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映画LAMB(ラム)の感想・考察とネタバレ

元旦からアマプラにて、映画LAMBがスタート。
話題になった映画でしたが、公開している映画館が少なかったので
「観に行きたかったけど諦めた」という声もチラホラ。
映画館では字幕のみでしたが、
アマプラでは吹き替えバージョンもあるので、映画館にて既に観た人でも、また違った印象を受けるかも知れませんね。


LAMBを3回観てわかったこと


一回目は「何?」→正直、あっけに取られて終わった。「SF映画?」
二回目は「皆さんの考察を読んで」→なるほど
三回目は「ラムマンの存在を探す」→あっ、いる

更に、ヴァルディミール・ヨハンソン監督が来日した際のトークショーにも参加し、LAMBを堪能した2022年12月になりました。



ヴァルディミール・ヨハンソン監督からサインをいただきました


■最初に結論

①好き嫌いが分かれる
②映画LAMBはファミリー映画、アイスランドの民話をモチーフにしている
③極端にセリフが少ない⇒ネタバレ、解釈、考察は個人の見解に委ねられる
④動物同士は意思疎通できている
⑤アダちゃんのかわいさが忘れられない



日本での映画告知が「スリラー、ホラー(A24配給っぽいニュアンス)」
この点に関して、監督は少し苦笑い。
※映画を認知してもらうために、興行的に必要になんだそう

監督は「ラムはファミリー映画です」と強調!
セリフが少ないことから、色々根拠づけをしたくなりますが、
それに関しては、「皆さんの思うように考えていただいてOKです」と
監督は微笑みながら答えていたのが印象的でした。


■映画の基本情報


主演・製作総指揮
Noomi Rapaceノオミ・ラパス
『プロメテウス』、『ミレニアム』シリーズで知られる

監督・脚本
Valdimar Jóhannssonヴァルディミール・ヨハンソン
『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』などの特殊効果を担当、本作が長編デビュー
(本当に、優しい方)

■登場人物

動物たちがいい演技しています
①羊飼いの夫婦(人)アダちゃんの養父母 イングヴァルマリア
②羊飼いの夫の弟、元ミュージシャン(人)
③アダちゃん(首から上が羊の女の子、喋れないが人の言葉は理解できる)

④アダちゃんの生物学的母羊(クリスマスに身ごもる)
⑤アダちゃんの生物学的父・ラムマン(人ではない、クリスマスに羊小屋に侵入、最後に姿を現す)以降、ラムマンと記載
⑥アダちゃんと仲良しになる飼い猫
⑦牧羊犬
⑧馬
➈羊
⑩羊飼い夫婦の亡くなった実の娘(人、名前はアダ、お墓のシーンのみ)

■初めて観る方へ~ポイント


①途中まではアイスランドの厳しい自然と羊飼い夫婦の坦々とした日常が続きます⇒多分、睡魔が襲ってくる時間(笑)

アダちゃんのお尻が初めてうつるシーンは
「えっ(意外に人)」と思いますが、以降、物語が動きます

②風の音、生活音以外の「音、足音、呼吸音」に注目
※姿は見えないが「ラムマン」がいる

③羊飼いの妻が、気配を察するシーン

④アダちゃんの瞳に何かがうつる

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■以下私のネタバレと考察
民話、聖書など全く関係なく考えています

・途中、アダちゃんが行方不明になるシーン

イングヴァルマリアが必死で探します。
※このシーンでは、過去イングヴァルマリアの実の娘が、水の事故で亡くなったようなニュアンスを感じます

結局、家から遠く離れた牧草地に、アダちゃんの「生物学的母羊」の側にいたアダちゃん。
母羊はアダちゃんに何もしてあげることが出来ず。
母羊の鳴き声(イングヴァルとマリアに助けて欲しいと訴えていた?)で見つかりました。

※このシーンでは、アダちゃんの全身が披露され、思ったよりも「人」だと驚きます。

家からアダちゃんを連れ出したのは、間違いなくラムマン
母羊のためを思った行動かも知れませんが、
イングヴァルマリアが冷静に考えれば
「アダちゃん歩けないのに、他の誰かが連れて行った?」
という推測が出来るはずです。

しかし、この夫婦は「アダちゃんを母羊にとられる」
→母羊憎しで冷静な判断が出来ません。
イングヴァルマリアは、アダちゃんを抱えて家に向かって歩きますが、
母羊は追いかけ必死で鳴きます。
マリアに激怒された後の、母羊の無力感の表情から、実は母羊は、
「ラムマンの仕業だよ🐑アダを守って!」
イングヴァルマリアに危険を訴えているようにも見えます。

