マガジンのカバー画像

始まらなかった恋

7
1994年 18歳の時に出会った久我くんとの忘れられない恋の話
運営しているクリエイター

記事一覧

始まらなかった恋  ①/6  「出会い」

始まらなかった恋 ①/6 「出会い」

平成初期

世の中はバブルが弾け、女子大生ブームから女子高生が持て囃されるようになり、巷ではミニスカートにルーズソックスのコギャルが流行り、裏ではブルセラや援交という今の「パパ活」の先駆けとなるようなものが社会現象となった。
ただ、その時代の女子高生が皆が皆そんな感じだったかと言うと決してそうではない。格好こそは派手だったかもしれないけど、大半の女子高生は真面目な子ばかりで、遊んでる子なんてクラス

もっとみる
始まらなかった恋  ②/6  「女友達」

始まらなかった恋 ②/6 「女友達」

前回の話はコチラ↓

1994年9月

毎日受験勉強に明け暮れた高3の夏休みが終わり、新学期が始まるにあたって、私は金髪にしていた髪を黒髪に戻した。

久しぶりに教室に行くと、そこはもう推薦組と受験組がバッサリと分かれている状況だった。

というのは進学校だと思うんだけど、
私が通っていた女子高はそこまでの雰囲気はなく、相変わらず推薦組も受験組も和気あいあいと過ごす毎日を送っていた。

そんな中で

もっとみる
始まらなかった恋  ③/6  「電話」

始まらなかった恋 ③/6 「電話」

前回の話はコチラ↓

1994年秋

「もしもし、久我ですけど」

私は急いで電話の子機を持って、自分の部屋の隅っこまで走った。

「久我くん、え?久我くん?」

「アヤ?」

いきなり呼び捨て
まぁ、いいか

「ひ、久しぶり」

「久しぶりだな、元気?」

「元気だよ。いきなりでびっくりしたよ」

「前に幹事のS田から電話があってさ、とりあえずこの番号にかけろって言われて。ちょっと時間たっちゃっ

もっとみる
始まらなかった恋  ④/6  「合コン」

始まらなかった恋 ④/6 「合コン」

前回の話はコチラ↓

若い頃に合コンはいくつもやったけど、この日の事は忘れられない。

1995年3月

高校の卒業式まであと数日となった日、ついに私と久我くん主催の合コンが開催される事になった。
女子メンバーは、S美、B子、Y子。

S美から、
「アヤちゃん、この合コンは勝負だと思って挑みな。わかった?いつものように盛り上げ役はやらなくていいから、アヤちゃんは久我とくっつく事だけを考えればいいか

もっとみる
始まらなかった恋  ⑤/6  「電話」

始まらなかった恋 ⑤/6 「電話」

前回の話はコチラ↓

1995年3月

久我くんと距離を縮める為の勝負をかけた合コンが、なぜかカツラが宙を飛び交うヅラ合コンとなってしまい、私の中では完全に終わったと思った。

合コン後にS美とY子に会った時に、私はS美から謝られた。

S美「アヤちゃんがせっかく勝負かけてたのにごめん。何の役にも立てなかった。ただヅラ被って飲んでただけだったwww」

Y子「でも私、改めてアヤちゃんと久我って合う

もっとみる
始まらなかった恋  ⑥/6  「忘却」

始まらなかった恋 ⑥/6 「忘却」

前回の話はコチラ↓

1995年4月

「アヤちゃん・・・久我が死んだ」

その電話を受けたのは、久我くんとの電話から3日後だった。
そろそろ久我くんに電話をしようと思っていた日の夕方、珍しい時間に電話が鳴ったと思ったら友人のY子だった。

最初、何を言っているのかわからなかった

Y子は付属の短大で、同じ高校からの持ち上がりのMちゃんという子に突然声を掛けられた。

「K高の久我くんて知ってる?

もっとみる
始まらなかった恋  あとがき 「タイムスリップ」

始まらなかった恋 あとがき 「タイムスリップ」

前回の話はコチラ↓

今回私は30年前にタイムスリップして書いてましたが、マジでしんどかったです。

オバスンが高校生にタイムスリップするから疲れるのか、いやそういうことなのかわかんないけど、当時の気持ちってこんなんだったんだなと、過去と現実がごっちゃになって、なんだかわかんないけどめちゃくちゃ落ちました。

落ちるというか、最早トランス状態で、18歳の自分にタイムスリップして、記事を書きながら泣

もっとみる