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MENA(中東・北アフリカ)専門家によるイラン解説 XVII

 人類の歴史において、銅と鉄は重要な役割を果たしてきました。これらの金属は異なる時期に発見され、使用が始まり、文明の発展に大きく寄与しました。

 銅に関しては、所千晴教授が『 #鉄は国家なり 』に対して『 #銅は文化なり 』と説明しています。以下の番組では、銅の簡単な歴史から製造方法までが分かり易く纏まっています。Noteは文章のプラットフォームなので、文章を読むことが苦手な人は少ないとは思いますが、以下のビデオは文章を読むのが苦手な方々にも理解し易い内容です。

銅の利用
 銅の使用は新石器時代後期に遡りますが、本格的な利用は約1万年前から始まりました。銅は地球の地殻に比較的豊富に存在し、純金属の形で自然界にも見られるため、初期の人類にとってアクセスしやすい金属でした。銅は打ち出し加工が容易で、鋭い刃物やその他の道具、装飾品に加工されました。約3300年前、中東地域を中心に、銅と錫の合金である青銅が製造されるようになり、これにより『青銅時代』と呼ばれる新たな時代が始まりました。青銅は銅よりも硬く、耐久性に優れ、武器や工具に適していたため、多くの文明で重宝されました。

鉄の利用
 鉄の使用は銅よりも後で、約3200年前に始まります。鉄の製錬は困難であり、高温で鉄鉱石から酸素を分離させる技術が必要でした。鉄が広く利用されるようになったのは、約1200年前の『鉄器時代』に入ってからです。鉄は青銅よりも豊富で、硬くて丈夫なため、武器や農具などに広く用いられるようになりました。この技術の普及により、多くの地域で社会的・軍事的パワーバランスが変わりました。

文化的・技術的影響
 銅と鉄の利用は、交易ネットワークの拡大や技術革新を促しました。特に鉄は、耕地開発や軍事技術の進化に大きな影響を与え、それぞれの地域で独自の文化的発展を促進しました。また、これらの金属の採掘と加工技術は、古代文明の発展において重要な産業となり、経済や社会構造にも影響を及ぼしました。

銅文明と鉄文明の発祥地帯
 銅や鉄の利用について、その発祥を特定することは複雑であり、特定の文明に帰属させることは難しい場合がありますが、歴史的な証拠に基づいて一部の地域や文明での重要な発展が識別されています。

テチス鉱床生成ベルト
#テチス鉱床生成ベルト (Tethyan Metallogenic Belt)は、ヨーロッパ、アジア、アフリカを横断する広大な地質学的地帯です。この地帯は、 #パンゲア大陸 の分裂が始まった約2億年前から約1億8000万年前の新生代第三紀まで存在していた古代のテチス海に由来しており、その名前もここから来ています。テチス海は、現在の地中海、黒海、カスピ海、ヒマラヤ山脈などがある地域にかつて存在していた古海です。この #鉱床生成ベルト は、多くの種類の鉱床が豊富に存在することで知られています。これには、銅、鉛、亜鉛、金、銀などの貴重な金属が含まれます。この地帯は、プレートテクトニクスの活動によって形成され、多くの #造山運動 #マグマ活動 が起こった結果、さまざまな種類の鉱床が生成されました。

 地理的には、 #バルカン半島 から始まり、 #トルコ #イラン 、ヒマラヤを経て、さらに東へと続いています。この地帯の地質は非常に複雑で、さまざまな時代の岩石や構造が観察されます。また、この地帯は多くの地震や火山活動の場ともなっており、地球科学の研究にとって非常に重要な地域です。

 鉱床の形成過程には、海底での火山活動や、地殻の変動による岩石の変形・変質、さらには地熱水の循環などが関与しています。これらの過程は、地球の内部からの物質の移動と集積により、豊富な鉱物資源を生み出しています。

 テチス鉱床生成ベルトの研究は、これらの鉱床の起源や形成過程を理解するためだけでなく、地球の歴史や #プレートテクトニクス の理解を深めるためにも重要です。

つづく…

#武智倫太郎

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