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かすかな違和感

宮沢賢治の『どんぐりと山猫』ってご存じ?

彼の作品はバリバリ岩手の情景を描いているので
子供のころ、彼の作品はファンタジーではなく
現実のものと思っていました

なので秋が来ると
「山猫からお手紙来たらどうしよう」
子どものわたしは怯えてました


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先日、たまにいけばなを飾らせてもらっている
古書店の店主が開催する
『宮沢賢治の童話を読む』の第2回に参加してきました

この店主は宮沢賢治の研究をされている方で
大学でも講師をされています


全6回の講座で今回は2回目

『どんぐりと山猫』を読むの回です

まず、最初に『読む』とはどういうことか
という説明から始まりました

小説を読むということは、
紙に印刷されたインクの連なりに、
想像力の働きによって息を吹き込む行為である

作者は縦糸、読者は横糸
そして糸の色は人それぞれ
縦糸と横糸で布を織るイメージ
ひとそれぞれ糸の色が違うから
出来上がる織物の色は違う
正解不正解はなくて単に違う織物ができるだけ

正解不正解はないけれど好き嫌いはあっていい

読書には2つの方法がある
①無人島型の読書
②図書館型の読書
*①⇒②の順序が望ましい

無人島型の読書???

情報があふれかえっている現代、
まっさらななにも情報がない状態で
本を読むということが困難になってきている

なので本を読んだときに誰にも影響を受けない
本当の本来の自分の感想を持つことが難しい

誰かの感想を自分のものと勘違いしている可能性がある


こんな説明がありました

なるほど本の帯だって誰かの感想
それが自分の感想に
影響していないとは言い切れない


講師の古書店店主は
「どうかまずは無人島型の読書をして
 自分はどう思ったのか感じたのかを
 認識してください
 ②から①へ戻ることは不可能ですから」
と説明してくださいました

そして自分の考えとは違う織物を知りに
図書館型へと移行して行く

自分が最初に織った織物だけではなく
たくさんの織物を見ることによって
自分の考えの幅が広がっていく


ここまで説明していよいよどんぐりと山猫?

いえいえまだまだ先は長いです

どんぐりと山猫が収録されている
注文の多い料理店は序文があります

序文は昨年書いてますので
よろしければお読みくださいませなのだ

この中に
『わけがわからないところもあるでしょうが
 そんなところは
 わたくしにもまた、わけがわからないのです』
という箇所があるのですが
このわけがわからないことを
そのとおりに受け止めることができるかできないかで
『イーハトーヴの世界』に
入れるか入れないかが決まるのでは?との解説


賢治が描く世界は
わたしにとっては現実世界

そして講師が解説するには
賢治はこれらの童話はファンタジーではなく
現実のことですよ、と書いていたというのです

まんまとはめられてたわ
現実と受け止めてたよ、と驚きました

身近なことばかり書かれているので
幼いころから賢治は読み込んでました

解説はぐんぐん進んでいくのですが
幼いころに読み込んでいた中で
微かに感じていた違和感に対する答えが満載!

例えば一郎さんがなぜきれいな共通語を話すのか
一郎さんが判決を言ったあとからの
妙な空気の変化はなんだったのか

そして山猫からのお手紙を
わたしはなぜ怖いと感じていたのか

些細なことだけれど幼いながらにも
違和感や恐怖として感じていたことの正体が、
そして更に奥深く賢治が訴えていたことがあったこと

明確に理解することができました

さらに一郎さんの推察される年齢と
わたしが山猫からのお手紙を怖がっていた
年齢が合致!

これにも意味があることになるほどと感心


賢治の童話は子ども向けのファンタジーではない
子どもから大人になる過程の
高校大学生くらいに向けた話である、
最初に説明しましたがこういうことです

という講師の解説に大きく納得


ちょいちょい入る脱線もものすごく興味深いし
参考として紹介される本もどれもこれも読んでみたい

この方の講座は大人気で
即座に満席になる理由を実感しました

残り4回も楽しみです^^

都度申し込みも受け付けてますので
ご興味ある方はお問い合わせしてみてくださいませ

宮沢賢治はワタスのルーツでもあるので
とても楽しいです



いけばな教室 西宮市
へなうさ工房:甲子園球場そば
090-8214-8739
8739sshuho(@)gmail.com




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