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芸術関連の記事

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芸術関連の記事を集めました。
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記事一覧

恋と、性と、メルヘン 2024年4月【1】

あぎる(筆者)「類は友を呼ぶ」とはよく言ったもので、今日はここに、私の分身のような人々が集まりました。どうも夢見る人たちばかりです。話題はいつの間にやら、恋や性に移っていきました。 A氏中世のヨーロッパなんかを想像してください。私は貧しい木こりです。どういうわけか今日はお城から偉い人が来るようなんです。私は華やかなのが苦手ですから、遠くからそれを眺めています。 従者が馬車の扉を開けます。すると中から、真っ白なドレスを着た女性が出てきました。きっとお姫様です。遠くてお顔まで

私は物書きを志望しない 2024年3月【6】

お金を持っている人はよく、お金なんて大した価値がないと言う。彼らはお金の虚しさを語る。かつてお金に困って追い詰められたが、すんでのところで助かったという経験を話す。 彼らは「お金は必要な時に向こうから来る」と結論する。私にはどれもこれも結果論に思える。お金持ちの話を聞けば聞くほど、お金持ちになれるかどうかは運であるという思いが強まる。 そもそも私には関心がないのだ。お金を得るために何とかしようとする気力が起きない。いつも何かを書いているので、よく文章で身を立てたらどうかと

国立西洋美術館と空想エッセイ《3》 2024年3月【4】

今回もまた、絵画を観て心に浮かんだことを書いていく。 【前回記事】 *** ノースリーブを着た女性に、私は心を奪われる。あらわな肩と二の腕。腕を上げれば脇がのぞく。 脇という部位は常時見えているわけではない。腕の上げ下げによって見え隠れする。そこに私の心は惑わされる。彼女たちは日常的な動作をしているだけだというのに。 女性の左肩に茶色の線が見える。何だかブラジャーの紐みたいだ。拡大してみる。 茶色の線は脇から始まり、弧を描いて背中に到達する。影だろうか。しかし普通

国立西洋美術館と空想エッセイ《2》 2024年3月【3】

前回に引き続き、美術鑑賞から始まる空想のお話。 *** 絵の表面がテカテカしていて綺麗だ。板に描かれているらしい。これまで観てきた絵はキャンバス、つまり布だった。1520年代に制作されたという。500年前に描かれた絵がこんなに綺麗な状態であることが私には信じられない。 日本では戦国時代にあたる。1521年に武田信玄が生まれた。1523年には毛利元就が26歳(数え年)で家督を継いだ。信長・秀吉・家康が生まれるのは1530~40年代。 プリーゴ(1492-1527)はフィ

国立西洋美術館と空想エッセイ 2024年3月【2】

3月1日、国立西洋美術館の常設展を鑑賞。約2ヶ月ぶり。 年間パスポートを購入した。値段は1300円。前年度は1100円だった。200円値上がりしてしまったが、まだまだ安い。これで2025年3月末まで常設展(一般500円)が見放題。いつでも西洋美術に浸ることができる。 *** では早速、夢の世界へ飛んでいこう。 なお、この記事は作品の紹介ではない。作品を観て私が思い浮かべたことを書く。主体は作品ではなく私。レビューではなくエッセイ。それを了承の上、読み進めてほしい。

五美大展と空想エッセイ 2024年3月【1】

2月29日、国立新美術館(港区)で五美大展を観てきた。5つの美大の卒業制作の展示だ。この記事では、気に入った作品をいくつか取り上げる。 ただし作品の紹介ではない。作品を観て私が思い浮かべたことを書く。主体は作品ではなく私。レビューではなくエッセイ。それを了承の上、読み進めてもらいたい。 林美桜「白昼夢」。なんていい表情なのだろう。彼女たちの内面を想像したくなる。ずっと見つめていたいし、ずっと見つめられていたい。お互いがお互いの目を見つめて、お互いの心を探り合うのだ。言葉は

東京美術館めぐり 2024年2月【2】

前号2月8日台東区・東京都美術館で「印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵」という特別展を鑑賞した。 料金は一般2200円。私にとっては大金だ。無職でお金がないので、普段は常設展や公募展しか行かない。今回は値段に見合う感動があると踏んで奮発した。 展示作品は68点。1時間ぐらいで観終えた。 展示室の最初のほうはだいぶ混雑していた。行列に並んで牛歩戦術のように鑑賞するか、人垣越しに遠くから眺めるかの二択。 私は自分のペースで観たいので後者を選んだ。3回ほど戻って

