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リハビリ(脳腫瘍 17)

 3月14日(月)、リハビリ開始。
 頭に巻いていたタオルは取れたが、まだシャンプーできないので、髪の毛がくしゃくしゃになったまま固まっている。
 みっともないので、入院前に買った帽子をかぶって地下のリハビリ室へ行った。

 私は花粉症なので、病棟の外に行くときは必ずマスクをつける。
 私の花粉症は重症で、鼻水だけでなく、鼻の奥から喉、口の中にかけて炎症が起きてしまう。
 抗アレルギー剤を飲んでいても、舌が火傷したように真っ白になる。薬がなくては痛くてものを飲み込むこともできない。

 この年は花粉の飛散量が多いという話で、今まで何ともなかった人も花粉症になったそうだが、入院中はとても楽だった。
 病室は密閉されており、空調が良くできているので、花粉が入って来ないのだろう。

 あまり楽なので、何かの影響で花粉症が治ったのかと喜んでいたが、退院したらすぐさま症状が出たから、やはり病院の環境のお陰だった。
 毎年花粉の時期には虎の門病院に入院していたいものだ。

 それはともかく、リハビリの話。
 担当の理学療法士、Tさんは若い女性で、私の筋力を調べてからメニューを考えてくれた。

 まず、台に仰向けに寝て、
(1)片足ずつ上に45度に上げて下ろす。各20回。
(2)両膝の上を太めのゴムベルトで緩めに縛り、片足ずつ横45度に開いて閉じる。かかとを外、つま先を内側にして。各20回。
(3)両足をそろえて膝を立て、お尻を持ち上げて、下ろす。20回。(お尻の肉をつけるため)
 ここまでは毎日1人でやる。

 つぎに、
(4)台に腰掛け、足首に1キロの重りをつけて片足ずつ水平に上げ、膝を延ばす。各20回。
(5)平行棒の間を一直線に歩く。なるべく棒につかまらないようにして、歩幅を狭くするため、片足のつま先にもう一方の足のかかとをつけて進む。
(6)片足のつま先にもう一方の足のかかとをつけた状態で、両手を上に上げる。3回ぐらい。(これはよろけてしまい、すぐに手をおろして棒につかまってしまった)
(7)同じ姿勢のまま、体を左右にひねる。3〜5回。
(6)と(7)は前に出す足を変えてもう一度。

 脚の筋力はけっこうあるということで、
(8)杖をついて歩く練習。フロアの対角線上(120m)を6往復。
 これは毎日1往復ずつ増やして、最終的に10往復にした。

(9)手すりにつかまって、階段の上り下りを1往復。
 これはこの日しかやらなかったが、階段の練習は瞬発力をつけるのにいいそうだ。
 左足のしびれがひどく、歩くと痛いし、階段の上り下りは人の倍以上時間がかかるので、自宅待機中はエレベーターばかり使っていた。

 九段坂病院のW先生には杖のつき方を教えてもらわなかったので、自宅待機中は右手で杖をついていた。
 歩くと筋力の衰えた右足に負担がかかるので、常にくるぶしの周囲が腫れて痛く、毎日湿布を貼っていた。

 Tさんによれば、利き手で杖をついてしまう人が多いが、弱い足とは反対の手で杖を持ち、足と杖を同時につくのがいいそうだ。
 杖は足の補助だから、そう言われれば当然だとわかる。
 教えてもらった通りに杖をついたら歩きやすく、足のくるぶしも腫れなかった。

 このリハビリが始まる前、病室でも自発的にリハビリしていた。
 ベッドに腰掛けて両脚を水平に伸ばし、膝を曲げないようにそのままにしておく。
 Tさんに聞いたら、これは膝に負担がかからないので、いくらやってもよいと言われた。

 ところが、いい気になってやっていたせいか、(1)と(2)をやり過ぎたせいか、腿が筋肉痛になってしまった。
 Tさんに言うと、腿の筋肉痛防止の体操を教えてくれた。

 手で足を持ち、お尻にくっつくまで後ろに曲げる。そのまま10秒。片足ずつ交互に3回繰り返す。

 たったこれだけで、不思議なことに筋肉痛が取れ、筋トレの後でこの体操をすると筋肉痛にならなかった。
 いろいろなことを教えてくれたTさんに感謝。


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