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ダリ 5月11日~365日の香水

サルバドール・ダリ
5月11日はダリの誕生日。
シュールレアリスムを代表する作家で、今年(2024年)は生誕120年にあたる。
「ダリの作品は誰にもわからない、私にも」
「控え目に言って、ピカソよりダリが重要だ」
インパクトある発言や奇行でも目立ったスペイン カタルーニャ出身のダリ。確かに画家やアーティストというより、”ダリはダリ”というのがしっくりくる。

生誕地フィゲラスの思い出
彼の出身地であるフィゲラスに、自身がその晩年に建てたダリ美術館を訪れたことがある。縦横無尽なクリエイティブと妻ガラへの絶対的な愛、そして奇抜であっても”薄汚れていない”美しいアート性を感じた。
ダリが常連だったレストランのあるホテルに宿泊し、ダリの描いたドン・キホーテが表紙になったレストランのメニューをもらって、とても暖かいおもてなしを受けたことをよく覚えている。ダリ専用の小部屋があり10人くらいが入れそうな部屋だったけれど、そこで仲間たちと頻繁に食事を楽しんだそうだ。
飾られた写真のダリは、気の許せる仲間、愛する人と共にくつろいで安らいでいるような笑顔だった。

1983年
晩年、ダリは妻のガラとともに「ダリの香水」という構想をはぐくみ、カタルーニャの香料会社をパートナーに着々と計画を進めていた。
香水の第一弾は生前1983年にリリースされた。
この年は、前年に最愛のガラをなくし、その影響か春先には絵画制作を止めてしまうことになるなど、ダリにとっては失意の時期、気力を失う時期であったようだ。
そのような中、妻と進めていた香水が世に出て、心に廻った思いはどんなものだったのだろう。
香りは古代から神への捧げものとして、立ち昇る煙とともに天に届けられると人類は想像してきた。ダリも初めての香水が天国のガラにも届く想像をしたのかもしれない。
あるいは、玄宗皇帝が楊貴妃の亡骸に添えられた龍脳を手にして泣いたように、香りはここにあるのに愛しい人がいないという現実に悲しみを深めたのだろうか。

Dali parfum/ Salvador Dali/ 1983
ビターで濃密なシプレー。その後にダリから展開される香水とは一線を画す第一号だ。
オリエンタルも感じさせながら、ゴージャスなフローラルが香る。
入念な準備のもと“二人の理想”が正しく投影された香りとして存在している。

香り、思い、呼吸

5月11日がお誕生日の方、記念日の方おめでとうございます。

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