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ショートショート『森の怪物』


曇り空、草木が生い茂る森の中を歩いていると、石で作られた階段があった。興味本位で階段を降りていくとそこには鉄網で作られた大きな檻があった。檻の中には大きな沼があり、唯一立つことができる沼の淵は泥で歩きづらかった。沼の淵に立っているとさっきまで静かだった水面が騒ぎ立て、僕の足元は濡れていった。
水かさが増し、僕は流されまいと、その場に座り込み必死に抵抗した。数メートル先の沼は底が見えず流されたら死ぬなと感じていた。
ふと沼の方を見ると、沼から体長5メートルあるいはそれ以上の大きなワニが姿を現した。
僕はそのまま腰が抜け、ガチガチと目の前の怪物に恐怖を感じていた。
ワニは近くにいたカエルなどを食べながら、どんどん僕の方へ近づいてきた。
僕は食べられると感じながらも、その場から動けなかった。何せ腰を痛めて立ち上がれなかった。
僕は逃げなきゃと感じながらも、近づいてくるその大きな怪物をただ見ることしか出来なかった。



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