夢と現とエトセトラ

お墓で実験をしています。すべてフィクションです。 あいう☻

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最近の記事

浴槽

僕が凍えているのは 浴槽にお湯がない所為だ 浴槽にお湯がないのは お湯が流れている所為だ お湯が流れているのは 栓が閉まっていない所為だ 差し出された手を握れなかったのは僕に力がない所為だ もう悴んでしまったこの指では 排水栓を閉めれない

    • コーラ

      久しぶりにコーラを飲んだ 思っていたよりもおいしくなかった

      • うつらうつら

        目を瞑ると身体は空へと落ちていき 私は必死にベッドにしがみつく 昨日まで悪夢だったものが 今日はなんでもなくなり あれだけ大切に思っていたものが ガラクタにしか見えなくなる 僕の時計と君の時計は進む速さが違う いくら夢で語り合おうが、目覚めると顔すら覚えていない メモ帳の中で腐っていく命になるはずだったものたち あたしがいない世界は今よりずっと素敵で そんな夢に思いを馳せたりするんだけど 現実はやっぱりそんなことはなくて あたしの存在は何にも影響しない 鬱々と現を

        • プラトニックに僕を殺して

          その指に触れないで 目と目を合わせないで 囚われた愛に騙されないで 君の脳みそに棲まわせて 余計なことは考えないで 心にナイフを突き立てて プラトニックに僕を殺して その感触を忘れないで

          ハロウィン

          静かな夜を 喧騒が切り裂いて バラバラ散らばる 摩天楼の星空

          残夢

          現実は 現実であるという点において 悪夢より残酷だ そういった残酷から逃れるように 私は瞼を閉じ 悪夢にすがる そうしてみる残酷は より現実へと近づく やがて残酷の境目がわからなくなり 目が覚めると私は夢の中にいた

          私の仕事

          空っぽの段ボールにガムテープを貼って、 積んでいくのが私の仕事。

          遺愛

          期待 肥大 勘違い 非才 ぎこちない 気概 手痛い 失敗 果てしない 未来 小さい 間違い 不甲斐ない 額 正解 出来ない 忙しない 自戒 お似合い 泥仕合 他愛ない 誓い 大概 自壊 頼りない おまじない 短い 安定剤 所在ない 人付き合い 苦い 巡り合い すれ違い 悲哀 行き違い 理解 せめぎあい 敵対 自愛 奪い合い 曖昧 体裁 補い 支配 視界 色彩 宵闇 徘徊 災害 退廃 未開 紫陽花 弊害 停滞 衰退 危殆 自体 溺愛 水浸し 形骸 事態 明快 大罪 既済 冥界 

          ゆめよ

          夢は見れどもユメはなく それもそのはず努力を知らず 努努ユメなど抱けるものか

          親友

           これを埋めるのを手伝ってほしい。  私がそう言うと彼は少し時間を置いて静かに頷いた。彼は私と違って真面目で誠実でとても賢く、そして何より優しかった。そんな彼を私は心の底から信頼していた。  そうと決まれば、早く準備しよう。夏にキャンプへ行った時と同じように、彼は微笑んだ。  外は気温が低く、吐く白は自分の深い呼吸を目立たせた。  ここへ来るのは中学生の頃以来だろうか。  流れていく懐かしい景色を眺めながら、思い出話に花を咲かせた。  彼に最初に助けられたのはその通学路で

          ある夜

          部屋の明かりの眩しさに嫌気が差した私は、玄関の扉を開けた 深夜3時 外は以外にも街路灯により明るく、私は気を落とした しかし願った暗闇は得られなかったが、適度な静寂がそこにはあった 風が通る音 サンダルが軋む音 鈴虫の鳴く音 トラックの走る音 明かりに照らされた道路を あてもなくさ迷い歩く アスファルトは軽く湿っている 雨が降ったっけ そんなことも覚えていなかった

          不整脈ビート

          ドキドキ BPM210を刻む動悸 ガバかな 俺の心臓はハードコアテクノ ヤバいかもしれない 薬を飲んだらローファイヒップホップ レイドバックする鼓動 ヨレているハート でもすぐにテンポアップ 変わる血相 フロアは熱狂 最高潮でブレイク フィーネ

          プレゼント

          言葉は 贈る側に気持ちがこもっている必要はなく 乱雑に包装されたその中身のなかった箱を 大事に受け取ってしまった私は あるはずのないそのプレゼントを 丁寧に棚に飾らなければならなくなってしまった

          デイドリーム

          白昼夢にさらわれて 荒野を走る 脚を大きく広げると 狭い教室はもう視界の外 緑に辿り着く頃には 既に退屈を忘れていた どこか遠くで聞こえる雑音も 今は耳心地がよい 青く輝く天を仰げば 足元はそれを映し出す 保護されていたはずのその世界 しかし湖の泡沫はすぐに弾けた オアシスの影に鴉が一匹 黒い瞳がこちらを覗く 居心地の悪さを思い出すと 脚は前へと進まなくなる やがて終わりを告げるチャイムが鳴り 赤い看板は倒れた

          私のノート

          そしてそのノートを燃やす 私の文字が 私の言葉が 私の心が 灰となって、煙となって 世界に溶け込む なんと喜ばしい事か やがて炎は消え 私は私を失くした

          ゴミ拾い

          君は 要領のいい人間ではないから 今日も他人のゴミを拾う 僕は 優れた人間ではないから 明日も他人のゴミを拾う 昨日ゴミを拾っていた あなたは どんな人間なんだろう