ひきこもり問題の解決策 2024年2月【1】

私はもう6年ぐらい無職で、親に養われて暮らしている。私は「ひきこもり」なのだろうか。 多くの時間を自宅や近所で過ごしているが、Zoomで趣味の勉強会に参加したりもする。街歩きや博物館・美術館めぐりも好きで、外にいる時間も長い。先日は公募展の受付の人と長々とおしゃべりした。好きなことならコミュニケーションも苦ではない。 私がどんな話をする人が知りたい方はこちらへどうぞ。 YouTubeチャンネル「あぎるラジオ」 ひきこもりではない気もするが、ひきこもりのような気もする。

新宿と言えば映画館 2022年4月5日~7日

【4月5日】 私にとって新宿と言えば映画館だ。一番よく行ったのは2015年頃。特に新宿ピカデリーには足繁く通った。 所沢から西武新宿線に乗って終点・西武新宿駅で下車。地下街(サブナード)を通り、アドホック前で地上に出る。最もよく観た作品は「ラブライブ」。 ロビーの吹き抜けがシャレているが、これのせいで人がとどまれる空間が少ない。すぐに混雑してしまう。デザインのために実用性が犠牲になっていると感じる。 次によく行ったのはバルト9。最寄り駅は新宿三丁目だが、西武新宿駅からひ

国立西洋美術館の思い出 2022年4月11日~15日

【4月11日】 大学時代、上野の国立西洋美術館はお気に入りの場所だった。 絵画の展示は中世の宗教画から始まる。私はキリスト教徒ではない。でもその文化には惹かれる。 基本的に描かれた年代順に展示されている。平面的な宗教画が立体的になっていく。冷たい顔に体温が通っていく。絵がグラデーションのように変わっていく。いわゆるルネサンスだ。ここではそれを、実物を観ることによって体験できる。 私は、特に西洋美術愛好家というほどの者ではない。ただ雰囲気が好きなのだ。ここに来ると、古い時

世間のビーチ・ボーイズ評に異議あり 2023年6月【1】

「ペット・サウンズ」ばかり評価されている60年代にデビューしたアメリカのロックバンド、ザ・ビーチ・ボーイズ。彼らが66年に発表した「ペット・サウンズ」は名盤として愛されています。 それはいいのですが、問題は評価がこればかりに偏っていることです。これしか聴いていない人も多いです。 私が選ぶビーチ・ボーイズの最高傑作は「ペット・サウンズ」ではなく「オール・サマー・ロング」(64年)です。 「ペット・サウンズ」を中心にビーチ・ボーイズを捉えてはいけません。そこを頂点とする論は

前期ビートルズ派のスピーチ 2023年6月【2】

ビートルズは前期がいい私は10代の頃から60年代の洋楽を好んでいます。前回はビーチ・ボーイズについて書きました。 今回はビートルズを取り上げます。 ビートルズは前期と後期で作品の毛色が異なります。私は圧倒的に前期が好きです。しかし多くの人は後期が好きなようです。売上枚数を見ても、前期ベスト盤「赤盤」よりも、後期ベスト盤「青盤」のほうが上です。 アルバムなら「リボルバー」までが前期、「サージェント・ペパー」以降が後期です。シングルなら「イエロー・サブマリン」までが前期、「

外国人が日本のファッションを解放する 2023年6月【3】

肌をさらけ出す外国人観光客上野にある東京国立博物館に行きました。初めてではありません。何度目かは忘れましたが、久しぶりです。 来館者は外国人が多かったです。私は彼らの服装に興味を持ちました。男性も女性も日本人より軽装で、肌の露出が多いです。 男性のほとんどはハーフパンツでした。丈は短めで、短パンと言ったほうがよさそうな人もチラホラいました。日本人男性のハーフパンツは膝上ぐらいが主流で、着用率も50%ぐらいでしょう。ノースリーブ率も日本人より高かったです。 日本人の男女を

変なファッションで自由になれる 2023年8月【5】

「ダサい」から脱する方法「ダサい」から脱する方法は、ふたつあると思っています。ひとつはオシャレになること。そしてもうひとつは変わった身なりをすることです。 普通はオシャレになりたいものです。しかしそれはハードルが高い。だってあなたは今までダサいと言われてきたのですよ。つまり基本的にセンスがないわけです。 そこで私は、変な身なりをおすすめするのです。変と言ってもいろいろありますが、たとえば派手なのはいいでしょう。一番手軽です。 ダサいメンズファッションの典型として、しばし