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【Destination】第39話 男女の特徴


「男性と女性は平等」、そこに優劣は存在しない。

だが、生物として比較したとき、それぞれ異なった特徴をもっているのは事実。

男女の違いが顕著になるのは14歳以降。12歳(小学6年生)くらいまでは、身長や体重に性差はほとんど見られない。

しかし、思春期を迎えると、男子のほうが身長が伸びて体重も増加。しだいに筋肉が発達しガッチリ、ゴツゴツとした体型になる。

一般的に男性の骨格は、女性よりも大きくて重い。筋肉が多く関節まわりの骨も筋肉をしっかりと支えられるよう、大きく太くつくられているため。

女子は胸が膨らみ、丸みを帯びたやわらかい体つきとなり、月経(生理)が始まる。

皮下脂肪が多く、腰まわりが大きいのが特徴。筋肉量が少なく、体全体に皮下脂肪がつく傾向にあるため、男性より約10%ほど体重が軽い。

この男女の違いに、大きな影響をおよぼしているのは、それぞれの体内で生成される「ホルモン」という物質。

「女性ホルモン」

エストロゲンやプロゲステロンなど、女性の体内で多く生成される物質で、ビタミンのように食物から栄養として摂るものではなく、体内のさまざまな器官から分泌されるもの。

その物質の総称が「女性ホルモン」。「インスリン」や「アドレナリン」もそのひとつ。

女性ホルモンは、体のいろいろな働きを調整する重要なもので、血液などを通して全身をめぐるなかで、さまざまな器官に働きかけ、生体恒常性(体の内部を一定の状態に維持しつづける)を保つ役割を果たす。

脳や内臓、骨や筋肉の成長、エネルギーの代謝、血圧、食欲や食物の消化、生理や妊娠・出産など、女性特有の現象に深く関係しており、心身の健康にも多大な影響を与えている。

血液中に占めるホルモン量は、50mプール満タンの水に対して、スプーン1杯程度の割合。ごく少量で効果を発揮する。

また、ホルモンはバランスがとても大切で、多すぎても少なすぎても健康になんらかの影響をもたらす。

男性と女性とでは、なりやすい病気の箇所やケガ、平均寿命さえも異なるが、それらはすべてホルモンが関係している。

「男性ホルモン」

男性ホルモンは思春期(第二次性徴)に急激に分泌量が増え、身体や精神力を発達させる。骨や筋肉、いわゆる「男らしさ」をつくるのに重要な役割を担い、同時に体脂肪を減らしていく働きも備えている。しかし、男性ホルモンの働きはそれだけではない。

性格や考え方、その人の社会性にも強烈な影響があり、大胆でリスクを恐れない、決断力のある男らしい行動、その源となっているのが男性ホルモン。

好奇心や冒険心などチャレンジ精神にも大きく関与。逆に言えば、男性ホルモンの低下が勝気や挑戦する心を奪い取ってしまう可能性がある。

分泌量を年齢の推移で見ると、多くの場合は10代から20代をピークに急激に増え、その後はゆるやかに、山型のグラフを描くように減少。

しかし、男性ホルモンの減少には、環境やストレスが大きくかかわっており、早ければ40代以降、急激に減少するケースも少なくない。

一方で、80代を過ぎても男性ホルモンの分泌量が40代の平均値をキープしている人もいるため、増減少には大きな個人差がある。

「男性ホルモンの3つの重要な働き」

1 筋肉や骨格の成長を促す。

急に身長が伸びたり、声変わりやヒゲが濃くなるなどの作用は、思春期に男性ホルモンが大量分泌されるために起こる。

2 性欲や性衝動のスイッチを入れる。

フェロモンを発生させたり、骨盤神経に働きかけたりして性行動に必要な作用も、男性ホルモンによるもの。

3 前向きな思考や高い集中力、やる気を働かせる。

男性ホルモンは大脳に作用するため、前向きな思考や決断力を働かせる、気力・やる気といった精神面にも多大な影響をおよぼす。これらが男性ホルモンの重要な働き。男性にとって、とても重要な物質であることがわかる。

男性ホルモンは、男性の身体と精神の重要な部分に働きかけているため、減少するとさまざまな症状が現れる。

 「性衝動にまつわる症状」
◯性欲の減退
◯性的興奮の低下

「身体的症状」
◯筋力の衰え、力が入りにくい
◯腹部の脂肪増加(腹囲の明らかな増加)
◯メタボリックシンドローム(内臓肥満、高血圧、高血糖、脂質代謝異常の複合症候群)
◯休んでも疲れがとれない
◯頻尿や残尿感

「精神的症状」
◯やる気や集中力、記憶力の低下
◯不安感による不眠、寝つきの悪さ
◯イライラする、気分が落ち込む
◯急に不安になる

「自律神経症状」
◯耳鳴りやめまい
◯汗をかきやすい、のぼせ、手足の冷え
◯動悸、息切れ

男性ホルモンの減少による症状のなかでよく見られるのが、性行動にまつわる変化と体型、精神面の変化。

見落とされがちなのは、「自律神経失調症」の症状によくある「めまいや頭痛」「発汗やのぼせ」「だるさや疲れやすさ」だが、こちらも男性ホルモンの減少による症状。

これは男性ホルモンの働きとは直接関係しないが、テストステロンが減少することで、ホルモンバランスが乱れ、交感神経と副交感神経の均衡がうまく取れなくなって引き起こされると考えられている。

男性に女性ホルモンを投与した場合、女性らしい体つきや、モチモチとした肌を得ることができるが、後戻りできない変化も起きる。

ホルモンの作用で膨らんだ胸は、外科的な手術をしない限り元には戻らない。何事にもやる気が起きない、論理的思考がしづらくなる、精神的に不安定となり、自死する例も確認されている。

女性に男性ホルモンの投与をする場合は、優生保護法違反の指摘を受ける可能性がある。

男性ホルモンの直接注入により、女性機能の廃絶や、外見・外性器に思わしくない変化が起こる懸念があるため。

女性アスリートの中には、男性ホルモンは、タンパク質の合成にかかわるため、「筋力アップにつながるのではないか」という発想をする者もいる。

確かに、筋肉の主成分はタンパク質であるため、男性ホルモンの注射をすることで、筋肉増量をめざせる場合がある。

ただし、それは人工的に男性ホルモンを体内に注入する方法でドーピングに該当。プロ、アマを問わずアスリートにはおこなえない。

男性ホルモンの補充により、女性の生きる活力や性欲、幸福感を回復させることは可能だが、コレステロールを含めた脂質代謝や肝機能にも不具合を生じさせ、さらに胎児にも影響があり、妊娠は絶対的な禁忌。

注射により、無理やりに体質を変化させるのは、大きなリスクをともなう、人体にとって危険な行為。


 







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