木造ビルを「社会のコモンに」、を編む。<木造建築の目指す未来編>
2020年カーボンニュートラルを目指す取り組みが宣言されたことを皮切りに、建築業界ではCO2の排出量が少ない木造ビルの建築が注目を集めています。
ブルースタジオは「まちの大家による『都市の木造化』促進計画」という木造オフィスビルの建築プロジェクトを2021年よりスタートしました。このプロジェクトが今年の6月にいよいよ竣工を迎えます。
今回は、このプロジェクトについて3回にわたりご紹介していきます。
なぜ今木造ビル建築なのか?
地球規模の気候変動に直面し、脱炭素社会の未来をどう築いていくのか?
世界最古の木造建築とされる法隆寺五重塔が奈良時代に建立されてからおよそ1300年経った今、再び日本の木造建築が見直されています。
その先陣を切るのは現代にアップデートした大規模木造建築の技術開発に取り組む大手ゼネコンやデベロッパーです。
そうした企業の多くが目指すものは、木造建築技術の開発だけでなく、日本の国土面積の2/3を占める森林資源を有効利用し、循環型社会を実現するためのサプライチェーンの確立でもあります。
大林組は「都市を森林に次ぐ第2の森林とすることで、自然と人が共生する社会を目指す未来社会にもつながる」という”WOOD VISION”を掲げています。(大林組 WOOD VISION)
また、住友林業は資材としての木の価値向上と有効活用を、創業350年の実績を活かしW350計画と題して「世界一の森林社会」と「環境木化都市」への挑戦を続けています。(住友林業W350計画)
こうした企業が実現する大規模木造ビルは圧倒的な技術と宣伝力で、これからの木造建築による循環型社会のシンボルとして、その普及に大きく貢献していくのだと考えられます。
Wooden buildings for the common people
大規模木造ビルの建設が進む中、ではなぜ、まちの建築設計事務所である私たちブルースタジオが木造ビルを手がけるのか。
それは「木造ビルの建築をもっと身近なものとして、広く世に一般化させ中小企業でも実現可能にするため」です。
現在、都市の約7割を小規模ビルが占め、更にそれらのビルの多くが老朽化による建て替え時期を迎えていると言われています。
このような都市環境を踏まえると、莫大な費用を要する認定工法が必要な大規模木造ビルだけでなく、まちのビルオーナーにも実現可能な「もっと身近な木造ビル」の建築設計も、都市の木質化にとって必要不可欠なものだと考えています。
今回のプロジェクトでは、独自技術や認定工法を必要としない告示仕様を使用し、1フロアあたりの貸床面積 200㎡未満の8階建てという非常にコンパクトな木造オフィスビルの建築設計を、「まちの設計事務所」が「まちの大家」と「まちの工務店」によって建築設計しました。
東中野駅から徒歩1分というオフィスビルとしては好立地の場所にある、この小さな木造ビルから、このまちが小規模ビルの街になることを目指し「木造ビルを社会のコモンに」を合言葉にこのプロジェクトを進めていきたいと思います。
次回は、
東中野で長年「まちの大家」として地域に根ざしてきたこの木造オフィスビルのオーナーでもあり、ブルースタジオのクリエイティブディレクターでもある大島のまちの大家による「都市の木造化」促進計画にかける熱い思いをご紹介したいと思います。
物件概要
★イベント情報★
GOOD DEGISN Marunouchi 企画展
「Tokyo Wood Town 2040 山と木と東京」
会期:2024年4月18日(木)-5月19日(日) 会期中無休・入場無料
時間:11:00-20:00
会場:東京都中央区八重洲二丁目2番1号東京ミッドタウン八重洲1Fアトリウム
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