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わたしが「患者」になった日

タイトルのとおり、わたしは今から一年ほど前に「患者」になりました。 結論から言うと、わたしの病気は非常に稀な血液のがんです。発症する確率は100万人にひとりほどで、今のところはっきりとした治療法は確立されておらず特効薬もありません。予後不良で再発率も高く、生存期間の中央値は12〜14ヶ月ほど。現在もっとも有効とされている治療法は抗がん剤治療と造血幹細胞移植だと言われています。 こういうと難しく感じるかもしれませんが、すごく大雑把に言えば白血病や悪性リンパ腫と同じようなもの

短歌に出逢って1年が経つ*ひびのはなばな便り

 こちらをお読みくださる皆様へ  こんにちは。梅雨入りしたようなお天気の毎日でおひさまの光が貴重に思う日々です。皆様、お変わりなくお過ごしでしょうか?今日は昨年からマイペースに作っている短歌のことを綴ろうと思います。 短歌との出逢いちょうど去年の今頃(2020年5月)、2回目の抗がん剤治療が始まりしんどいなぁって日々が始まった頃だと思います。〝あの風〟というプロジェクトの参加者募集をSNSで出逢いました。 このプロジェクトは、コロナにより普段に増して様々な不安を感じるが

【俵万智の一首一会 12】がんサバイバーたちの歌集

黒い雲と白い雲との境目にグレーではない光が見える   掲出歌が、そのまま歌集のタイトルになっている。収録されている短歌の作者は、26人のがんサバイバーだ。  雨や嵐を呼ぶ黒い雲。晴れた空に浮かぶ白い雲。一般的には黒色と白色の境目は、グレーということになる。でも空を見上げれば、雲と雲とのあいだから光が見えることがある。その光景と人生の局面とが重ね合わされた。いいことと悪いことの間にあるのは、中ぐらいのことではない。光なのだと。その光を感じることがサバイブすることなのかもしれ

ファンレターみたいな書評 『黒い雲と白い雲との境目にグレーではない光が見える』著者:26人のがんサバイバーあの風プロジェクト 監修:岡野大嗣 (左右社)

 たぶん自分だから書けることがあると思っている。クラウドファンディングをわずか3日と12時間で達成した本書。怒涛の勢いそのままに今手元にある。Amazonの歌集ランキングでも1位に輝いた。自分がクラファンに賛同した理由から書きたい。  2020年にナナロク社という出版社がオンラインの短歌教室を開催した。教室はふたつあって、ひとつは岡野大嗣さんの教室でもうひとつは木下龍也さんの教室があった。教室のイベントで両教室の生徒が作った短歌を講師が選んで競うという「短歌合戦」というイ

風待月

先週今週のサバイバー短歌、まとめて載せます。 遅くなってしまいました。 ちょうど二年前の6月末、私が主治医に会った時、というか私が自分の治療を受けた病院に初めて行って、紹介状と細胞診、MRI、血液検査の資料を初めて主治医に診せたとき、これは癌だ、抗がん剤治療をすることになると思うが一度こっちでも検査をしたいと言われ、なぜか自分で全く悲しい気持ちはせず、むしろここなら大丈夫かもしれない、この先生なら大丈夫だろうと思い、先生の言葉や存在、病院の雰囲気が私の心に光を差し込んでく