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【シカゴでバードウォッチング!】思いがけない24時間

その日のミッションは二つ。前の記事に書いたSandhill Craneの渡りを見に行くことと、クリスマスツリーを自分たちで選んで切って買ってくることでした。

そのミッション達成の24時間のうちに思いがけないことに次々に遭遇したので、書き残しておきたいと思います。

Sandhill Craneは日の入り近くに集まって来るので、日の入りが4時20分だということを確認して、出発時間を1時半ごろにしました。その日はシカゴの典型的な冬の天気で、どんよりと曇っている上に風が強く気温は零下でしたが、決行することにしました。

家からほぼ真っ直ぐに南下していくと目的地のJasper-Pulaski Fish & Wildlife Areaがあります。途中、車から空を見上げていると、はるか上空にいました、いました、20羽ぐらいでV字型になって私たちと同じ方向に飛んで行くSandhill Craneたちが。思わず「あっちで待っているからね。あとで会おうね〜。」と声をかけてしまいました。次々にそんなグループを目撃して、私の期待はどんどん高まって行きました。

目的地に着いたら、すぐ近くの地面で餌をついばんでいるSandhill Craneたちがいました。久しぶりに間近に見て胸が高鳴りました。

15メートルぐらい先のところにいたSandhill Craneたち     ©Dan Lory

しばらく歩いてSandhill Craneが集まってくる開けた平地に行くと、聞こえるものは、Sandhill Craneの独特の鳴き声と強い風の音。見えるものは、四方八方から続々と終わりなく編隊を組んで飛んでくる鳥たち。日の入りが近づいてきて、刻々と濃淡の紅色を変えていく空。おそらく体感気温は零下10度ぐらいだったでしょう。

ぶつかりそうになりながら集まって来るSandhill Craneたち     ©Dan Lory     
夕陽を浴びて下降中のSandhill Craneたち     ©Dan Lory
夕陽の中でオレンジ色に染まっているSandhill Craneたち     ©Dan Lory

シカゴを出た時はどんよりと重たい雲が立ち込めていたのに、目的地は綺麗な夕焼けで、Sandhill Craneたちの姿がより一層美しく、満足、満足!

前の記事のYouTubeビデオの通りの光景でしたが、あの場にいないと、音、風、光の臨場感は味わえませんし、スケールの壮大さに圧倒されることもできませんね。みなさんに経験していただけないのは、本当に残念です。

その日の鳥の数は、Jasper-Pulaski Fish & Wildlife Areaの発表によると、32,938羽だったそうです。本当に多かった!

https://www.in.gov/dnr/fish-and-wildlife/properties/jasper-pulaski-fwa/sandhill-cranes/

まだまだ鳥たちは集まって来ていましたが、あまりの厳しい寒さと風で私たちは一時間後には引き上げました。「やっぱりまた来年も見に来ないとね。」との私の言葉に、夫と私はほとんど同時に「もし生きていたらね・・・」と言っていました。日本にいたら、「来年の桜も見られるといいなあ」となるんでしょうが、私たち二人らしく「来年もSandhill Craneの秋の渡りが見られるといいなあ」となってしまったんです。

そしてミシガン州へ。西の空は濃いオレンジ色に燃えていましたが、東の空は厚い暗い雲に覆われている。でも、そこに何か黄色いものがチラチラと見えるんです。何だろうと思っていたら、なんと大きくて黄色い満月が雲間から時々顔を覗かせていたんです。思わず蕪村の「月は東に、日は西に」を口ずさんでいました。季節は違いますが。でも、それも束の間、厚く黒い雲に覆われて闇になってしまいましたが、Sandhill Craneの渡り、夕焼け、大きな満月を堪能した私は、心が満たされていました。

次の日、これまた毎年恒例のクリスマスツリー購入です。クリスマスツリーを育てているファームに行って、自分が欲しい種類を決め、その種類の木の中から形がいいものを選んで、自分でノコギリでギコギコ切って購入するのです。Blue Spruce (コロラドトウヒ) を買うことにしたので、久しぶりに馬車に乗って少し遠い畑まで行きました。今年は全体的に背が低い木が多かったんですが、気に入った木を見つけることができました。先週末だけで1200本の木が売れたそうです。すごいですねえ。

無事、二つのミッションを達成してシカゴの我が家へ。その途中、突如、道に七面鳥が次から次に出てきて道を横断して行きました。そういう時にはただただ見とれてしまい、数を数えたり写真を撮ったりすることを忘れてしまいますよね。1羽が渡り終わると次の鳥が渡り始めるという感じで、おそらく10羽ぐらい出てきたと思います。幸い、道には私たちの車と他に一台が停まっていただけでした。ホッ。

そのあと、高速道路を走っていると、前方から大きな鳥がこちらを目がけて飛んで来るのが見えました。Hawk(タカ)にしてはかなり大きいなと思っていたら、なんとBald Eagle (ハクトウワシ) の成鳥でした!私たちの目前でふわりと舞い上がって道路の横の木の枝に止まりました。これも一瞬の出来事で、写真を撮ることはできず。でも、心はドキドキ、ワクワクでした。

その後、車窓から外を見ていると、Red-Tailed Hawk (アカオノスリ)が一羽、木の上に座っていましたが、これはよく見る光景なので「あ、いた」ぐらいでした。ごめんなさい、Red-Tailed Hawk君。

そして眠くなった私がウトウトしていると、夫が「あ、ペリカン!」と叫ぶではありませんか!びっくりして外を見ると、大きな湖に白いペリカンが一羽いました。夫は4羽見たそうです。白鳥がいるのはよく見かけますが、湖にペリカンがいるのは珍しいです。

そして我が家に到着。24時間弱の間に思いがけない邂逅、自然からのサプライズプレゼントがあり、忘れられない一日になりました。

午後、クリスマスツリーを立てたら、部屋中にBlue Spruceのいい香りが満ち、しばらくこの香りと共にこの日の楽しい出会いを思い返すことと思います。しあわせ〜。


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