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君は何故生き急いで模型を作るのか。

やあ、俺です。プラモ作るの得意なんですよね!得意技は早作り!電光石火の勢いでプラモ作るよ!!

なんて痛々しい感じで始めてみたわけだが、只今絶賛発売中の月刊モデルグラフィックス誌2023年11月号に掲載されているTAKOM/BLITSの1/35 III号突撃砲F型後期型、本誌を読んでいただいた諸兄にはお分かりになると思うがテーマが「早作り」なのである。ブランド名であるBLITSとかけて電撃的に作ろう、という事なのだが、同社の製品の中でもとても作りやすくて改めて好きになっちゃったね。これからもよろしくお願いしますTAKOMさん。

まだ発売中の掲載作例だから画像はあんまり出しません

前からちょくちょく話題に出しているが、プラモデルなんてものは趣味なのでゆっくり時間をかけて腰を据えて作ればよいのである。一年に一作という人もいるだろうし、月に一作というペースを決めている人もいるかもしれない。それがコンテスト向けの人もいるだろうし、本当に趣味の範疇内で作ってX(旧Twitter)などのSNSに発表するだけという事の人もいると思う。

そんな話の中、僕の登場なのである。今回の作例は実際にタイムアタックをし、4日間の作業日数で合計時間28時間で完成させた。まあ、恐らく早いんじゃないかなとは思うが、あくまでお仕事でのタイムアタックだ。作業工程で端折ったところはあるし、もっとじっくり仕上げる事も可能だと思う。仕事として誌面に載せられるレベルに達するまでの仕上げとしてこの時間を掛ける事になったという事。

実は雑誌作例でこういったタイムアタックはこれが初めてではなく、内藤あんもを知る諸兄であれば表紙&特集を飾った伝説の2018年5月号をお覚えかとは思うが(なんでそんな偉そうなのか)、アレに掲載されているJS-2も合計24時間ぐらいで完成させている。

諸々の事情で現物は破損してしまい、イベントなどで展示した事がないのだ。

…今見ると淡泊だなあとは思うが、いうても5年前だしな。

これ以外にもタイムアタック的な作例はいくつかこなしているが、早く作れるのを売りにしているのが僕自身なだけであり、一定のクオリティも維持出来ているんじゃないかなとも自負はしているつもりだ。実際全てのプロの方が早く完成させられるわけではないと思う。

何の話なんだかというとこれも時々話題になる「早く完成させたいマン」VS「趣味なんだからじっくり作るべきマン」の終わりなき戦いなわけだ。別に早く作るから雑になるわけでもないしゆっくり作ったからといっても人生最高の代表作が生まれるわけでもない。これは一生相容れない闘争なのだ。いや、そんな常日頃バチバチに闘争してる話題ではない。すまんちょっと盛った。
以前noteのタミヤII号戦車の記事の時も触れたが、時々「あんもさん手が早いですね!」と言われる事はある。あっしにはこれしかないんで…と頭を掻きながら気持ち悪くエヘヘと笑う事しかできないが、実際は「僕の武器」だと思っている。ロジック、とまでいうと格好つけすぎなところはあるが、この手順でこうしてこう…ほら出来た!みたいな事だ。特殊スキルや魔法ではない。作例なんかだと時々「いやこれはちょっとどう作っていいのかわかんないや…時間かかるぞ…」なんて時もあるが、実際手を動かしてみると「…あれ、わりと簡単に出来たじゃん」なんて事はよくあるのも面白い。

そういえばこの鹵獲ソミュアはワンディモデリングで作ったんだったな

むしろ時間をかけてゆっくりじっくり作るほうがよっぽど苦手だったりする。かといって早く作るために手を抜くわけではない。いや、正確にはある程度手は抜いてるのは事実でもある。例えばそれはパーティングラインや合わせ目を無視するんじゃなく、見えるところ中心に綺麗に仕上げるとか、エッチングパーツや3Dプリンタ出力品に置き換えたほうがきっと見栄えがいいんだろうなあというディテールをそのままにしておくなど、人によっては「手抜きじゃん」って思われる工程を経て完成させているのは事実。

ただ、それは必ずディテールアップするべきなのかという話にまで膨れ上がる。縮尺模型である以上実物の構造をちゃんとトレースして模型に組み込む必要がある、という意見は否定しない。ちょっと脱線するがエッチングパーツで実物同様に可動するように組み立てられるOVMクランプよりも可動しない一体化された3Dプリンタ出力品のほうが造形物としてより良い、というのはなかなかどうして矛盾してるなーと思ったりするわけだが、まあ、脱線だねこれは。

実はこれってフィギュアにも言えておりまして。じっくり腰を据えてガリガリに陰影をつけて…みたいな塗装方法は憧れがあるし、それを実践する塗り師の方々は尊敬しております。でもね、オイラ早く仕上げちゃいたいんだ…ぺりっと塗り分けてざっと影入れてらしくみえればいいんだ!っていうヤツ。

エナメルで塗り込むのも楽しいんですけどね

まあ結局自分自身が「早く完成させたい」と思う気持ちが一番強いんだと思う。早く完成させて次の作品に取り掛かりたい(まだまだ作るものいっぱいありますよね?)という理由もあるし、たくさん並べて楽しみたいという理由もある。とはいえ長い時間を掛けて完成させる渾身の一作や自分自身の技術の粋を詰め込んだ代表作的なものも作りたいなあと思う気持ちもあるわけで、まあここらはややこしいというか面倒くさい思考だなあと感じるわけである。なんだかまとまらないなあ。■

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