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1,500万円の融資を受けるために作った事業計画書を全ページ晒す奴

割引あり


この間このような記事を書いた。

そこそこの反響を頂き、さらには、ちょうど今クライミングジムを立ち上げようとしているという方からのコメントを頂いたりもした。

そういった方がいるのであればさらに力になりたいと思ったので、今回は自分が書いた事業計画書を思い切って晒してみようと思う。

もちろん各人必要な資金も背景にある状況も抱えている条件も違うので、そっくり参考にできる箇所なんてのは少ないかもしれない。

それでもこういうものの「記入例」というのはいくらあってもいい。
「記入例」が1例でも多く手元にあるかないかで作成効率も精神的な安心感も大きく変わる(少なくとも僕はそうだ)からだ。

そんなわけで、もし今クライミングジムを立ち上げようとしていて事業計画書を書く予定のある方がいたらご活用いただきたい。

しかし流石にこれは大っぴらに無差別公開するわけにもいかないので有料部分に添付する。

無料部分では事業計画書を書くに至った経緯や融資にまつわる話をしていく。
読み物としては無料部分のほうが面白くなるようにしたいと思っている。


政策金融公庫の罠

前回の記事でも書いたが、僕が開業資金として融資を受けた額は1,500万円だ。

僕は日本政策金融公庫 https://www.jfc.go.jp/ の創業融資制度を利用したけども、自分で確認したかぎりでは、どうも融資の申請に必要な書類は『いくつかの身分証』と『公庫のHP上からダウンロードできる規定書式の事業計画書』だけで足りるらしい。

公庫HPからダウンロードできる規定書式

「チョロいな」
と僕は思った。
正直この書式をうまく埋めるだけなら一日も要らない。
事業計画書恐るるに足らず。
さっそく僕は書式をダウンロードし、空欄を埋め、事業計画書(仮)を完成させた。

そして完成した事業計画書(仮)を持って、新潟市の創業支援事業者である「新潟IPC財団」に相談に行った。

相談に行った理由は、単に不安だったからというだけではない。
IPC財団などの創業支援事業に計4回以上通うと「認定特定創業支援等事業により支援を受けたことの証明書」を発行してもらうことができ、それがあると通常よりも有利な条件で融資を受けることができるからだ。

この証明書があれば融資の条件が有利になる。

正直言って、証明書さえ貰えればあとは自分でなんとかするんで、ぱっぱと4回行って終わりにしようというくらいに思っていた。

そんなわけで、
「こんな感じで事業計画書(仮)書いてみたんですけどこんなんで良さそうですかねー」
とヘラヘラ事業計画書(仮)を見せつつ、内心では
「バッチリですね、あと細かい部分を修正しましょう」
くらいで終わるのを期待していた。

が実際に言われたのはこんな感じの提案だった

もちろんこの書式の計画書を出すだけでは十分ではないので、もっと細かい情報を記載できる事業計画書の雛型データをお渡ししますね。それと、各数字の根拠となる参考資料もこれから作成していく必要があります」

……だよね。
そんなチョロくないよね。まあ分かってたよ。うん。
と、誰が聞いてるわけでもないのに心の中で強がりつつ、僕は相談に来て本当に良かったと深く反省した。

というかコレ、罠じゃん。公庫のHP読むだけで自分で気づくの無理じゃん。怖っ。

そしてそこから約半年かけて事業計画書と参考資料を作成し、最終的に融資を申請する際に提出したのが次の一覧のファイルになる

融資申請時提出した全ファイル
⑦-01参考資料.zipの中身

ちなみに政策金融公庫の規定書式の事業計画書がペラ1枚だったのに対し、IPC財団からもらった雛型をもとに作成した事業計画書は全9ページである。

そこに、売上や顧客見込み数や水道光熱費の試算の根拠となる各種データなどの参考資料を加えた。(今回記事の有料部分で公開するのは事業計画書の全ページと、この各種参考資料全てである。物件情報や見積書などは公開しない)

最終的にはIPC財団の担当者の方に「ここまでしっかり資料が用意できていればまず希望通り満額融資が下りるでしょう」と太鼓判を押してもらえたし、実際にそうなった。

げにめんどくさき協調融資

厳密にいうと、何もかもスムーズにいったというわけでもない。

当初の希望では僕は公庫から1,500万円の融資を受けることを希望していたが、最終的には第四北越銀行との750万円ずつの協調融資という形になった。

どうも、1,000万円までの融資であれば公庫も支店の権限のみで決められるがそれを超える高額融資となると本社が絡んでくることになり一気に手続きや審査が面倒になるということらしい。

それよりは民間銀行との協調融資ということにして半額ずつ別の窓口から借りるという形をとるほうがいいと。

これもまあ、事業計画書を推敲している段階でIPC財団から「おそらく協調融資になるだろう」という予告を頂いていたので特に驚きはなかったのだが、実際やるとなるとそれなりに面倒くさかった。

なにせどちらか一方がお金を出してくれなければもう一方もお金を出すわけにはいかないので「いっせーのーで」で融資決定の日を揃える必要があるというわけだ。

そのあたりの調整やらなんやらのために、協調融資ではない場合にくらべて1カ月程度は融資までの期間が延びる

もちろん自分の足で銀行を訪ねて行って銀行への融資の申請も別途行う必要がある。

実際に融資が下りるのであれば、ちょっと期間が延びるくらい大したことないじゃないかと思われる方も多いかもしれないが

「融資はちゃんと下りるかな?大丈夫かな?」
という最もソワソワする期間が1カ月延びるのである。
メンタルヘルスの観点から見ればかなり大ごとだ。

そんな気分を1カ月以上味わうのはごめんだ!という方はなんとか融資の額を1,000万円未満に抑えて単独での融資を狙ったほうがいいかもしれない。

ちなみに以前の記事で、1,500~2,000万円くらいが田舎で小規模なボルダリングジムを開業するために最低限必要な資金というようなことを書いたが、もちろんこれは必要十分な金額というわけではない
つくりたいジムの規模によってはその2倍3倍が必要にもなるだろう。

FRICTION FREAKSは床面積40坪程度のかなり小さなジムだ。
正直言って、最近主流のラインセットがメインのジムをやろうと思ったらこの倍の広さは欲しい。
どうなると必要資金も倍……とは言わないまでもかなり増えるだろうと思う。

なのでクライミングジム開業の際に融資の額を1,000万円未満に抑えられるというケースはかなり稀かもしれない。

これからクライミングジムを開業しようという方は1カ月以上は胃をキリキリさせる覚悟をあらかじめ持っておくことをお勧めしたい。

さて、

いよいよ以下の有料部分で、完成した事業計画書と各種参考資料を公開する。
ここから先は完全にこれから事業計画書を書く予定のある方を対象としている。それ以外の方にとって読み物としての面白さはそこまで期待できないと思うが、もし興味があるなら、決して安い金額ではない(なにせ本当に苦労して調べたデータの載った、本当に苦労して書いた資料だ)が、購入して読んでみて欲しい。

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