餃子犬
友人の家に、見慣れない生き物がいた。
「ギョヌ!」
見た目だけでなく、鳴き声も聞き慣れない。
不思議なその生き物は、まるで犬と餃子を混ぜたような姿をしている。
驚きのあまり言葉を失っていると、友人は話し始めた。
「最近、仕事で発想力が足りないような気がして、買ってみたんだよ」
「……これ、発想力と関係あるのか?」
「この犬、餃子の部分にタネじゃなくネタが入ってるんだって。それさえ食べれば、色々なアイディアが浮かぶらしい」
友人は餃子犬の腹をツンツンと押す。
「だけど、愛着が湧いちゃってなぁ」
「ギョヌ?」
餃子犬は友人の気持ちなど知らずに、首を傾げた。
友人が悩んでいるようなので、俺は背中を押すことにする。
「とりあえず、焼いてみたら?」
「……うん」
友人はフライパンで、餃子犬を焼き始める。
すると餃子犬にはパリっとした羽根が生え、そのままどこかに飛んで行ってしまった。
「お前、こうなるのわかってただろ?」
そう話す友人の目は、笑っていた。
(完)
GWカニさん祭り第2弾です。(身内ネタとも言います)
この物語はフィクションです。
実在のショートショート書きとは一切の関係がないとのことです。
ほんとうに、ほんとうに関係ないんです!
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