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人体の細胞数が激減した!?

 私は長い間、人体は60兆個の細胞でできていると思っていた。ところが、いつの頃からか、本などで「37兆個」という数字を目にするようになった。60兆個と思っていた私は、「この著者、37兆個だなんて、間違ってるぞ」などと思っていたのだが、その後も「37兆個」をあっちこっちで見かけるようになった。
 これはいったい……まさか細胞の数が減ったわけではあるまい。いくら能天気な私でも気になりはじめた。

 60兆個と37兆個では大違いだ。60歳と37歳だって大違いだし、60万円と37万円もずいぶん違う。60回振られたのと37回振られたのでも……しつこいか。
 はてさて、人間ひとりの細胞の数、いったいどっちが正しいのだ。ものぐさな私もついに決心し、昨日の朝、医療関係の機関や大学などのホームページで調べてみた。
 そして答えが出た。37兆個が正しかった。私は冒頭で「この著者、37兆個だなんて、間違ってるぞ」と書いているが、とんでもない。間違っていたのは私のほうだった。なんてこった。

 じつは、2013年にEva Bianconi(正しい読みがわからないからとりあえずエヴァさんでいいかな)氏ら数人による論文が発表されていて、それによると、いろいろな臓器や組織の細胞数を調べた結果、37.2兆個という数字が出たのだそうだ。もちろん、細胞の数が減ったわけではなく、計算違いだったということだ。
 どうやって数えたか知らないが、それにしてもなんということだ。37兆個に〝更新〟されてからすでに10年以上たっているではないか。いままで気づかなかったとは痛恨の極み、とまではいかないが、そんな気分だ。

 そんな私にも、薄っぺらではあるが一応プライドらしきものがある。そこで、少しばかり自己弁護しておく。
 私が昨日の朝まで崇め奉っていた60兆個という数字も間違っていたわけではない。60兆個は1970年代に発表された数字で、当時の技術で推定され、公式に認められていたのだ。
 1970年代のいつ頃かは知らないが、年代末期だったと仮定しても、少なくとも昨日の朝までの40年以上、私の頭のなかでは「60兆個」がわが世の春を謳歌していたことになる。

 ところで、とりあえず37兆個には納得したが、人間なら誰でも同じ数なのだろうか。生まれたばかりの新生児も、体重20キロの小学生も、その5倍もある100キロのプロレスラーも、同じ37兆個なのだろうか。
 昨日の朝私が調べた範囲では、「体格や年齢によって〝多少異なる〟が、37兆個が現在の主流の見解」ということだ。つまり、基本的には誰でも同じということなのだ。

 体の大きさに関係なくほぼ同じ37兆個ということは、体格に比例して細胞の大きさが異なることを表す。つまり、同じ数ですませるなら、大きさで補うしかないのだから。体重100キロのプロレスラーの細胞は、20キロの小学生のそれよりだいぶ大きいことになる。

 学者などの専門家が言うのだから間違いないと思うが、60兆個と37兆個の事例のように、確実などとはいえないだろうな、なんて私は思うのだ。「37兆個が現在の主流」という見解も、体の大きさに関係なく同じという見かたも、いつか変わる可能性は十分にあるだろう。そのときこそ見逃さないぞ。


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 ここからは投稿後に考えたことです。

 やはり、生まれたての新生児は細胞数は少ないのではないか。生まれてからもまだまだ細胞分裂を繰り返して、一定の時期(思春期以後、おとな)に達して37兆個になるのではないかと。
 で、37兆個になってからは、体の大きさには関係なく、そのまま落ちつくのではないかと……そんな気がします。




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