私立探偵とフリマに出店した話
中学の頃だった。将棋の全国大会で入賞し、親が医者という友人に連れられ、怪しげな小さい店に入った。一見して何の店なのか、さっぱりわからない。駄菓子が売られていて、当時流行していた格闘ゲームの筐体が何台か置いてあり、ガラスのショーケースには妙な置物がいくつも並んでいる。奥の小上がりには将棋盤があって、友人はそこで将棋を指していた。対戦相手は三十代半ばくらいで無精髭を蓄え、カンカン帽を被った、田舎の都市には似つかわしくない奇妙な雰囲気の男だった。二人は紙幣を一枚ずつ卓に乗せており、