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温故知新

タミヤが50年以上続けている長寿の模型シリーズといえば「ミリタリーミニチュアシリーズ(以降MM)」だ。1968年にNo.1である「ドイツ戦車兵セット」が発売され、様々な世代に愛され続けている。入門用として数多くの模型戦車少年がトライしたⅡ号戦車F/G型や高嶺の花だった88ミリFlak36/37など、通算350作を超えるシリーズだけに話題は尽きない。

僕は1977年生まれなのでNo.100チャーチルクロコダイル戦車辺りが同い年であり、今でもイギリス歩兵戦車チャーチルMk.VIIとして入手可能だ。因みにチャーチルはガルパン仕様で二回仕上げたが肝心のイギリス陸軍仕様では一度も完成していない。今も作りかけストックにAFVクラブの履帯を履いた状態で放置されている。

閑話休題。先日作りかけで一年ぐらい放置していたNo.16の「ドイツ陸軍BW R75サイドカー」を無改造&アッサリ塗装で仕上げた。仕上げたといいつつフィギュアは作っていないが(実は捨てちゃって後悔している)。なぜかMG-13用弾倉がついているMG-34や省略されたブレーキレバーや排気管など、再現度という点はそこまで高くない。しかし敢えて無改造で塗装した結果、タイヤやスポークのシャープなディテールがキリリと浮かび上がり、省略された部分を補ってシャキっと魅せているのはさすがだなと思ってしまった。そもそものデッサン力が秀逸なのも仕上がった状態での違和感を拭い去っている気もする。

BMW R75だけに限れはイタレリのキットや最近であればグレートウォールホビーからも出ており、特に後者はエッチング製スポークやスライス構造のタイヤなど、模型的な解像度はものすごい事になっている(表現が雑だな)。しかしなんとなく慣れ親しんだタミヤやイタレリのプロポーションがいいなと思ってしまう辺り古き人間なのだなとも思う。

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このⅣ号戦車H型(No.54)もタミヤの旧版(リニューアルがかかって絶版になったので敢えて旧版と呼ぶ)。2年前になるべく素組で完成させたものだが、展示会などで以外と好評で面白かった記憶がある。譲ってもらったキットの為、車体シュルツェン架を取り付ける事が出来ず残念だった(詳細はこちら)。

1975年製だから僕よりも2歳年上のキットだ。Ⅳ号戦車H型を作りたいと思えばこのタミヤの旧版から始まり、イタレリやタミヤの新版、ドラゴンやズヴェズダ、アカデミー、ボーダーモデルなど、キットは選びたい放題だ。そうなるとタミヤの旧版をカリッカリにディテールアップして仕上げるのは正直不毛である(しかも新版からパーツ流用したり始めると本末転倒でもある)。懐かしい当時を想って素組するのが楽しい遊び方だなと思う。こないだタミヤⅣ号D型をガッツリ素組で組んだので早く塗装しなきゃ。

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しかしだ。僕が戦車模型にハマりMMシリーズを作り始めた頃に出た「ドイツ重戦車タイガーⅠ後期生産型」が発売されている。89年発売だから31年前か。このキットは「タミヤ製ティーガーⅠ後期型」としては最新キットでもあるし、今でも通じるキットとして戦車模型コーナーに君臨し続けている。しかし同じ車種で言えば先ほどのⅣ号H型と同じ事になり、多くのメーカーが同車種を発売している。勿論タミヤが開発、発売した時に比べると考証も随分進んでいるのも事実だ。31年前のティーガーⅠ後期型と45年前のⅣ号戦車H型を比べるのはおかしな気もするが、二つのキットの開発時期だけ見てしまえばたかが14年なのである。

勿論旧版のⅣ号が発売された時には僕はまだ生まれておらず、むしろティーガーⅠ後期型が出た後に購入してアハトゥンクパンツァーをぼろぼろにするぐらい読み込んでディテールアップしていた。ティーガーⅠには懐かしさを感じず、MMリニューアルが始まった第一弾のキットという冠が輝き続けているがそれより14年前のⅣ号H型は絶番となり過去のものとなってしまった。単純に31年前といってしまえば「懐かしいキット」であるはずだが、まだまだタミヤ製ティーガーⅠ後期型には温故知新を感じたくないものだなあと思ってしまう。■

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