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ブシェロン 5月13日〜365日の香水

クエッション
19世紀半ば、ヨーロッパのブルジョワ女性のファッションといえば、コルセットでウエストを締め上げ、クリノリン(ペチコート)でウエストから下を膨らませ、横から見た時に綺麗なS字カーブを描くようなスタイルだった。実際に当時の女性の中にはコルセットで締め上げることが行きすぎて肋骨にヒビが入るようなこともままあったと何かで読んだ記憶がある。
ドレスにしても袖口や胸元の無数のボタン、ドレスのための下着にもまた手間がかかり、”身支度”はメイドたちの仕事だった。
それは宝飾品についても同じことが言えた。(今でももちろん、あるケースだ)
その中で「?」マークのような形のネックレスが登場する。
そのままクエッションシリーズとされて、貴婦人たちにもてはやされた。

クエッションへのクエッション
特徴は、そのデザイン特性から「人の手を借りなくても身に着けることができる」というものだ。
それが便利だったのか、面白かったのか。
そもそも、自分でつける必要のないご婦人たちが、ネックレスだけを「自分でつけられる」ことにどんな利便性があるのだろうか。
ニーズだったとは思えないけれど、なんらかの潜在ニーズがあったのだろうか。自分でつけてみたいという好奇心だろうか。
高級宝飾のヒットアイテムとなったクエッションにはまさに???が多い。

ブシェロン
フランスの五大ジュエラーに入るブシェロンは当時まだ邸宅街だったヴァンドーム広場に最初に店を構えたメゾンとしても知られている。1858年のことである。
今もサロン式に売り場が分かれた造りはその名残りを伝えている。
織物商の家に生まれた創業者は布のように宝石を扱えないか(表現できないか)と思ったことが起業につながったという。初代ブシェロンの柔軟な発想、先見性が窺われる。

boucheron/boucheron/1988
創業130年目にして初めてブシェロンの香水が出されたのは1988年。
これまでのオリエンタルにフローラル、フルーティーな要素が加わったフローラルオリエンタル全盛の時期にあたる。
ブシェロンの香調もこの系譜にあたり、処方も複雑で想定される香料も幅広くボリュームがある。
宝石とオリエンタルノートはなんとなく親和性があり、重厚感、深み、そこに調香師の采配で豪華さやリッチさが加わると、高級メゾンの世界にピッタリとフィットしてくる。
液体の宝石という別名が香水にあることを思い出させてくれる。

香り、思い、呼吸。

5月13日がお誕生日の方、記念日の方おめでとうございます。

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