その後も、母羊の必死の鳴き声は続き、マリアの母羊への嫌悪感は頂点に達し、結局、母羊を殺してしまいます。

・犬と猫、アダちゃんとの関係

牧羊犬はアダちゃんを羊として、猫はアダちゃんを人として見ています。
そして犬も猫もラムマンを実際に目撃しています。
犬はラムマンの存在を早くから察していました。

イングヴァルが投げた、おもちゃがわりにしている「白い縄」。
犬が取ってこなかったのは、ラムマンの臭い(あるいは、ラムマンがいた)がついていたから?
犬はラムマンが外敵だと理解し、向かっていきましたが、ヤラレテしまいました。

イングヴァルマリアは犬がいなくなったことに直ぐには気づきません。
犬が死んでしまったことにもう少し早く気付いていれば、、

・ハンドボールの試合のシーン



イングヴァルマリア、イングヴァルの弟の3人でハンドボールの試合をテレビで観戦、アイスランドが負け、元ミュージシャンであるイングヴァルの弟のダサいMVを見ながらダンスをして盛り上がる。

盛り上がっている大人3人を残し、外に出るアダちゃん。
ここで、初めてラムマンと対面します。

※アダちゃんの瞳に姿が映っている
自分の姿に疑問を持っていたアダちゃんは、人でも羊でもない、ラムマンと会い、初めて自分と同じような存在がいることに気付きます。
※鏡を見て考えるアダちゃんがせつない

・ラムマンがイングヴァルを撃った理由


考察では、マリアが母羊を撃ったことへの復讐、因果応報と言われています。
もちろん、その理由もあると思いますが、イングヴァルの弟がアダちゃんを理解できず殺そうと銃を向けたシーン。
※ラムマンが見ていた可能性もあり。
↓以下は妄想過ぎる個人的意見です。
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・ラムマン自身が人間に対して復讐


ラムマンも生まれた時は、アダちゃんのようにかわいく、イングヴァル
マリアのような養父母に大事にされていたかも知れません。
しかし、成長するに連れ、魔物へと変化し、捨てられた結果、孤独に生きてきて、やっとアダちゃんという本当の家族を得られた。

そもそもラムマンにとって大事なことは「子孫を残すこと」アダちゃんは大事な存在。
イングヴァルマリアから、大事に育てられているアダちゃんを、自らの姿を隠しながら見守っていたラムマン。
ハンドボールのシーンの後アダちゃんは鏡に向かって自分の顔をまじまじと見つめます。
ラムマン自身も味わった「人と違う幼少期の疑問、自分が何者かわからない疑問」をアダちゃんは感じ始めているかも知れません。
それに気づいたラムマンがアダちゃんの奪還を決意したように感じました。

・マリアの沈黙ラストシーン


マリアの沈黙のシーンで終わります。
さて、最初のクリスマスのシーンで、マリアは窓越しに誰かの気配を感じています。多分、ラムマンの視線でしょう。

マリアはその気配を以降、何度か感じていたように見えます。
マリアは最後、ようやくその気配、その存在が
「自分の夫を奪い、アダちゃんを連れ去った者」
だと理解したように思えます。

※マリアはアダちゃんの生物学的父・ラムマンの姿は見ていませんが、マリアが魔物のような羊の夢を見るシーンで滞在的に存在している。

・実の娘を亡くして以降、過去に囚われ、否定するように生きたきたマリアの生活



戻りたかった過去をやり直すように、亡くなった娘と同じ「アダ」という名前をつけられた無垢で優しい異形の羊との幸せな生活。
それが長くは続かないことをマリアは薄々気付いていたと思います。
自分にとって邪魔な存在を消す術でしか、アダちゃんとの幸せな生活を続けられませんから。

マリアは未来に進む決心をする。新しい生命が宿ることを感じながら


彼女はすべてを失い、過去のやり直しでは幸せになれないことを実感。
※タイムマシーンの会話で過去にこだわっています
あのマリアのすっきりとした顔は、「過去を受容、ありのままの自分を受け入れ進もう」と決意したように見えます。

ちなみに、かわいいアダちゃんは、子役10人で演じています!

アダちゃんのかわいらしさ、幼児らしい歩き方、しぐさは何度も観たくなりますね。


ヒグチユウコさんのラム映画ポスター
日本で販売されたアダちゃんとネッコの仲良しスウェット
日本限定ラムブルーレイ

















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