じて、この町のひとびとの生活と、復旧に向けて貢献しているなかで、クリエイティブは何が出来るのだろう。
自分が好きなデザインという仕事が、何も役に立たないのはかなしい。クリエイティブの力を信じたくて、立ち上がった団体が、私たち 一般社団法人BRIDGE KUMAMOTO です。

どんな災害がおきたって、創造力は奪えない。熊本の自然、産業を、クリエイティブの力で呼び戻したい。

熊本地震で被災した、モノづくりに携わる人たち、特に小規模事業者は、将来の事業継続に大きな不安を感じていました。この窮地をチャンスに転換させるために必要な、外部の支援だけに頼らない、自立した復興プランを創っていくためにクリエイターの力を活用できないか。

そんな考えで、私たちの活動は、東京の六本木アカデミーヒルズ オーディトリアムにて、「みんなで企画会議!東京キックオフDAY」というイベントからスタートしました。

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その後、県外からの仕事を請け負い、熊本のクリエイターを起用し、熊本にお金を落としていくことや、熊本で立ち上がったプロジェクトに、自身のスキルで復興支援に携わりたい県外のクリエイターを活用することで、社会課題とクリエイターをつなぐ“BRIDGE”としての活動をはじめました。

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イベントの企画や、デザイン・広告・映像・ウェブサイトの制作などを続けながら、被災地域にも足を運ぶなかで生まれたアイテムがBLUE SEED BAG®(ブルーシードバッグ)です。

復興の種と3つのRE

ブルーシードバッグは、熊本地震の被災地域で使用され、廃棄予定となったブルーシートを回収して、裁断・洗浄して、トートバッグに生まれ変わらせるプロジェクトで、2017年にはグッドデザイン賞のBEST100に選出されました。

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被災後の熊本は青色に染まっていました。屋根にかけられたブルーシートを、「復興のたね」と意味づけて、前向きで明るいものへ転換させたい。そんな思いからブルーシードバッグというネーミングにしています。

また、リデュース・リユース・リサイクルの3Rから着想を得て、

REMAKE(災害ゴミの利活用)
RETURN(売上の一部を被災地へ寄付)
REMIND(災害を忘れない)

の「3つのRE」というテーマを設定しました。

以降も、災害ゴミを利活用し、収益の一部を寄付するアイテム「田園シンフォニーをもう一度」や「熊本城瓦御守」などを企画・販売していますが、それぞれに「3つのRE」を掲げています。

私たちがつくっているものはプロダクトではない

私たちのつくるアイテムには、被災地域で活動する復興支援団体や、災害で困難な状況にある方々への寄付、災害ゴミの利活用という以外にも大きな意味があると、この5年を活動を続け、仲間やお客さまの声を聴くなかで感じています。

その意味のひとつは「被災地域との関わりしろ」になっているということ。

令和2年7月豪雨で被災したくま川鉄道を支援するアイテム「田園シンフォニーをもう一度」を販売したときのこと。
メディア掲載の影響もあってか、全国各地の方々からご購入いただいたのですが、購入時にメッセージをたくさんいただきました。

「地元の静岡新聞の記事を読んでぜひ購入したいと思いました。」
「以前乗車したときの、きれいな列車とのどかな風景を思い出します。沿線の皆様の復興と田園シンフォニーの復活を願っています。」
「米国在住です。熊本には毎年訪問。水害の前にも訪れていて、米国のニュースでも球磨川の氾濫が放映された時は、胸が痛みました。またいつか、熊本に行きたいです。応援しています。」

災害のニュースがあったとき、支援をしたいと思っても、自分の住んでいる場所、仕事や生活の時間、体力など、さまざまな要因で「現地に駆けつけて活動をする」支援は難易度が高いことなのだと思います。

これを書いているわたしも、令和2年7月豪雨の際には3ヶ月ほど現地に入って支援活動に携わっていましたが、当時はフリーランスで、かつ当時関わっていた仕事がたまたま融通の効くものばかりで、そして仕事先の方々がたまたま、現地に行きたいというわたしの背中を押してくれる方々に恵まれていたから現地に行くことができたと思っています。

私たちがつくるアイテムには、支援をしたい気持ちを形にして届けるための「関わりしろ」という機能があるのだと、みなさんからのメッセージを見て感じています。

「災害を忘れないこと」が防災のはじまり

もうひとつ、私たちのつくるアイテムやプロダクトに意味があるとすれば、私たちのアイテムは、3つのREにも掲げている「災害を忘れない」きっかけになりうるということ。

ブルーシードバッグも、熊本城瓦御守も普段づかいできるアイテムとして、田園シンフォニーをもう一度も、普段から暮らしの中で飾っておけるようにつくっています。

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それは「災害を忘れない」ことが何よりの防災につながると思うから。

できれば、出来る限り起きてほしくないけれど、それでも災害はいつどこで起こるか分かりません。東日本大震災、熊本地震、西日本豪雨、例年のように全国各地のどこかで大きな災害が起きています。

関心がなければ、対策のためのアクションを取るきっかけさえなくなってしまう。日常のどこかに、ふと思い出せるきっかけが、関心を寄せられるきっかけがあれば、それが、備蓄用の食品を買ったり、懐中電灯の電池の残量を確認したり、そんな防災のための一歩に繋がるように思うのです。


地震大国の日本、私たちが東北のボランティアからもらったアイデア、学びを、次の被災地に繋げていく。
私たちのアイテムが、そんな役割を担えればと考えています。


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